スプリント勝負で決したランカウイ第2ステージ。伸び悩むマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング)を交わしたタジ・ジョーンズ(オーストラリア、ARAプロレーシングサンシャインコースト)が大金星を挙げ、草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)が10位に入った。



総合首位イェフゲニー・フェドロフ(カザフスタン)擁するヴィノ・アスタナモータース)総合首位イェフゲニー・フェドロフ(カザフスタン)擁するヴィノ・アスタナモータース) (c)www.ltdlangkawi.my
マレーシアを舞台に開催されているツール・ド・ランカウイ(UCI2.Pro)は2日目。チームプレゼンテーションとクリテリウムレース、そして第1ステージの舞台となったボルネオ島を離れ、プロトンは空路でマレー半島に上陸。トレンガヌInc.TSGサイクリングチームのお膝元であるクアラ・トレンガヌから一路海岸線を南下する平坦コースの最後にスプリンター勢が火花を散らした。

この日逃げを決めたのは、マッティア・ヴィエル(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)、アレッサンドロ・イアッキ(イタリア、ヴィーニザブKTM)、ライリー・フィールド(オーストラリア、チームブリッジレーン)、モハメドザリフ・ムハンマドヌルアイマン(マレーシア、チームサプラサイクリング)、コルビー・ランゲ(アメリカ、ワイルドライフ・ジェネレーションプロサイクリング)という5名。速度を落とした集団を尻目にレース開始後1時間を平均45.7km/hで走り、最大5分弱のリードを稼ぎ出した。

観客の応援を受けながら一路南下する観客の応援を受けながら一路南下する (c)www.ltdlangkawi.my
前日に多くの選手が大集団フィニッシュしているため、逃げる5名は総合ジャンプアップを狙ってボーナスタイムが賭けられた3箇所の中間スプリントを争った。21km地点の第1、72km地点の第2、135.5km地点の第3ポイントを全てトップ通過したムハンマドヌルアイマンはこの日終了時の総合成績を4位まで上げることに成功している。

総合首位のイェフゲニー・フェドロフ(カザフスタン)擁するヴィノ・アスタナモータースがメイン集団の追撃体制を敷くと、先頭からはフィニッシュまで25kmを残してフィールドがアタック。愛三工業レーシングチームとキナンサイクリングチームも出場したニュージーランドサイクルクラシックで総合優勝した25歳が2日連続の逃げ切りに向けて独走態勢に入った。

残り15kmで1分半というリードを築いたフィールドだったが、NTTプロサイクリング以下スプリンターチームの追走によって残り3kmを切って引き戻される。最終局面に入ると草場啓吾を引き上げるべく大前翔(愛三工業レーシングチーム)が先頭に立ち、続いたミカエル・カーベル(デンマーク、NTTプロサイクリング)の背後からマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング)が発進。前日不完全燃焼に終わったスプリンターたちによるスピード勝負が始まった。

マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング)とタジ・ジョーンズ(オーストラリア、ARAプロレーシングサンシャインコースト)	が先頭で競り合うマキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング)とタジ・ジョーンズ(オーストラリア、ARAプロレーシングサンシャインコースト) が先頭で競り合う (c)www.ltdlangkawi.my
力強いスプリントで勝利したタジ・ジョーンズ(オーストラリア、ARAプロレーシングサンシャインコースト)力強いスプリントで勝利したタジ・ジョーンズ(オーストラリア、ARAプロレーシングサンシャインコースト) (c)www.ltdlangkawi.my
「全力でもがいたけど最後のコーナーで少し失敗してしまった」と言うヴァルシャイドは伸び悩み、その背後から仕掛け、中央のラインを突き進んだタジ・ジョーンズ(オーストラリア、ARAプロレーシングサンシャインコースト)がフィニッシュライン直前でヴァルシャイドをパス。チーム加入2年目の19歳がワールドチームのスプリンターを相手に力強いスプリントでキャリア初勝利を挙げた。

日本勢ではスプリントに加わった草場が10位に入った。UCIポイントを稼いだ草場は「今日からラインレースで位置取りも更にナーバスに。最後大前に先頭まで出切ってもらったがまだ早いと判断し、集団ステイして残り200でスパート。スプリントは一瞬の判断が命取り。仮に大前の後ろにいれたとしても勝てはしなかったと思う。またチャレンジです」と自身のTwitterで振り返っている。

ステージトップスリーが表彰を受けるステージトップスリーが表彰を受ける (c)www.ltdlangkawi.my
総合首位は1位フェドロフ、2位スラキット・ブーンラタナタナコーン(タイ、タイランドコンチネンタルサイクリングチーム)で変わらず、ボーナスタイムを得たステージ勝者ジョーンズが3位にジャンプアップしている。

翌第3ステージも基本的には平坦であるものの、スプリンターにとってはフィニッシュ40km手前で頂上を超える1級山岳(距離9.1km/平均勾配4.1%)を耐えきれるかが鍵となる。
ツール・ド・ランカウイ2020 第2ステージ結果
1位 タジ・ジョーンズ(オーストラリア、ARAプロレーシングサンシャインコースト) 4:05:29
2位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング)
3位 ジェレミー・ルクロック(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)
4位 リカルド・ミナーリ(イタリア、NIPPOデルコ・ワンプロヴァンス)
5位 モハメドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌInc.TSGサイクリングチーム)
6位 マッテオ・ペルッキ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
7位 トリスタン・ワード(オーストラリア、チームブリッジレーン)
8位 ジョルジオウス・ボグラス(ギリシャ、SSIOSミオジーサイクリングチーム)
9位 ルーカ・パチオーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
10位 草場啓吾(日本、愛三工業レーシングチーム)
個人総合成績
1位 イェフゲニー・フェドロフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモータース) 5:56:14
2位 スラキット・ブーンラタナタナコーン(タイ、タイランドコンチネンタルサイクリングチーム) 0:09
3位 タジ・ジョーンズ(オーストラリア、ARAプロレーシングサンシャインコースト) 1:23
4位 モハメドザリフ・ムハンマドヌルアイマン(マレーシア、チームサプラサイクリング) 1:24
5位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、NTTプロサイクリング) 1:27
6位 アフメト・オーケン(トルコ、チームサプラサイクリング) 1:29
7位 ジェレミー・ルクロック(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)
8位 ライリー・フィールド(オーストラリア、チームブリッジレーン)
9位 マッティア・ヴィエル(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) 1:30
10位 アレッサンドロ・イアッキ(イタリア、ヴィーニザブKTM) 1:31
その他の特別賞
ポイント賞 イェフゲニー・フェドロフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモータース)
ヤングライダー賞 イェフゲニー・フェドロフ(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモータース)
チーム総合成績 ヴィノ・アスタナモータース
text:So.Isobe

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