フランスの老舗タイヤブランド、ハッチンソンのロード用ハイエンドタイヤ、FUSION 5 GALACTIK 11STORMをインプレッション。同社が満を持して開発した高性能コンパウンド"イレブンストーム"を投入した意欲作の実力に迫る。



チューブレスレディ、クリンチャーが揃うハッチンソン FUSION5 GARACTIK 11STORMチューブレスレディ、クリンチャーが揃うハッチンソン FUSION5 GARACTIK 11STORM
1853年に創業し、160年以上の歴史を誇るハッチンソン。自動車や半導体に使用されるシリコーンや様々な天然/合成ゴムに関する製品を手掛け、身近なところでは新幹線の部品サプライヤーでもある総合エラストマーメーカーであることは、あまり知られていない事実だろう。

創業以来、ゴムに関わる広い分野の知見を蓄積してきたハッチンソンは、1890年に自転車用タイヤの製造へ参入。自転車タイヤ部門だけ見ても1世紀を越える歴史を有する老舗であるが、その一方で先進性を持ち合わせたブランドでもある。

記憶に新しいところでは、ロード用チューブレスタイヤの先鞭をつけたのはほかならぬハッチンソンだ。2006年に世界初のロード用チューブレスタイヤ、Fusion2 Tubelessを発表。欧州系ホイールブランドの推奨チューブレスタイヤとして名を挙げられてきた。

ビード周りのケーシングに差異を確認できる。左はTLR、右はCLビード周りのケーシングに差異を確認できる。左はTLR、右はCL タイヤサイドのケーシングもそれぞれ異なっているタイヤサイドのケーシングもそれぞれ異なっている


Tubeless ReadyというロゴがあしらわれているTubeless Readyというロゴがあしらわれている ハッチンソンはシーラントも用意しているハッチンソンはシーラントも用意している


そんなハッチンソンの現在のハイエンドモデルとなるのがFusion5シリーズだ。2016年に初代が発表され、2018年に新開発コンパウンド"イレブンストーム"を採用したFUSION 11STORMシリーズへとモデルチェンジ。

風の強さを表すビューフォートスケールにおいて、2番目に強烈な11段階目を表す暴風から名前を取ったこのコンパウンドを開発するために、ハッチンソンは3年の期間を投じた。開発に際しては、タイヤにおける各性能を数値化し、それらの性能を突き詰めることで、"転がり性能"、"グリップ"、"快適性"、"重量"、"耐パンク性"、"耐久性"という6要素を高次元でバランスし高性能コンパウンドとして完成したという。

その性能は実際のテスト結果にも表れている。Fusion5との比較において転がり抵抗は14%減少、ウェット時のグリップ力は11%増加。耐久性についても19%増加といった性能向上を実現しているというのが、"イレブンストーム"コンパウンドのもたらした効果だ。

今回インプレッションするのは、そのFusion5 11STROMシリーズの中でも最軽量を誇るレーシングモデル、Fusion 5 Galactik 11STORM。クリンチャー仕様の25Cで190g、チューブレスレディの25Cで240gというプレミアムモデルの実力に迫る。



― 編集部インプレッション

ハッチンソン FUSION5 GARACTIK 11STORMハッチンソン FUSION5 GARACTIK 11STORM
25Cで182gという重量のクリンチャーモデル25Cで182gという重量のクリンチャーモデル チューブレスレディは25Cで220gチューブレスレディは25Cで220g


さて、早速で悪いのだけれど直前に公称重量を書いたが訂正させていただこう。編集部に到着したタイヤを実測してみたところ、クリンチャー(以下、CL)の25Cが182g、チューブレスレディ(以下、TLR)は220g。CLは誤差の範囲内といえるだろうが、TLRは10%近く軽い計算になる。重ければカタログ詐欺だ!と手厳しく糾弾するところであるが、軽い分にはニコニコ顔でホイールに取り付けるのみである。

ホイールへの装着の容易さはCL/TLR共にかなり容易な部類。CLはカンパニョーロのBORA 35、TLRはイーストンのEA90 SLXとの組み合わせだが、双方ともタイヤレバーを使うことなくスムースに取り付けできた。

特にTLRに関しては、あえてシーラントを使用せずにビードが上がるか試してみたところ、フロアポンプで一発OK。そのまま2時間ほど放置しても、乗れなくなるほど空気圧の低下は起きず。ホイールとの相性も大きいのだろうが、TLRタイヤと思えないハイレベルな気密性に、ロード用チューブレスタイヤのパイオニアとしての矜持を垣間見た。とはいえこれはあくまで実験なので、実使用時にはシーラントをしっかり入れてください。

