台湾を舞台に開催されるUCIステージレース「ツール・ド・台湾」が開幕。初日の第1ステージは台北市内の周回コースで行われ、エリック・ヤン(エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング)が優勝。鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)がベストアジアンライダーを獲得した。


第1ステージはあいにくの曇り空 高層タワー「台北101」が霞んで見える第1ステージはあいにくの曇り空 高層タワー「台北101」が霞んで見える photo:Satoru Kato
ツール・ド・台湾2020の各賞ジャージツール・ド・台湾2020の各賞ジャージ photo:Satoru Kato台湾のアクロバティックな獅子舞が披露された台湾のアクロバティックな獅子舞が披露された photo:Satoru Kato

3月1日から5日までの5日間で開催される「ツール・ド・台湾」は、ツアー・オブ・ジャパンと同クラスのUCI2.1のステージレース。2018年には日本ナショナルチームから出場した新城幸也が総合優勝し、毎年日本チームが出場することでもおなじみの大会だ。

今年は全17チームが出場。日本からは、チーム右京と宇都宮ブリッツェンの2チームが出場。さらに、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスから中根英登、岡篤志、石上優大の3名が出場する。

台湾北部にある首都・台北市をスタートして台湾島西側を南下し、3月5日に高雄市にフィニッシュする計686.72km。前半には1級山岳、2級山岳が連続する山岳ステージが設定され、後半は海岸に近い平坦地を走るステージが設定される。

おびただしい数のカメラ・・・これ全て観客おびただしい数のカメラ・・・これ全て観客 photo:Satoru Katoイベントスペースでは子供達のレースが行われたイベントスペースでは子供達のレースが行われた photo:Satoru Kato

新型コロナウィルスが世界的流行となりつつある中、台湾は徹底した対策により感染拡大が抑えられている状況だ。レース関係者は主催者から毎日検温を受けるなどの対策が取られている。

第1ステージは台北市内に設定された1周10.4kmの周回コースを8周する83.2km。台北市役所前と、観光スポットでもある景福門との間を往復する。途中3回のスプリント賞周回が設定され、上位3名にボーナスタイムが与えられる。

初日の天気は雲り。レース中の気温は23℃前後だったが、湿度が高く蒸し暑さを感じる中でのレースとなった。

パレードランを終えてリアルスタートが切られるパレードランを終えてリアルスタートが切られる photo:Satoru Kato12人の逃げ集団に加わった鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)とロビー・ハッカー(チーム右京)12人の逃げ集団に加わった鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)とロビー・ハッカー(チーム右京) photo:Satoru Kato

メイン集団を牽引する岡篤志(NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス)、後方には石上優大と中根英登の姿メイン集団を牽引する岡篤志(NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス)、後方には石上優大と中根英登の姿 photo:Satoru Kato
VIPを交えたパレードランののちリアルスタートが切られると早速アタックがかかる。数名の飛び出しにメイン集団から次々と合流していき、2周目までに12名の逃げ集団が形成される。この中に、宇都宮ブリッツェンの鈴木龍、チーム右京のロビー・ハッカー、台湾のエース、フェン・チュン・カイ(チャイニーズタイペイ)らが加わった。

メイン集団は、逃げ集団にメンバーを送り込まなかったNIPPO・デルコ・ワンプロヴァンスとブルゴスBHの2つのプロチームが中心となってコントロールし、30秒前後の差を維持していく。

フェン・チュン・カイ(チャイニーズタイペイ)に鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)が続いて行く逃げ集団フェン・チュン・カイ(チャイニーズタイペイ)に鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)が続いて行く逃げ集団 photo:Satoru Kato
中根英登(NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス)を先頭に逃げ集団を追うメイン集団中根英登(NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス)を先頭に逃げ集団を追うメイン集団 photo:Satoru Kato
逃げ集団はスプリント賞のかかった周回で争う以外は協調して周回を重ねていく。3回目のスプリント賞では、鈴木龍が3位通過し、1秒のボーナスタイムとポイント2点を獲得した。

