チームブリヂストンサイクリングのウェアサプライヤーとしてレーススペックのウェア開発を行うウエイブワン。エアロダイナミクスを意識したグルーブド生地を袖と背中に使用したフラッグシップモデル「レジェフィットスピード半袖ジャージ」を紹介しよう。



ウエイブワン レジェフィットスピード半袖ジャージウエイブワン レジェフィットスピード半袖ジャージ 撮影はサンプル。通常品より袖が2cm長い
現代は自転車のみならず選手が身につけるものまで空力特性を考慮する時代だ。1ワットでも走行抵抗を低減することが勝利に結びつく可能性もあるため、各社がアドバンテージを得るための研究開発に取り組み、試行錯誤の末にプロダクトを世にリリースしている。そして、その中からスタンダードとなる技術が生み出されることも。

ロードレースやトラックのようにエアロダイナミクスが求められる競技のアパレルでは、生地の表面処理によるエアロダイナミクス向上が1つのトレンドとなっている。その最たる例が、今回紹介するレジェフィットスピード半袖ジャージにも採用される溝がストライプのように並ぶグルーブド生地だ。

溝の目的はウェアに当たった走行風の整流効果を高めること。世界のトップチーム、ナショナルチーム、トラック用ウェアでもグルーブド生地が用いられていることから、その優位性には期待できるはずだ。ウエイブワンでは袖の前面だけではなく、肩と肩甲骨周りまで同様の生地を採用し、エアロダイナミクスの向上を図っている。

切りっぱなし仕様の袖には、スピードラインという空力性能を向上させる生地が採用されている切りっぱなし仕様の袖には、スピードラインという空力性能を向上させる生地が採用されている
またウエイブワンが使用する溝つき生地「スピードライン」は生地全体に伸縮性が備えられたことに加え、溝部分はメッシュとされ通気性が備えられていることもポイント。ダンシングなどで体を動かしたり、高温環境下でもレースを行ったりする上で必要な快適性が確保されているはずだ。

レジェフィットプロ半袖ジャージと比較してローハイトな襟もレジェフィットスピード半袖ジャージの特徴。最も低い部分で約1.5cm幅とされた襟は走行風を受けてもバタつかないため、エアロダイナミクス向上や肌にまとわりつくことによる不快感の軽減を期待できるだろう。

袖丈は近年主流となった肘上まで伸びる丈を採用。欧州ブランドではテープによる滑り止めが用いられることが多いが、ウエイブワンはカットオフ仕様としている。それは高温多湿の日本という環境においては、袖口の快適性も必要だという考えがあるためだ。少しでも選手に快適さを感じてもらいたいというウエイブワンのこだわりが表れている。

非常に背の低い襟を採用している非常に背の低い襟を採用している 肩甲骨部分までスピードライン生地が用いられている肩甲骨部分までスピードライン生地が用いられている

バックポケットは台形状にカットされているため、手を差し込みやすいバックポケットは台形状にカットされているため、手を差し込みやすい 袖の内側から脇にかけては伸縮性を備えた生地が配置される袖の内側から脇にかけては伸縮性を備えた生地が配置される


スピードライン生地を使用していない前身頃、後ろ身頃、脇部分は、吸汗性とストレッチ性、耐久性を考慮し、レジェスキンとレジェハニカムを必要に応じて配置している。チームブリヂストンサイクリングの意見を反映させたハイスペックウェアのレジェフィットスピード半袖ジャージ。プロ用ウェアながら14,000円/1着+税という価格に設定されており、コストパフォーマンスにも優れていると言えそうだ。詳しいオーダーシステムについてはウエイブワンのホームページを確認して欲しい。



―編集部インプレッション

エアロにこだわったジャージは、一目見ただけでも特別なオーラを放っているもの。速さを追求するプロダクトに共通する"いかにも"な雰囲気は、ここ一番のレースはもちろんトレーニングでもやる気にしてくれる。

世界のレースシーンで目にする機会が増えた溝つきのエアロ生地を袖から背中に至る広い範囲に採用したレジェフィットスピードジャージも例外ではない。手に取った瞬間から、プロスペックの空力性能を期待させる仕上がりで、こういうジャージに袖を通す時はいつだってワクワクするものだ。

ウエイブワン レジェフィットスピード半袖ジャージウエイブワン レジェフィットスピード半袖ジャージ
エアロ系のジャージで最も重要となるのはフィッティングだ。いかに優れた技術を用いた生地でも、走行風をはらんでしまうようでは台無しだ。肌に密着し、皺になることのないタイトさと身体の動きへの追従性を両立するカッティングがエアロジャージには求められる。

その点、レジェフィットスピードは非常に高いレベルにある。袖の内側から脇、また前身頃にかけて伸縮性に優れた生地を配置することで、程よいフィット感を実現しているのだろう。身体に柔軟にフィットしてくれる自然な着用感だ。ちなみに、身長175cm/体重59kgの私が今回試着したのはSサイズ。生地がルーズにならず、フィット感もタイトすぎなく適正サイズと感じた。

更に、ウエストに配置された滑り止めのゴムがズレ上がりを抑えつつ、伸縮性の高さによってダンシングなど大きな身体の動きにも着いてくる。ウェアと身体の一体感があり、この点は非常に好印象を受けた。

それだけではない。シリコングリッパーを使用しない切りっぱなしの袖、熱を排出しやすい背中のメッシュ生地、アクセスしやすい配置と形状のバックポケットなどから、ディテールまでこだわって開発されたことが伝わってくる。長時間サドルの上で戦い続けるロードレースにおいて、ウェアに求められるのは空力性能の高さだけではない。快適に過ごせる性能や仕様も重要だ。それらが実現されているところに、プロチームとの共同開発品らしさを感じる1着だった。(CW編集部・高木)

ウエイブワン レジェフィットスピード半袖ジャージウエイブワン レジェフィットスピード半袖ジャージ


ウエイブワン レジェフィットスピード半袖ジャージ
素材:スピードライン、レジェスキン、レジェハニカム
価格:14,000円/1着+税

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