ツール・ド・ポローニュ最終日は集団スプリントで決着。ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)が勝利し、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)が危なげなく今季4回目の総合優勝。ドゥクーニンク・クイックステップがファビオ・ヤコブセン(オランダ)に捧げる大きな勝利を挙げた。



逃げを先行させ、平穏に進むメイン集団逃げを先行させ、平穏に進むメイン集団 (c)CorVos
ここまで4日間を消化し迎えた最終日。ポーランドの文化や芸術、そして学研の中心都市であるクラクフを目指す188kmで波乱含みのツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)が決着した。序盤に山岳区間が用意されているものの、後半はほぼフラットのスプリンターコース。フィニッシュ予想はほぼ100%集団スプリントだが、果敢に5名が逃げを打った。

前日にリーダージャージを着用しながら落車し、負傷したリチャル・カラパス(エクアドル、チームイネオス)は今後のレーススケジュールを踏まえ大事を取って未出走に。同じ落車で病院送りとなったイアン・スタナード(イギリス、チームイネオス)は肩の脱臼に苦しんでいるという。

ヨス・ファンエムデン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ら7名が逃げるヨス・ファンエムデン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ら7名が逃げる (c)CorVos
マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)とレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)とレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
この日はチームリーダーを失ったルーク・ロウ(イギリス、チームイネオス)を筆頭に、ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rラモンディアール)、ユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ)、ジェームス・フェラン(オーストラリア、チームイネオス)、カスペルキウィック・プリジミスラウ(ポーランド、ポーランドナショナルチーム)がエスケープ。その後アレクシー・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)とヨス・ファンエムデン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)が加わり、牽引力を増やした逃げグループが最大3分差を持って逃げた。

前日に圧巻の50km独走で総合首位に立ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー)率いるドゥクーニンク・クイックステップが逃げグループとのタイム差を2分以下に留め、終盤に入るとイスラエル・スタートアップネイションやボーラ・ハンスグローエ、コフィディスなどスプリンターを抱えるチームが合流。この中で若干19歳、現ジュニア世界王者のクイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)も牽引に加わった。

最終盤に1周4kmを3周回、合計12kmを走る市街地サーキットコースに入ると逃げグループは吸収され、60km/hものスピードで急速にフィニッシュまでの距離を減らしていく。各チームがアタックを許さないハイペースを刻みながら残り1kmアーチを通過し、他選手と接触してシューズとペダルが外れたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、バーレーン・マクラーレン)は脱落。好アシストを受けたジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)の加速によって、2020年ポローニュ最後のゴール勝負が始まった。

最後まで粘るヨス・ファンエムデン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)とユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ)最後まで粘るヨス・ファンエムデン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)とユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ) (c)CorVos
2年ぶりの勝利を掴んだダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)2年ぶりの勝利を掴んだダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
ジェームズ・ノックス(イギリス)と勝利を喜ぶレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)ジェームズ・ノックス(イギリス)と勝利を喜ぶレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
トップスピードに乗せ切れないストゥイヴェンを抜いたパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)とジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)が横並びでもがき続けたが、軽快なライン取りで背後から急加速したのはダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。「超高速スプリントだったけれど調子は良かった。タイミングを待って残り100mで仕掛けたんだ」と言うバッレリーニが先着。昨年アスタナから移籍した25歳のスプリンターが、約2年ぶりの勝利を掴んだ。

「様々な感情がわきたったこの1週間を最高の形で締めくくれることができた。初めてのワールドツアー勝利は満足しているけれど、一時困難な時を過ごしたドゥクーニンク・クイックステップというファミリーの一員として、こうして結果に繋げられたことが何よりも嬉しい」とバッレリーニは加えている。

また、危なげなく集団内フィニッシュしたエヴェネプールは、今年ブエルタ・ア・サンフアン、ヴォルタ・アン・アルガルヴェ、そしてシーズン再開後のブエルタ・ア・ブルゴスに続く4度目の総合優勝を達成。エヴェネプールにとってワールドツアーの総合優勝はキャリア初であり、ポローニュが2005年にワールドツアー昇格してから最年少優勝となる。ドゥクーニンク・クイックステップはステージ2連勝と総合優勝を加え、今季勝利数を23にまで伸ばしている。

ツール・ド・ポローニュ2020総合表彰台ツール・ド・ポローニュ2020総合表彰台 (c)CorVos
今季4つめの総合優勝を挙げたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)今季4つめの総合優勝を挙げたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
「僕たちにとって最悪の幕開けだったけど、最良の形でポローニュを終えることができた。3ステージ優勝と総合優勝は素晴らしく、そして何よりファビオが回復しているというニュースが何よりも嬉しい。彼の情報が病院から届いたその瞬間から僕たちのモチベーションにブーストがかかったんだ」と、今期の総合優勝率100%を維持している20歳は未だ大怪我に苦しむチームメイトに思いを馳せている。

「自分のパフォーマンスと結果にはおおよそ満足している」と語るのは、総合2位のヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ)。「昨日は取りこぼしてはいけないステージだったけれど、ただ一人があまりにも速かった。ただそれも含めて初参加のポローニュは素晴らしいレースだったし、勝てるステージこそ多くはなかったものの良いトレーニングになった」。

エヴェネプールとフルサンは共に今週末に控えるイル・ロンバルディアに出場し、総合3位のサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)はジロ・デ・イタリアに向かう予定だ。
ツール・ド・ポローニュ2020 第5ステージ結果
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 4:31:22
2位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、サンウェブ)
4位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、NTTプロサイクリング)
5位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)
6位 ルディ・バルビエ(フランス、イスラエル・スタートアップネイション)
7位 ホアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
8位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・マクラーレン)
9位 シュモン・サイノク(ポーランド、CCCチーム)
10位 アルベルト・トーレス(スペイン、モビスター)
個人総合成績
1位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) 21:29:58
2位 ヤコブ・フルサン(デンマーク、アスタナ) 1:52
3位 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 2:28
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 2:32
5位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 3:09
6位 カミル・マウェツキ(ポーランド、CCCチーム) 3:12
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) 3:15
8位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィズマ) 3:18
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) 3:19
その他の特別賞
ポイント賞 ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)
山岳賞 パトリック・ストーツ(ポーランド、ポーランドナショナルチーム)
チーム総合成績 ミッチェルトン・スコット
text:So.Isobe
photo:CorVos

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