アルカンシエルを身に纏うアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)の勢いが止まらない。スペインで開催されたワンデーレース「ドゥランゴ・ドゥランゴ エマクメーン・サリア」で独走勝利。シーズン再開後いきなり3連勝を射止めている。



最終登坂区間で独走に持ち込むアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)最終登坂区間で独走に持ち込むアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) (c)Duranguesa
7月26日(日)に開催された「ドゥランゴ・ドゥランゴ エマクメーン・サリア」は、バスク州ビスカヤ県の街ドゥランゴと、その周辺の峠道を使ったワンデーレース。2日前まで開催されたナバラ・ウィメンズエリートクラシックからの転戦組に加え、マリアンヌ・フォス(オランダ)やアシュレー・ムールマン(南アフリカ)擁するCCC・リブがレース復帰を果たした。

コースは平坦基調の周回コース(18km)を5周し、ドゥランゴ市街地の北側にある標高385mの山岳を2度登ってフィニッシュを目指す113km。スタート直後からアタックと吸収を繰り返しながら高速で進み、レース開始後1時間の平均スピードは42.6km/hに達した。

逃げという逃げが決まらないまま距離を消化し、1つ目の山岳区間に入ると前々日のナバラ・ウィメンズエリートクラシック初日に積極的な走りを見せたマビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ)がアタック。この動きで先頭が絞り込まれ、アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)やアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス)、ガルシア、フォスなど精鋭メンバーばかりが入った17名が先行する展開となった。

みたび勝利したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)みたび勝利したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) (c)Duranguesa
すると、距離4.7km、平均勾配5.6%の最終山岳では「今日の勝負所はよく知っている場所だったので、勝ちを狙ってずっと息を潜めていた」というファンフルーテンが目論見通りアタックし、独走体制に持ち込む。連日世界王者のアタックを許していたアンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス)が10秒差で追走を続けていたものの、前世界TTチャンピオンの背中は届きそうで届かない。下りと1kmの平坦区間を力で押し切ったファンフルーテンが、圧巻のシーズン再開後3レース全勝を射止めてみせた。

「今シーズン4連勝だなんて初めて。まったく本心で言えば3レースで3勝できるなんてアンビリーバブル。こんなことが起こるなんて全く想像していなかった。でも、金曜日に勝ったことは心の底から驚いたけれど、今日は自分向きだったので狙っていた」と、世界選手権から負けなしの5連続勝利を飾ったファンフルーテンは振り返る。

ドゥランゴ・ドゥランゴ エマクメーン・サリア2020表彰台ドゥランゴ・ドゥランゴ エマクメーン・サリア2020表彰台 (c)Duranguesa
「最後の登りの序盤にアタックして、その後アシュレー・ムールマンが私が驚くほど強力にアタック。それでもフォローすることができたので、中盤区間で追い抜き、あとは自分のペースで頂上まで踏み込んだ。アンナ(ファンデルブレヘン)が10〜15秒差で追いかけてきたので下りと平坦を全力で逃げた時、彼女と競り合っていた過去のレースを思い出した。下りを楽しむこともリラックスもできなかったけれど、美しい終盤戦だったと思う。全てのレースで勝てるだなんて思っていないけれど、5連勝している今の気分は最高。みんなが"アルカンシエルの呪い(=アルカンシエルを着用すると成績が落ち込むジンクス)"について聞いてくるけれど、今はまだ呪われていないので嬉しい」と加えている。
ドゥランゴ・ドゥランゴ エマクメーン・サリア2020結果
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 2:51:17
2位 アンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス) 0:18
3位 エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) 1:05
4位 クララ・コッペンベルグ(ドイツ、エキップ・ポール カ) 1:07
5位 マルタ・カヴァッリ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) 1:38
6位 アシュレー・ムールマン(南アフリカ、CCC・リブ)
7位 エレン・ファンダイク(オランダ、トレック・セガフレード)
8位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
9位 マビ・ガルシア(スペイン、アレ・BTCリュブリャナ)
10位 アン・サンテステバン(スペイン、セラティツィット・WNTプロサイクリング)
text:So.Isobe