誰よりも入念に試走を繰り返していたのは宮澤崇史(チームNIPPO)。それまで首位だった鈴木真理(シマノレーシング)のタイムを、最終組スタートの宮澤は0.63秒上回った。

1位 宮澤崇史(チームNIPPO)1分00秒971位 宮澤崇史(チームNIPPO)1分00秒97 photo:Hideaki.TAKAGI5月27日(木)、第12回ツール・ド・熊野が0.75kmの個人TTでのプロローグで開幕した。UCIレースになって今年で3年目。国内海外合わせて19チーム112名が参加する4日間のステージレースだ。

熊野といえば雨がつきものだが、今年は天気予報を見る限りは好天の予想。初日のプロローグも抜けるような青空の下、行われた。

初日は新宮市役所前を通る、新宮市のメインストリートを往復する0.75kmの個人TT。規定でノーマルバイク限定のため、力とそしてターン部分のテクニックが見せ所だ。

合計6組のうち、2組目スタートの鈴木真理が1分01秒60の暫定トップ。しばらくこのタイムは破られなかったが、最終の6組目、宮澤が1分00秒97のトップタイムをたたき出す。宮澤は特にターン部分の入りがスムーズで流れるように安定して突入していった。

レース前の試走時間、この間に一番多く特にターン部分を何度も走っていたのが宮澤だ。レース中ほどにあるインターバル期間中も、ふたたびコースインして確かめる。実力もさることながら、勝つための努力を惜しまない姿勢が、宮澤のこのレースにかける意気込みを感じさせる。


2位 鈴木真理(シマノレーシング)1分01秒602位 鈴木真理(シマノレーシング)1分01秒60 photo:Hideaki.TAKAGI「予定通り」優勝の宮澤
「(1位は)予定通りです。それほどタイム差があるというわけじゃないので、明日はワンデーレースのつもりでみんな動いて、最終的にチームの誰かが来てればいいと思う。明日が初日のつもりですね」
「TOJは結果を出せなかった。チームとしてきちんと動くことが今回の、そしてこれからのレースの課題。僕らチームはヨーロッパに行っている以上、ヨーロッパでの走りをしないといけない」
「熊野は10年位前に走ったのが最後です。BR-2で勝って昇格しましたね」

第2ステージがすこし変わった今年の熊野
日程とコースは概ね例年通りだ。
第1ステージは補給所手前の狭小&激坂区間があり、ここが動きのポイントだ。
山岳の第2ステージはスタート&フィニッシュラインが熊野倶楽部前に変わった。ゴール前300mほどは上り坂だ。
第3ステージは周回数が1周減った。


キナン本社ビルを回りこむターン部分キナン本社ビルを回りこむターン部分 photo:Hideaki.TAKAGIミズロフ、ワン・カンポー、宮澤、鈴木真理、福島晋一らの戦い
カザフスタンは昨年3ステージを勝って総合優勝のヴァレンティン・イグリンスキーは来ていないが、ミズロフが出場。おなじみワン・カンポーも来ている。迎え撃つ日本勢はチームNIPPOがTOJと同じメンバーで出場。今度こそはの思いは強いだろう。シマノは鈴木真理が好調、BSアンカーは飯島、山本の2人に注目。マトリックスは阿部、真鍋、山下が第2ステージで注目。注目度大の鹿屋は伊藤、そしてツール・ド・台湾でステージ優勝の内間らをそろえたベストメンバーで臨む。TOJで驚異の走りを見せた福島晋一(クムサン・ジンセンアジア)はどのステージでも動いてくるので注目だ。

ステージ表彰ステージ表彰 photo:Hideaki.TAKAGI結果
プロローグ 0.75km個人TT
1位 宮澤崇史(チームNIPPO)1分00秒97
2位 鈴木真理(シマノレーシング)1分01秒60
3位 サミュエル・ポール・ウィミッツ(ルトゥア・サイクリングチーム)1分01秒73
4位 向川尚樹(マトリックスパワータグ)1分01秒77
5位 村上純平(シマノレーシング)1分01秒98
6位 山本雅道(チームブリヂストン・アンカー)1分02秒14
7位 ルスラン・トルバイエフ(カザフスタンナショナルチーム)1分02秒30
8位 飯島誠(チームブリヂストン・アンカー) 1分02秒30
9位 ロー・ジー・ウェン(クムサン・ジンセンアジア)1分02秒40
10位 辻善光(宇都宮ブリッツェン)1分02秒41

photo&text:高木秀彰