「際立つ外周部の軽さ」というCW編集部の安岡「際立つ外周部の軽さ」というCW編集部の安岡
さて、まずはいまだにスタンダードであるCL仕様から。推奨空気圧は6~7.5Barということで、まずは7Barにセットし、走り始めてみた。

手に取ったときに感じた軽さは、漕ぎ出した瞬間から実感できる。昔、ヒルクライム用に19Cの極細タイヤに50gの超軽量チューブを組み合わせた時に覚えた感動が甦る。羽が生えたような、とかギアが一枚軽くなったような、とか陳腐な言い回しではあるが、そういった類の軽さを感じられるタイヤだ。

際立つ外周部の軽さのおかげで、加減速はお手の物。転がりの軽さも並み居るライバルたちに対して一歩も引けを取ることはない。コンパウンド自体の性能もあるのだろうが、どちらかというと薄いトレッドと柔らかめのケーシングによる変形ロスの少なさが効果を発揮しているように感じる。前述の質量の軽さも相まって、ヒルクライムでは大きな武器となるはずだ。

トレッドは控えめな矢印パターンのみトレッドは控えめな矢印パターンのみ
乗り心地に関していえば、7Barで使っていると快適とは言い難い。固めのアルミバイクに組み合わせているのもあるが、路面状況はダイレクトに身体に伝わってくる印象だ。少し空気圧を落としてやると、大分快適性は向上する。一方で、軽快感が落ちるかと言えばその幅はかなり少ないため、乗り心地を優先した空気圧セッティングが正解だと感じる。

コーナーリングではイレブンストームコンパウンドのグリップの高さの片鱗は感じ取れた。しなやかなケーシングのおかげで、倒しこんでいった時も挙動の変化も掴みやすく安定している一方、グリップの限界値自体の高さもあり、かなり余裕をもってコーナーを処理できる。

さて、一方のTLR仕様について言えば、これらの性格はそのままに更に全方位にキャパシティを持った性能に仕上がっている。特に大きく差が出るのは快適性についてだろう。この部分に関しては、TLRを試してしまうとCLには戻れなくなるほど。CLが「ガッタン」と乗り越えるギャップをTLRは「コトン」といなしてしまうような、明白な差がある。

ハッチンソン FUSION5 GARACTIK 11STORMハッチンソン FUSION5 GARACTIK 11STORM
快適性に余裕があるため、空気圧のセッティングについても許容範囲が広がっている。とはいえ、基本的には低めが吉。転がりもTLRのほうが軽いので、空気圧は低めでも問題ないうえ、トラクションもかかりやすいので圧倒的に速い。

正直、CLの利点といえば重量面くらいか、と思いきや両者の重量差は実測で40gを切っているため、シーラントをハッチンソン推奨量である30cc程度入れるならば70g以下のチューブを使わない限りCL仕様に大きな重量的アドバンテージは無い。気密性の高さを見れば、シーラントの量も少なめで済みそうなので、CLよりもTLRのほうが軽く仕上げられる可能性も十分にある。

どんどん高性能化が進むロードレーシングタイヤの中でも、高い総合性能を持ちつつ出色の軽さが光るのがFUSION5 GARACTIK 11STORMだ。ヒルクライムではその絶対的な軽さが、ロードレースでは鋭い加速性能と高いグリップが、辛い局面で助けとなってくれるだろう。そして、TLRモデルは、チューブレスタイヤのネックであった重さを克服しつつ、チューブレスタイヤに匹敵する気密性を持つ極めて扱いやすいレーシングタイヤに仕上がっている。ロード用チューブレスタイヤの祖が送り出す自信作、一度試してみては。(CW編集部 安岡)



ハッチンソン FUSION5 GARACTIK 11STORM(チューブレスレディ)
サイズ:700×25
補強材:ハードスキン
コンパウンド:11ストーム
ケーシング:127TPI
重量:240g(+/-7%)
価格:7,800円(税抜)

ハッチンソン FUSION5 GARACTIK 11STORM(クリンチャー)
サイズ:700×23、700×25
補強材:ライトスキン レインフォースド
コンパウンド:11ストーム
ケーシング:127TPI
重量:23C/180g、25C/190g(+/-7%)
価格:7,000円(税抜)

ハッチンソン Protect Air Max
用途:シーラント
容量:120ml
価格:1,500円(税抜)


ハッチンソン、11ストームコンパウンド、TLRについては、ポディウムのnote記事でも掲載されている。リンクはこちら→プラネットポディウム(note)

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