御殿場MTBパークFUTAGOにおいて3月21日に開催されたマウンテンバイクレース 「CSC Classic」。各クラスの優勝者たちが駆ったクロスカントリー仕様のMTBを紹介する後編。アップダウンの厳しいコースを走破するバイクとは?(前編はこちら



エリート女子優勝 早瀬久美(日本ろう自転車競技協会)
メリダ BIG NINE9000


エリート女子優勝 早瀬久美(日本ろう自転車競技協会) メリダ BIG NINE9000エリート女子優勝 早瀬久美(日本ろう自転車競技協会) メリダ BIG NINE9000 photo:Makoto.AYANO
エリート女子を制したのは聴覚障害のあるアスリートチーム、JDCA(日本ろう自転車競技協会)の早瀬久美さん。世界のデフリンピックMTBレースで活躍するトップライダーだ。

早瀬さんの愛車はメリダ のハードテイル29erモデル、BIG NINE9000。以前は27.5で走っていたが、デフリンピックのアベレージスピードの高さに「走破性に優位がある29インチが必要」と、2019年より29erを初導入した。身長が低いため一番小さなフレームでもサイズがやや大きい。そのためステムやシートポスト、サドル、ハンドルなどで身体に合わせるフィッティングを施しているという。

ステムとハンドルはサンエスのOnebyESU。ステムは角度を下げ、短いものをチョイスステムとハンドルはサンエスのOnebyESU。ステムは角度を下げ、短いものをチョイス ショートノーズで約3ミリのパッドがフィットするプロロゴのDIMENSION NDRサドルショートノーズで約3ミリのパッドがフィットするプロロゴのDIMENSION NDRサドル


ステムとハンドルはサンエスのOnebyESU。マイナス角度ステムでギリギリまで下げ、かつ突き出しの短いものをチョイス。サドルは特にこだわり、女性にも合うショートノーズでパッドがフィットするプロロゴのDIMENSION NDRをチョイス。ペダルはずっと愛用しているクランクブラザーズのエッグビーター3だ。

CSCクラシックはコースが難しくなく、長い平坦が多いためスピードが出てコーナーでもグリップの効くIRC ミトスXCチューブレスレディをチョイスした。クランクブラザーズのドロッパーシートポストを取り付けたのは、2021年ブラジル・デフリンピックに向けてどんなコースでも対応できるようにするためだ。

軽量性を重視したSRサンツアーAxon 34 WERX Boost 29サスペンション軽量性を重視したSRサンツアーAxon 34 WERX Boost 29サスペンション 駆動系は信頼の置けるシマノXTR9100 12スピードで統一した駆動系は信頼の置けるシマノXTR9100 12スピードで統一した


サスペンションは軽量性を重視したSRサンツアーAxon34 WERX Boost 29、ホイールも軽量なDTスイス XCT1200をチョイス。コンポは信頼性の高いシマノXTR9100で統一し、BBはWISHBONE。グリップはVenoを長く愛用している。

「こだわりは出来るだけ軽量にまとめたことと、ハンドルに取り付けた親指を引っ掛ける突起状のレバー、TOGS(トグス)。これで登りの時にハンドルへの力の入り方がスムーズになるんです」。また「グリップとケーブルの色をフレームにあわせてグリーンで統一しました」。

「レース毎には必ずショップ(横浜のサイクラリーKIRIN)に行き点検。耳が聞こえないので異音チェックもショップにお任せ。チェーンも数レース毎に交換し、デフリンピック本番を想定して常に最高の状態に仕上げてもらっています」。

女子エリートは早瀬久美(日本ろう自転車競技協会)が優勝女子エリートは早瀬久美(日本ろう自転車競技協会)が優勝 photo:Makoto.AYANO



チャレンジ男子優勝 吉川大地(Rapha Cycing Club)
スペシャライズド CHISEL


チャレンジ男子優勝 吉川大地(Rapha Cycing Club) スペシャライズド CHISELチャレンジ男子優勝 吉川大地(Rapha Cycing Club) スペシャライズド CHISEL photo:Makoto.AYANO
チャレンジ男子で優勝した吉川大地さん(Rapha Cycing Club)。MTBに乗り始めて1年、レース参加はこれで3戦目という初心者で、「優勝はもちろん初めて。MTB、楽しいですね。シクロクロスレースにはよく出ていますが、スキルアップになるかな?と始めました。でも楽しさにハマっています(笑)」。

トップチューブには転倒時のハンドルによるパイプ凹みを防止するチューブが巻かれているトップチューブには転倒時のハンドルによるパイプ凹みを防止するチューブが巻かれている wahooのELEMENT ROAMを使用するwahooのELEMENT ROAMを使用する


吉川さんの愛車はスペシャライズド CHISEL(チゼル)。アルミフレーム採用の29erで、コスパのいいXC-MTBとして超人気のモデルだ。

「アルミなのに乗り心地が良くて気に入っています。こだわっているところは特に無いですが、よく転ぶのでトップチューブに凹み防止のチューブを巻いています」と言う吉川さんだが、つぶさにみていくと面白いセッティング。なんと左右でクランクが違うのだ。

