序盤からレースを絞り込み、逃げグループに8名中7名を送り込んだオランダがヨーロッパ選手権女子ロードレースを支配した。エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)との一騎打ちを制したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)がチャンピオンジャージを射止めた。



五輪覇者のアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ)五輪覇者のアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ) (c)CorVosスタートを待つアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)スタートを待つアネミエク・ファンフルーテン(オランダ) (c)CorVos

レース中盤の10名逃げを率いるシャンタル・ブラーク(オランダ)レース中盤の10名逃げを率いるシャンタル・ブラーク(オランダ) (c)CorVos
24日の個人タイムトライアルを皮切りに開催されてきた欧州選手権もいよいよ大詰め。大会4日目となる8月27日には109.2kmを走る女子エリートロードレースが行われた。

コル・ド・レソ(距離900m/平均勾配4.7%)とフィニッシュ前2km地点で頂上を超えるポン=ヌフ(距離1000m/平均勾配5.1%)を含む1周13.65kmのアップダウンコースは昨日の男子レース、そして一昨日開催されたGPプルエーと全く同じ。8周回の合計獲得標高は1560mだが、この日は冷たい雨とブルターニュの強い風がレースを一層厳しいものとした。

この日レースをコントロールしたのは8名のエントリー中、現/元世界王者を4名揃えるディフェンディングチームのオランダだった。序盤から五輪覇者アンナ・ファンデルブレヘン(オランダ)がペースアップを行なったことで集団が絞り込まれ、続いたデミ・フォラーリング(オランダ)のアタックによってオランダとイタリア2名づつを含む10名が逃げる形となった。

逃げグループ形成で落ち着くか思われたメイン集団だったが、残り55km以上を残したタイミングで世界王者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ)が仕掛けたことで、カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド)を含む12名が抜け出しす。優勝候補ばかりが揃った追走グループは一瞬で先頭グループとの1分差を詰めて合流。オランダが8名中7名を逃げに載せた一方、スペインのエースを担うマビ・ガルシアはメイン集団に取り残された。

レース先頭で会話するアネミエク・ファンフルーテンとエレン・ファンダイク(オランダ)レース先頭で会話するアネミエク・ファンフルーテンとエレン・ファンダイク(オランダ) (c)CorVos
GPプルエーを制したエリザベス・ダイグナン(イギリス)は落車リタイアにGPプルエーを制したエリザベス・ダイグナン(イギリス)は落車リタイアに (c)CorVos「今日はレースを絞り込む役目を担った」と言うアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)「今日はレースを絞り込む役目を担った」と言うアネミエク・ファンフルーテン(オランダ) (c)CorVos


追走能力を失ったメイン集団に対し、ハイペースを刻んだ優勝候補勢揃いの先頭グループ。ファンデルブレヘンがペースメイクを行い、ファンフルーテンとフォラーリングがアタックを継続する。補給所を過ぎて発生した集団落車によってGPプルエーを制したエリザベス・ダイグナン(イギリス)がリタイアとなり、リサ・ブレナウアー(ドイツ)ら優勝候補も地面に投げ出されてしまう。

風雨と落車、絶えずアタックが掛かり続けるサバイバルレース。マリアンヌ・フォス(オランダ)の加速に乗じて再度仕掛けたファンフルーテンには、かつて2度ジロ・ローザを制したエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)とカタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド)が加わり先行する。更にオランダは2017年に世界選手権を制したシャンタル・ブラークを追いつかせ、有利な形を作った。

ファンフルーテン、ロンゴボルギーニ、ニエウィアドーマ、ブラークが1分差で最終周回へファンフルーテン、ロンゴボルギーニ、ニエウィアドーマ、ブラークが1分差で最終周回へ (c)CorVos
ポン・ヌフで仕掛けるアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)とエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)	ポン・ヌフで仕掛けるアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)とエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア) (c)CorVos
後続に対し1分差で最終周回突入の鐘を聞いた先頭4名。すると残り12km地点のコル・ド・レソで「何としても(力を使いながら合流してきた)ブラークとカシアを振り切りたかった」と言うロンゴボルギーニがアタック。狙い通りブラークを振り払うことには成功したものの、直後の緩斜面ではファンフルーテンがカウンターで先行する。一時4名がバラバラとなったものの、粘り強く追走していたブラークも含め、残り4.5km地点で再び先頭4人がまとまった。

レース最後の登坂ポン=ヌフで、再び仕掛けたのはロンゴボルギーニだった。苦しそうな表情でファンフルーテンがカウンターを仕掛け、これによってニエウィアドーマが脱落。こうしてファンフルーテンとロンゴボルギーニが抜け出しながら、緩い下りから登りに変化するホームストレートに姿を現した。

エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)との一騎打ちを制したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)との一騎打ちを制したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ) (c)CorVos
先行するロンゴボルギーニの背後からファンフルーテンが仕掛け始まったマッチスプリント。「少しタイミングが早すぎた。馬鹿みたいだった」と振り返るファンフルーテンだったが、絞り尽くすようなダンシングにロンゴボルギーニは遅れを取る。何度も何度もフィニッシュラインの位置を確認しながら踏み続けたファンフルーテンが勝利した。

「ロンゴボルギーニは今日とても強かったので全くフリーで動くことができなかった。でもスプリントでは彼女よりも強いと分かっていた」と振り返るファンフルーテンが、苦しみながらも今季6勝目となる大きなタイトルを獲得。表彰式ではアルカンシエルの上にコンチネンタルチャンピオンジャージを重ね着した。

アルカンシエルにコンチネンタルチャンピオンジャージを重ね着するアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)アルカンシエルにコンチネンタルチャンピオンジャージを重ね着するアネミエク・ファンフルーテン(オランダ) (c)CorVos
2位ロンゴボルギーニ、1位ファンフルーテン、3位ニエウィアドーマ2位ロンゴボルギーニ、1位ファンフルーテン、3位ニエウィアドーマ (c)CorVos
「今日は忙しなく動いていたので誰か他のメンバーにチャンスを与えたいと思っていた。アンナと一緒にレースを絞り込むことが今日の役目。超強力な選手8名を揃えたオランダチームにとって、レースを厳しくすることでチャンスがやってきた。最強チームによるレースメイクは本当に楽しかった」と話す新欧州王者は、間髪開けず29日のラ・クルス・バイ・ツール・ド・フランスにも出場予定だ。

「もちろん勝ちたかったけれど、全力を尽くしての2位は悪くない。ここ数ヶ月イタリアのことばかりを考えてきた。アスリートとして観戦してくれる人に感動を与えることしかできないけれど、今日はイタリアジャージに対して恥ずかしくない走りができたと思っている」と言うロンゴボルギーニが2位銀メダル。ブラークを振り切ったニエウィアドーマが3位銅メダルを獲得した。
ヨーロッパ選手権2020女子ロードレース結果
1位アネミエク・ファンフルーテン(オランダ)2:50:46
2位エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)
3位カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド)0:06
4位シャンタル・ブラーク(オランダ)
5位オードリー・コルドンラゴ(フランス)2:30
6位リサ・ブレナウアー(ドイツ)3:28
7位ロッテ・コペッキー(ベルギー)
8位マリアンヌ・フォス(オランダ)
9位エレーナ・チェキーニ (イタリア)
10位アミー・ピーテルス(オランダ)
text:So.Isobe
photo:CorVos
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