レース終盤に入ると、メイン集団では各チームがペースアップに協力。逃げ集団との差を縮めにかかる。一方逃げ集団からは3名が飛び出して先行。この動きで逃げ集団は崩れ、鈴木龍らはメイン集団に戻る。新たに先行した3名は47秒差をつけて最終周回へ入るも、残り1kmでメイン集団が吸収する。

逃げ集団から飛び出した3名が先頭で最終周回へ逃げ集団から飛び出した3名が先頭で最終周回へ photo:Satoru Kato残り200mの最終コーナーをクリアして先頭で現れたエリック・ヤン(エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング)残り200mの最終コーナーをクリアして先頭で現れたエリック・ヤン(エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング) photo:Satoru Kato

第1ステージ優勝 エリック・ヤン(エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング)第1ステージ優勝 エリック・ヤン(エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング) photo:Satoru Kato
残り1km、コーナーが連続する区間を利用してエリック・ヤン(アメリカ、エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング)が飛び出す。残り200mの最終コーナーを先頭で抜けたヤンはそのままフィニッシュラインを駆け抜けて優勝。今年のツール・ド・台湾最初のリーダージャージを獲得した。

ボーナスタイムを獲得した鈴木龍は総合で8位となり、アジア人最上位選手に与えられる「ベストアジアンライダー」を獲得した。

個人総合首位のエリック・ヤン(エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング)、ポイント賞のサミュエル・バセッティ(エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング、左)、ベストアジアンライダーの鈴木龍(宇都宮ブリッツェン、右)個人総合首位のエリック・ヤン(エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング)、ポイント賞のサミュエル・バセッティ(エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング、左)、ベストアジアンライダーの鈴木龍(宇都宮ブリッツェン、右) photo:Satoru Kato
鈴木龍は、「前日のミーティングで逃げるチャンスがあるから乗っていこうとみんなに話したが、今日は決まる気がしていたので、チャンスに賭けてみた。逃げ集団はうまく回っていたが、思ったより後ろとの差が広がらず難しかった。逃げ切りは出来なかったけれど、ベストアジアンライダーを獲得出来たことは良かったと思う。明日は山岳コースで厳しいレースになると思うが、総合上位を目指したい」と、コメントした。

明日の第2ステージは、2級山岳をふたつ越えて1級山岳の山頂フィニッシュとなる118.88kmのレース。2日目にしてクイーンステージを迎え、総合優勝争いが大きく動くことになりそうだ。

ツール・ド・台湾はYouTubeで全ステージがライブ配信される。注目の日本人選手が多数出場するレースをチェックしよう。

ツール・ド・台湾 第1ステージ 結果(83.2km)
1位 エリック・ヤン(アメリカ、エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング) 1時間37分58秒
2位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス) +1秒
3位 マニュエル・ペナルヴェル・アニオルテ(スペイン、ブルゴスBH)
4位 ヤウメ・スレダ・モレ(スペイン、ブルゴスBH)
5位 ロアン・デュ・プロイ(南アフリカ、プロタッチ)
6位 サミュエル・バセッティ(アメリカ、エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング)
個人総合時間順位(第1ステージ終了時)
1位 エリック・ヤン(アメリカ、エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング) 1時間37分48秒
2位 サミュエル・バセッティ(アメリカ、エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング) +4秒
3位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス) +5秒
4位 ベンジャミン・ヒル(チームブリッジレーン) +6秒
5位 マニュエル・ペナルヴェル・アニオルテ(スペイン、ブルゴスBH) +7秒
6位 ジョージ・シンプソン(アメリカ、エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング) +8秒
ポイント賞(第1ステージ終了時)
1位 サミュエル・バセッティ(アメリカ、エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング) 21p
2位 エリック・ヤン(アメリカ、エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング) 15p
3位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPO・デルコ・ワンプロヴァンス) 14p
チーム総合成績(第1ステージ終了時)
1位 エレベイト・ウェビプレックス・プロサイクリング 4時間53分56秒
2位 ブルゴスBH +1秒
3位 リンコウ・アドヴァリクス・サイクリングチーム
text&photo:Satoru Kato