STAGESのパワーメータークランクを使用しているSTAGESのパワーメータークランクを使用している 右チェーンホイールはスラムのFORCE。DUBスピンドルはブースト仕様だという右チェーンホイールはスラムのFORCE。DUBスピンドルはブースト仕様だという


左クランクにはSTAGESのロゴが入っているとおり、パワーメーターを使用している。DUBスピンドルでつながるチェーンホイールはスラムFORCEで、ブースト仕様のため左クランクは少々軸がズレているという。計測したパワーはwahoo ELEMNT ROAMでモニターする。

タイヤはフロントがマキシスASPEN、リアはスペシャライズドFASTRACKを使用。前輪にノブの立ったモデルを使うことでコーナリンググリップを稼いでいる。

チャレンジは吉川大地(ラファサイクルクラブ)が優勝チャレンジは吉川大地(ラファサイクルクラブ)が優勝 photo:Makoto.AYANO


アドバンス男子優勝 高橋翔(cycleclub3UP)
Liv OBSESS SLR


アドバンス男子優勝 高橋翔(cycleclub3UP) Liv OBSESS SLRアドバンス男子優勝 高橋翔(cycleclub3UP) Liv OBSESS SLR photo:Makoto.AYANO
上位クラスのアドバンス男子で、大人たちを蹴散らす圧倒的な走りで優勝した高橋翔選手(cycleclub3UP)。全国各地のMTB・シクロクロス・ロードレースで勝ちまくっているスーパー中学生だ。14歳、東京在住の2年生。そんな将来有望な彼のピンクの愛車はLiv OBSESS SLR。アルミフレーム採用の27.5インチ、2019年モデルだ。

Liv OBSESS SLRアルミフレームは適度な剛性感でよく進むとお気に入りLiv OBSESS SLRアルミフレームは適度な剛性感でよく進むとお気に入り 駆動系はシマノXT のトリプル仕様駆動系はシマノXT のトリプル仕様


「本来は女性用モデルなんですが、背が低いため選びました。女性用ということもあってかアルミフレームにしてはやや柔らかくて、乗りやすい。振動吸収性がカーボン並にあって、進ませやすいんです。カラーも気に入っています」。

「ドロッパーポストは下りのメリットがよく分かります」「ドロッパーポストは下りのメリットがよく分かります」 ディズナのクロス48ペダルはQファクターが狭く泥詰まりにも強いディズナのクロス48ペダルはQファクターが狭く泥詰まりにも強い


「今年に入ってからドロッパーポストを使っていますが、下りで有効です。ブレーキはマグラがフィーリングが良くて最高です。そしてペダルはディズナのクロス48ペダル。Qファクターが狭くて泥詰まりにも強く、オフロードレースには欠かせない存在。回しやすいのでロードでも使っているんです」。

アドバンス男子優勝はスーパー中学2年生の高橋翔(cycleclub3UP)が優勝アドバンス男子優勝はスーパー中学2年生の高橋翔(cycleclub3UP)が優勝 photo:Makoto.AYANO


キッズ 高学年優勝 中仙道侑毅(イオンバイクJr.レーシング&怪しい道調査隊)
コナ CINDER CONE


キッズ 高学年優勝 中仙道侑毅(イオンバイクJr.レーシング&怪しい道調査隊) コナ CINDER CONEキッズ 高学年優勝 中仙道侑毅(イオンバイクJr.レーシング&怪しい道調査隊) コナ CINDER CONE photo:Makoto.AYANO
キッズ 高学年に優勝した中仙道侑毅くんはイオンバイクJr.レーシングで走る、将来プロ選手を夢見る実力派。MTBとともにトライアルが好きで、フィニッシュでは鮮やかなウィリーを決めた。

強度の高いアルミフレーム。怪しい道調査隊のステッカーがユニーク強度の高いアルミフレーム。怪しい道調査隊のステッカーがユニーク シマノXTをメインにフロントシングル化しているシマノXTをメインにフロントシングル化している


KONA総代理店のアキコーポレーションからサポートを受けているというバイクはコナのアルミハードテイル CINDER CONE(シンダーコーン)。トレイルライド向きの27.5インチモデルだ。

クランクは成長期の身長にあわせて150mmというアームの短いものを採用。DRIVE LINEという聞き慣れないブランドの製品は、お父さんがネットオークションで手に入れたという。フォークはFOX32 FLOAT FACTORY FIT4 SCで、ホイールはフルクラム RED PASSION。タイヤは前:シュワルベROCKETRON、後:同THUNDER BURT。2.25の太さで空気圧は40PSI。

DRIVE LINEというブランド名の150mmショートクランクを使用DRIVE LINEというブランド名の150mmショートクランクを使用 スケルトンサドルはTIOGAに見えてサードパーティ製だスケルトンサドルはTIOGAに見えてサードパーティ製だ


完成車状態からカスタマイズするうちに、フレーム以外はすべて入れ替わったという。そして練習とレース時にはFサスフォークとホイールを入れ替えて使っているとのこと。メカニックであるお父さんのサポートぶりが伺える。

キッズレース高学年で優勝した中仙道侑毅君は見事なウィリーフィニッシュを決めた!キッズレース高学年で優勝した中仙道侑毅君は見事なウィリーフィニッシュを決めた! photo:Hiro.AYANO

photo&text:Makoto.AYANO