世界選手権やツールで活躍した精鋭たちによるスプリントで決した第106回リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。僅差のスプリントで先着したプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)がモニュメント初制覇を果たし、2番手ジュリアン・アラフィリップ(ドゥクーニンク・クイックステップ)は斜行により5位降格となった。


バストーニュ近郊の「コート・ド・サンロシュ」を登るメイン集団バストーニュ近郊の「コート・ド・サンロシュ」を登るメイン集団 photo:CorVos
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2020リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2020 photo:A.S.O.リエージュ〜バストーニュ〜リエージュの第1回大会が開催されたのは今から118年前の1892年。ツール・ド・フランス(1903年〜)はもちろんのこと近代オリンピック(1896年〜)や日本の箱根駅伝(1920年〜)よりも歴史が長く、「La Doyenne(ラ・ドワイエンヌ=最古参)」という愛称で呼ばれることも多い。

「モニュメント」と呼ばれる世界5大クラシック(サンレモ、ロンド、パリ〜ルーベ、リエージュ、ロンバルディア)の1つに数えられており、新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月下旬から10月上旬へと開催時期を移した。

ベルギー西部のフランデレン地域を代表するのがロンド・ファン・フラーンデレンであれば、東部ワロン地域を代表するのがリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。レースの舞台となるのは、リエージュの南方に広がる丘陵地帯だ。コースはレース名の通りリエージュとバストーニュの往復で、257kmコースには11箇所の山岳が組み込まれており、獲得標高差4,500mという「モニュメント」随一の難易度を誇る。

ジロ・デ・イタリア出場を選んだ前年度の覇者ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)はいない。しかしツール・ド・フランスやロード世界選手権を好調子で終えたばかりのオールラウンダー、そして前日にビンクバンクツアーで逆転総合優勝を飾ったマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)らが勢揃いした。

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2020リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2020 photo:A.S.O.
まだ夏らしい開放的で温暖なシチリアを走るジロ・デ・イタリアとは対照的に、薄暗く冷涼で、曇り時々晴れ時々雨という秋の深まりを感じさせるワロン地域。気温10度前後のリエージュを離れて南下が始まると、15km地点で9人の逃げが始まる。イニーゴ・エロセギ(スペイン、モビスター)やコービー・ホーセンス(ベルギー、ロット・スーダル)を含む逃げは最大6分のリードで折り返し地点バストーニュを目指した。

レース前半は目立った動きが生まれないが、晴れては曇り、曇っては雨が降るウェットなコンディションは落車を誘発した。地面に叩きつけられたグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、CCCチーム)やジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)といった有力選手がリタイアを余儀なくされている。ドゥクーニンク・クイックステップが牽引するメイン集団からは、残り86km地点でクリストファー・フルーム(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)も脱落していった。

さらに残り81km地点の下りコーナーで世界チャンピオンのジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・マクラーレン)、ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)が落車。カルーゾを除いてレースを続行し、展開が落ち着いた状態だったこともあってアラフィリップは2回バイクを交換、さらに走りながらシューズも交換した。

序盤から逃げたミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)ら9名序盤から逃げたミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)ら9名 photo:CorVos
メイン集団を牽引するマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)メイン集団を牽引するマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) photo:CorVos
エディ・メルクスの記念碑が建てられた最大勾配17%の名物坂「コート・ド・ストック(残り78km地点・平均勾配12.5%)」で逃げはミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)に絞られ、前日のビンクバンクツアー最終ステージで総合争いを演じたマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)らがメイン集団を牽引。激しい位置取りを経て「コート・ド・ラ・ルドゥット(残り35km地点・平均8.9%)」に突入したメイン集団は、それまで200km以上を逃げていたシェアーを飲み込んだ。

アラフィリップの指示を受けてドリス・デヴェナインス(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)がペースを上げるとメイン集団は約60名に絞られる。「コート・ド・ラ・ルドゥット」通過後もドゥクーニンク・クイックステップは主導権を握り、ラ・フレーシュ・ワロンヌを沸かせたマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)も牽引に加わった。

「コート・ド・フォルジュ(残り23.5km地点・平均7.8%)」に向かって、このリエージュを最後に現役を引退するミヒャエル・アルバジーニ(スイス、ミッチェルトン・スコット)が単独で飛び出したものの吸収。ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)とルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)のアタックにアラフィリップも反応し、スペインチャンピオン、ポルトガルチャンピオン、世界チャンピオンの3人が抜け出す形となったが残り22kmで一旦集団は一つに戻る。

4日前のラ・フレーシュ・ワロンヌで2位に入ったブノワ・コヌフロワ(フランス、アージェードゥーゼール)がリアディレイラー不調により脱落する中、いよいよ約50名に絞られたメイン集団が最後の「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(残り13.5km地点・平均11%)」へ。ここでトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)の強力なペースがメイン集団を粉砕すると、頂上まで500mを残してアルカンシェルが加速した。

