平均11%の超級山岳に登りつめるブエルタ・ア・ブルゴス最終日に、前々日精彩を欠いたイバン・ソーサ(コロンビア、チームイネオス)がステージ優勝。ライバル勢をコントロール下に置いたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)が総合優勝を飾った。



山岳賞リーダーのゴッツォン・マルティン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が入った逃げグループ山岳賞リーダーのゴッツォン・マルティン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が入った逃げグループ (c)CorVos
ブエルタ・ア・ブルゴス2020 第5ステージ コースプロフィールブエルタ・ア・ブルゴス2020 第5ステージ コースプロフィール (c)Vuelta a Burgosイタリアのトスカーナでストラーデビアンケが開催されている最中、スペイン北部カスティーリャ・イ・レオン州にあるブルゴス県ではブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.Pro)の最終第5ステージが行われた。

標高900mの街コバルビアスをスタートして以降、ステージ中盤まではほぼ平坦だが、後半戦に入るとカテゴリー山岳が合計4箇所登場する。最後は3級山岳アルト・デル・コラド(登坂距離6.7km/平均勾配3.8%)と超級山岳ラグナス・デ・ネイラ(登坂距離4.2km/平均勾配11.0%)をぶっ通しで登る最終日に、最後の総合成績争いが繰り広げられた。

この日は山岳賞ランキング首位を走るゴッツォン・マルティン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)やダニエル・ナバーロ(スペイン、イスラエル・スタートアップネイション)、アンヘル・マドラソ(スペイン、ブルゴスBH)が逃げ、総合優勝に王手を賭けたレムコ・エヴェネプール(ベルギー)擁するドゥクーニンク・クイックステップがコントロールを担う構成で距離を減らしていく。全ステージを通じて積極的に山岳ポイントを重ねたマルティンは、最終的にエヴェネプールに対し5ポイント差で山岳賞を確定させている。

ユンボ・ヴィズマ勢が集団をコントロールユンボ・ヴィズマ勢が集団をコントロール (c)CorVos
チャベスのために集団の絞り込みを掛けるミッチェルトン・スコットチャベスのために集団の絞り込みを掛けるミッチェルトン・スコット (c)CorVos
3級山岳アルト・デル・コラドが迫ると逃げグループ内からは昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージで逃げ切ったマドラソが先行したものの、山岳勝負に向けてペースを上げる集団を振り切るには至らない。残り11kmを切ってマドラソは飲み込まれ、ユンボ・ヴィズマやグルパマFDJ、ミッチェルトン・スコットらのコントロールで緩斜面が続く3級山岳を突き進んだ。

下りを挟むことなく平均勾配11.0%を誇るラグナス・デ・ネイラに入るや否や、攻撃に出たのは32秒遅れ/総合3位のミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)だった。このアタック1発でモビスター勢(アレハンドロ・バルベルデ、ルイス・マス、マルク・ソレル)は崩壊し、「今日は脚が無かった」と言う18秒遅れの総合2位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)も脱落。力強く進むランダには、時間を置いて総合首位エヴェネプール、35秒遅れの総合4位エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット)、そして前回の山岳ステージで大きく遅れたイバン・ソーサ(コロンビア、チームイネオス)が合流した。

エヴェネプールとランダのペースメイクによってチャベスが脱落し、後方からは45秒遅れの総合5位ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)が追い上げる。しかしチームメイトの合流を待つことなくエヴェネプールは自らランダとソーサに攻撃を加えた。

力強いダンシングで一気にリードを稼いだエヴェネプールだったが、マイペースで追走したランダとソーサが急勾配区間でキャッチ。するとフィニッシュまで700m地点で、ここまで沈黙を保ってきたソーサが鋭く加速した。

フィニッシュめがけて独走するイバン・ソーサ(コロンビア、チームイネオス)フィニッシュめがけて独走するイバン・ソーサ(コロンビア、チームイネオス) (c)CorVos
軽快なアタックで超級山岳フィニッシュを制したイバン・ソーサ(コロンビア、チームイネオス)軽快なアタックで超級山岳フィニッシュを制したイバン・ソーサ(コロンビア、チームイネオス) (c)CorVos
ステージ3位で走り終えたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)ステージ3位で走り終えたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos総合2位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)はステージ17位でフィニッシュ総合2位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)はステージ17位でフィニッシュ (c)CorVos


クライマーらしい軽快な走りで駆け上がったソーサが、追走するランダを寄せ付けずに先着。第3ステージの超級山岳ピコン・ブランコで遅れ、3年連続の総合優勝を逃したゼッケン1がステージ優勝で雪辱を果たした。

「3年連続総合優勝を狙っていたけど失敗してしまった。だからこそ今回の勝利は本当に嬉しい」と語るソーサ。「ものすごいハイペースで進んだレースだったので、厳しさを増す残り500mでアタックできると思っていた。ショーを見せることができたし、練習を重ねて進歩していきたい」と加えている。

総合優勝したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)と2位のミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)総合優勝したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)と2位のミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) (c)CorVos
ランダから距離を空けず、ステージ3位で走り終えたエヴェネプールは総合優勝を確定させた。エヴェネプールは今年序盤のブエルタ・ア・サンフアン、ヴォルタ・アン・アルガルヴェとUCI2.Proクラスのステージレースで2連続優勝しており、今季出場したステージレースを全て優勝するという底知れないポテンシャルを見せつけることとなった。

「ミッション完了!登りはかなり厳しくて自分に有利なことがあまり無かったけど、多くの総合勢から先行し、ライバルをずっと視界に捉えながら走ることができちゃ。苦しんで、攻める走りが必要だったけれど、とても良い1日になった。今季7勝目だなんて、これ以上の幸せはないと思う。3つのステージレースで3つの総合優勝。今のところ完璧なシーズンを送ることができている」と語るエヴェネプール。来週はツール・ド・ポローニュへと参戦予定だ。

ベネットが大きく遅れ総合5位に転落したため、ランダに続いてホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ)が総合表彰台圏内を獲得。ドゥクーニンク・クイックステップにとっては総合ワンスリー、ステージ2勝、ヤングライダー賞獲得と大成功の5日間となった。
ブエルタ・ア・ブルゴス2020 第5ステージ結果
1位 イバン・ソーサ(コロンビア、チームイネオス) 3:47:56
2位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) 0:09
3位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:11
4位 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:38
5位 レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 0:43
6位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 0:44
7位 ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) 0:58
8位 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 1:02
9位 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 1:10
10位 ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ) 1:12
個人総合成績
1位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) 19:14:42
2位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) 0:30
3位 ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) 1:12
4位 エステバン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・スコット) 1:26
5位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) 1:40
6位 リチャル・カラパス(エクアドル、チームイネオス) 1:58
7位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエル・スタートアップネイション) 2:25
8位 ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ) 2:34
9位 ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) 2:36
10位 ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット) 3:00
その他の特別賞
山岳賞 ゴッツォン・マルティン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
ポイント賞 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・マクラーレン)
ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
チーム総合成績 ミッチェルトン・スコット
text:So.Isobe
photo:CorVos

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