超級オスペダレット峠で総合争いが勃発。ダウンヒルで追いつきざまにアタックしたルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がワールドツアー初勝利を挙げ、マイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)が強い走りで総合首位を堅守した。



総合リーダーのマイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)総合リーダーのマイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング) photo:CorVosポイント賞ジャージのマリアアランチオーネに着替えたパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ポイント賞ジャージのマリアアランチオーネに着替えたパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

ウンブリア州のテルニを出発するティレーノ〜アドリアティコ第4ステージウンブリア州のテルニを出発するティレーノ〜アドリアティコ第4ステージ photo:CorVos
ティレーノ〜アドリアティコ2020第4ステージティレーノ〜アドリアティコ2020第4ステージ (c)RCS Sportこれまでトスカーナ州を南下してきたティレーノ〜アドリアティコ(UCIワールドツアー)は、長靴に例えられる半島を横断してアドリア海を目指す進路をとる。ウンブリア州のテルニを出発し、緩やかな前半区間を経由し、アペニン山脈に突入してからは超級山岳グアルド峠(距離10.1km/平均7.5%)を越え、20kmに及ぶダウンヒルを経て2つ目の超級オスペダレット峠(登坂距離7km/平均6.2%)をこなす。

この難関山岳ステージでは0km地点から激しいアタック合戦が開始され、20km地点まで逃げが決まらない展開が続いた。一時5名が逃げたたものの53km地点で引き戻されたことで再びレースは振り出しに。マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼル)やマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、アスタナ)、ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・マクラーレン)、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)、4日間のうち3日間逃げとなるマルコ・カノラ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、そしてマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)といった10名がエスケープしたことで、ようやくレースは落ち着きを取り戻した。

メイン集団ではマリアアッズーラを獲得したマイケル・ウッズ(カナダ)のためにEFプロサイクリングが2日連続でコントロールを担い、逃げ切りの可能性があるエスケープを監視下に置く。10%以上の勾配が続く超級山岳グアルド峠に突入すると先頭集団からフランクとエクトル・カレテロ(スペイン、モビスター)が抜け出し、時間を置いてマシューズが合流。ジロ・デ・イタリアに向けて調整を続けるマシューズは遅れることなくグアルド峠を登りきった。

水しぶき上がる渓谷沿いを走るプロトン水しぶき上がる渓谷沿いを走るプロトン photo:CorVos
超級山岳グアルド峠の短いダウンヒルを飛ばすマシューズ、フランク、カレテロ超級山岳グアルド峠の短いダウンヒルを飛ばすマシューズ、フランク、カレテロ photo:CorVos
グアルド峠とオスペダレット峠の間に位置する、「天空の花畑」として有名な村カステルッチョを通過グアルド峠とオスペダレット峠の間に位置する、「天空の花畑」として有名な村カステルッチョを通過 photo:CorVos
標高1400mほど高地に広がるカステルッチョの大平原を飛ばし、GPMペルージャ(距離3.5km/平均6.7%)の登坂中には遅れていたアレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF)もマシューズグループに合流。GPMペルージャではマシューズが先着し、他3名をリードしながら長い長いダウンヒルに入った。

ダウンヒル終盤ではグアルド峠でメイン集団から抜け出していたポルトガル王者のルイ・コスタ(UAEチームエミレーツ)とルイス・メインチェス(南アフリカ、NTTプロサイクリング)がマシューズグループを捉えることに成功する。しかしEFプロサイクリングが人数を減らしながら追走するメイン集団は、超級オスペダレット峠の序盤区間で逃げていた全てのメンバーをキャッチ。EFに代わってイネオス・グレナディアーズが牽引を開始し、いよいよ今大会最初の山岳決戦が始まった。

