本来であればパリ〜ルーベが開催されるはずだった4月12日(日)、チームイネオスがズイフト上でeグループライドとeレースを開催。超級山岳に挑むeレースではTT世界王者のローハン・デニス(オーストラリア)が優勝を飾った。



チームイネオスに所属する選手30名がレースに加わったチームイネオスに所属する選手30名がレースに加わった (c)Team INEOS
ズイフト上のバーチャル超級山岳「アルプ・デュ・ズイフト(距離12.2km、獲得標高1036m、平均勾配8.5%)」を舞台にしたeレースには、15,530人というズイフト史上最高人数を集めたグループライドでウォーミングアップを経た30人の選手たちがそれぞれの自宅から参戦した。

英語実況と解説、そして選手の事前インタビューやデイブ・ブレイルスフォード代表の中継インタビューなどが組み込まれたeレースは、序盤に英王者のベン・スウィフトやルーク・ロウ、イアン・スタナードなどイギリス勢や、トラック個人追抜世界王者のフィリッポ・ガンナ(イタリア)らが20〜30秒差で逃げる展開でスタート。しかし本格的な登りがスタートすると、TT世界王者のローハン・デニス(オーストラリア)と、トライアスロンからロードレース復帰したキャメロン・ワーフ(オーストラリア)が抜け出した。

先頭でフィニッシュするローハン・デニス(オーストラリア)先頭でフィニッシュするローハン・デニス(オーストラリア) (c)Team INEOS
しかし二人のランデブーは長くは続かず、「アタックするとカム(ワーフ)が付いてきて、長時間彼に楽をさせるわけにはいかなかった。そこから少しペースを上げて彼を振り落とし、そこからはTTペースを刻んだよ」とデニスが独走に持ち込み、常時6.5倍W/kgほどの出力を維持続ける。最終的に2位エディ・ダンバー(アイルランド)に56秒、3位ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)に59秒差をつけ、多くの視聴者が見守る中勝利を飾った。

「誰と走ることも許されていない状況だけど、こうしたテクノロジーが存在する僕たちはすごく幸運だ。僕らが日頃していること、そしてどんな方法で練習しているのかを通して、ファンに提供できることがあるのだから」と、デニスはプレスリリースの中で語っている。

また、2月末のUAEツアーで実戦復帰していたクリストファー・フルーム(イギリス)は、デニスから2分半遅れの6位でフィニッシュ。大怪我からの復活が順調に進んでいることをアピールしている。

集団を組んで走る選手たち。チームジャージやバイクも特別に用意された集団を組んで走る選手たち。チームジャージやバイクも特別に用意された (c)Team INEOS
ブレイルスフォード代表はリリースの中で「ファンタスティックで手に汗握る、とても楽しめるレースだった。ローハンのTT世界王者たる理由が分かったと思うし、エディも非常に良いコンディションだったが、今回のレースで私の視線を奪ったのはフルームだ。(怪我から)復活を遂げた男による凄まじい走りで、彼がすでに舞台に戻っていること、そしてレースが再開した時には、戦力となることを証明する指標になった」とコメント。


「ローハンのターゲットは今年のオリンピックだったが、日々変わりゆく情勢の中で、誰もが目標の再構築を強いられている。レースが動き出した時のセレクションなどを全て再考する必要があり、私は再びレースが催されることを信じてやまない。今シーズン最も重要なことは私たちが結束することであり、今最も重要なレースとはヒューマン・レース(=人類)だ。この状況下でこうしたイベントは誰にとっても素晴らしいものであり、それはチームにとっても同じこと。(バーチャルであっても)こうしたレース観戦は、忘れかけてたものを思い起こさせてくれるのだから」と加えている。
チームイネオスEレース結果
1位 ローハン・デニス(オーストラリア) 58'01"
2位 エディ・ダンバー(アイルランド) +56"
3位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド) +59"
4位 キャメロン・ワーフ(オーストラリア) +2'03
5位 パヴェル・シヴァコフ(ロシア) +2'11"
6位 クリストファー・フルーム(イギリス) +2'33"
7位 イバン・ソーサ(コロンビア) +3'45"
8位 イーサン・ヘイター(イギリス) +3'50"
9位 ジョナタン・カストロビエホ(スペイン) +4'15"
10位 カルロス・ロドリゲス(スペイン) +4'48"
text:So.Isobe

最新ニュース(全ジャンル)