新型コロナウイルスの世界的な蔓延による影響は止むことなく、8月のラリー・H・ミラー・ツアー・オブ・ユタ(2.PRO)までもが中止となった。同レースの開催日は8月3日〜9日の7日間。米国時間4月3日夜に、大会公式サイトとSNSを通じてこの発表は行われた。UCIは先の発表で、カレンダーにある6月1日までのレースを中止するとしているが、その2ヶ月先となる8月のレースキャンセルはこのツアー・オブ・ユタが初めてだ。



ユタ州の雄大な自然を行くプロトンユタ州の雄大な自然を行くプロトン (c)Cor Vos
同レースの会長であるスティーブ・ミラーは「我々はホストコミュニティやライダー、ファン、パートナーの最善の利益を念頭に置き、参加者全員の健康と安全のため、この8月のレースを開催しない、と言う難しい決断を下しました」と、声明を発した。8月8日に同時開催予定だった市民ライドイベント「アルティメット・チャレンジ」も同様に中止となっている。

2004年から2019年までアメリカのステージレースとして開催されてきたこのレースは、未開催の2007年を含め15年をかけ、その格付けを2.1(2011〜)、2.HC(2015〜)と上げ、今年は2.PROのUCIプロシリーズとして5つのワールドチームを含む17チームでのスタートが決まっていた。

昨年の総合優勝はベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエルサイクリングアカデミー)で、第4ステージでは2017ジャパンカップ覇者のマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が制している。2018年はセップ・クス(アメリカ、ロットNL・ユンボ)が総合優勝。(※所属チーム名は当時のもの)

ツアー・オブ・ユタ2019総合優勝のベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエルサイクリングアカデミー)ツアー・オブ・ユタ2019総合優勝のベン・ヘルマンス(ベルギー、イスラエルサイクリングアカデミー) (c)Cor Vos
ツアー・オブ・ユタ2019第4ステージを制したマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)ツアー・オブ・ユタ2019第4ステージを制したマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) (c)Cor Vosリーダージャージのベン・ヘルマンスを守りながら走るイスラエルサイクリングアカデミーリーダージャージのベン・ヘルマンスを守りながら走るイスラエルサイクリングアカデミー (c)Cor Vos

すでに昨年10月、UCIワールドツアーのツアー・オブ・カリフォルニアが財政的理由から2020年の開催を断念しており、アメリカの関係者やファンの間ではツアー・オブ・ユタの開催が心待ちにされていた。しかし、今季同国におけるUCIワールドチーム参加のステージレースは、今回の発表により消滅したことになる。

今年後半に発表される2021年のUCIレースカレンダーには、ツアー・オブ・ユタが含まれることになるだろう、と主催者は述べている。

text: Yuichiro Hosoda

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