超級オスペダレット峠でメイン集団をコントロールするサンウェブとイネオス・グレナディアーズ超級オスペダレット峠でメイン集団をコントロールするサンウェブとイネオス・グレナディアーズ photo:CorVos
イネオス・グレナディアーズのテイオ・ゲイガンハート(イギリス)がゲラント・トーマス(イギリス)を従えてペースメイクした精鋭グループからは、30秒遅れの総合9位サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がアタック。フィニッシュまで12.5kmを残したイェーツのアタックにはウッズとトーマスが飛びつき、今季目覚ましい活躍を見せているアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、アスタナ)と前日2位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)も合流。その後方ではヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)が力なく遅れていった。

先頭4位に対して緩斜面の下り区間で追いついたのはサンウェブ(ケルデルマン&オーメン)とドゥクーニンク・クイックステップ(マスナダ&ノックス)、そしてミッチェルトン・スコット(ハミルトン&ヘイグ)がそれぞれ2名ずつを送り込んだ6名の追走グループ。人数が膨れ上がったことで一瞬牽制状態となった隙を突いて、追いつきざまにアタックしたのはルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)だった。

一直線の下り区間でクラウチングポジションをとり、するすると加速したハミルトンを追撃してCCCチームからシーズン途中移籍したファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が合流。30秒遅れ総合7位のマスナダとステージ優勝を狙うハミルトンの思惑は一致し、総合優勝候補ばかりでローテーションが回らない3番手グループを置き去りにした。

マスナダを下したルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がワールドツアー初勝利マスナダを下したルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がワールドツアー初勝利 photo:CorVos
ボーナスタイムを目掛けてスプリントするマイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)ボーナスタイムを目掛けてスプリントするマイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング) photo:CorVos
牽制状態から、カーシア市街地の緩斜面の登坂上に引かれたフィニッシュラインを目掛け、真っ先にスプリントしたのはハミルトンだった。「事前情報ではマスナダの方がスプリント力があると聞いていたので、残り500mくらいから思い切ってロングスパートした」と言うハミルトンがワールドツアー初勝利に向けて突き進む。同じくワールドツアー初勝利を目前にしたマスナダは遅れ、2017年にオセアニアロード王者に輝いた経験を持つ24歳ハミルトンが、昨年のチェコツアーに続く1年ぶりかつキャリア最大の勝利を達成した。

「初めてのワールドツアー優勝だから本当に嬉しい。最後の登り(オスペダレット峠)はただただしがみ付いて、イェーツがアタックしたのを第2グループから見ていたよ。逃げグループに追いついた時にチャンスを感じて、そのタイミングとスピードを使って抜け出すことができた。自分だけではおそらく逃げ切ることなんてできなかったから、マスナダが付いてきてくれたのはとてもラッキーだった」と喜ぶミッチェルトン4年目のハミルトン。「チームのリーダーがサイモンであることは変わらない。今回の勝利はボーナスであり、僕にとってのステップアップだ。サイモンのような、アシストにチャンスを与えてくれるリーダーを持つことができて幸運だ」と、チームリーダーへの感謝を話している。

ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)はヤングライダー賞ランキング首位に躍進ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)はヤングライダー賞ランキング首位に躍進 photo:CorVos
マリアアッズーラを守ったマイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)マリアアッズーラを守ったマイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング) photo:CorVos
そのSイェーツやマリアアッズーラのウッズ、トーマス、ウラソフといった追走グループは10秒遅れにまとめ、ボーナスタイム10秒を得て合計20秒を稼いだマスナダに対してウッズは総合首位をキープ。「コンディションも良くもう数日マリアアッズーラを守りたい。明日はより厳しいステージだが、今日のようにチームと共に守る走りをしていきたい」と、総合優勝に向けて意欲を見せている。

ティレーノ〜アドリアティコ2020第4ステージ結果
個人総合成績
その他の特別賞
ポイント賞 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
山岳賞 マイケル・ウッズ(カナダ、EFプロサイクリング)
ヤングライダー賞 ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
チーム総合成績 ミッチェルトン・スコット
text:So.Isobe
photo:CorVos

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