「コート・ド・ラ・ルドゥット」の登りをこなすマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)「コート・ド・ラ・ルドゥット」の登りをこなすマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン」で強力なペースを刻むトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン」で強力なペースを刻むトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
1週間前のロード世界選手権で独走勝利したアラフィリップのアタック。しかし世界チャンピオンはマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)とプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)を振り切ることができず、さらに頂上通過後にタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が合流。遅れてミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)も追いついたが、その後ろのマイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)は届かなかった。ウッズはファンデルプールやリッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)を含む追走グループを待つ他なかった。

ロード世界選手権1位(アラフィリップ)と3位(ヒルシ)、4位(クフィアトコフスキ)、ツール・ド・フランス総合1位(ポガチャル)と総合2位(ログリッチ)という8月以降のビッグレースを沸かせ続けた5人の先行。全長1.8km/平均5%の無名坂でヒルシが仕掛けるとアラフィリップが瞬時に反応。ログリッチとポガチャルも追いついたがここでクフィアトコフスキは脱落してしまう。

最後の登りを終えた精鋭4人が、12名の追走グループに20秒差をつけて残り10kmに差し掛かる。平坦区間でも、通り雨に濡れた下り区間でもタイム差は縮まらない。ファンデルプールらが牽引しながらも、デュムランがストッパーの役目を果たす追走グループはペースが上がらなかった。リエージュ市内に入り、先頭4人は20秒リードのままフラムルージュ(残り1kmアーチ)に差し掛かった。

登りでアタックしたマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)にジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が反応登りでアタックしたマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)にジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)が反応 photo:CorVos
アタックを仕掛けるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)アタックを仕掛けるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
追走グループから単独で抜け出すことに成功したマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・マクラーレン)だけが、牽制状態に入った先頭4人に残り400mで合流する。モホリッチがそのまま先頭に立ってロングスパートを仕掛けると、アラフィリップがすぐさまスリップストリームに入る。残り200mでアラフィリップ、ヒルシ、ポガチャル、少し離れた場所にログリッチという順番でスプリントが始まった。

フェンス際からフィニッシュラインの真ん中に向けてアラフィリップが進路を変えると、横に並びかけていたヒルシとその外側のポガチャルが押し出されてしまう。バランスを取る際にペダルが外れたヒルシはスプリントを続けることができず、踏み直したポガチャルも届かず。左側のヒルシとポガチャルが迫っていないことを確認したアラフィリップが両手を広げたその右側で、ログリッチが目一杯両手を伸ばしてハンドルを投げ込んだ。

2週連続で日曜日に両手を広げたアラフィリップだったが、写真判定の結果、ログリッチが10cmほどの差で先着していることが判明した。速報でアラフィリップは2位とアナウンスされたものの、スプリント違反によりUCIコミッセールは同タイム集団最後尾(5位)への降格を決めた。

進路を変えたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)を外側へと押しやる進路を変えたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がマルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)を外側へと押しやる photo:CorVos
スプリントを続けるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)と、先に手をあげたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)スプリントを続けるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)と、先に手をあげたジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos
「最後まで勝てると信じてスプリントし続けた。タイトなフィニッシュで、この結果は信じられない。信じられない気持ちに包まれている。終盤に力強い走りを見せてくれたトム・デュムランだけじゃなく、ユンボ・ヴィスマのメンバー全員がこの勝利をお膳立てしてくれた。初出場のリエージュで初のモニュメント制覇。勝ちたいと思っていたレースで勝ったことを嬉しく思う」。そう語るログリッチは今シーズン7勝目。スロベニア勢はトップ4に3人を送り込んだ。

ツール・ド・フランスを総合2位、ロード世界選手権を6位で終えたスロベニアチャンピオンがモニュメント初制覇。「ほぼ3ヶ月間、ずっと自宅から離れている」と語るログリッチは一旦休息を取り、連覇がかかった10月20日開幕のブエルタ・ア・エスパーニャに出場する予定だ。

5位降格となり、2019年のミラノ〜サンレモに続くモニュメント制覇を逃したアラフィリップは「強力なチームの働きに勝利で応えたかった。残り200mからスプリントを開始したけど、そこで間違いを犯してしまった。すべての責任は自分にある。自分の斜行が他の選手たちを妨害してしまったことを謝りたい」とライバルたちに謝罪した。「でも同時に故意の進路変更ではなかったことを強調したい。審判団の判定を受け入れて、次のレースに集中したい」。

初出場のファンデルプールは連日のレース出場にもかかわらず追走グループの先頭を取って6位。ファンデルプールはUCIプロチーム所属ながらUCIワールドランキング4位に浮上している。

2位マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)、1位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)、3位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)2位マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)、1位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)、3位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ2020結果
1位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)6:32:02
2位マルク・ヒルシ(スイス、サンウェブ)
3位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
4位マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・マクラーレン)
5位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
6位マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)0:00:14
7位マイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)
8位ティシュ・ベノート (ベルギー、サンウェブ)
9位ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)
10位ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)
text:Kei Tsuji
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