2020/02/08(土) - 08:59
サイクルオプスで知られていたホームトレーナーブランドが名称を変更し、SARIS(サリス)となる。ホームトレーナーの総代理店がワイズロードに切り替わるタイミングで、新型スマートトレーナー「H3」とローラー台用可動式ベース「MP1」のローンチイベントを開催した。
アメリカのウィスコンシン州に拠点を構えるホームトレーナー&バイクラックブランドのサリス。元々はサイクルオプスという名称で展開していたブランドで、ハブ型パワーメーターのパワータップで覚えている方もいるだろう。スマートトレーナーがトレンドになる頃にはTHE HAMMERやMAGNUSをリリースするとともに、トレック・セガフレードへの供給などを行っていた。
現在は先述したようにサリスというブランドで展開中だ。サイクルオプスはサリス・サイクリングというグループのいち部門であったため、ブランド名をわかりやすくするために統合された形だ。そのため、今回紹介するH3などはTHE HAMMERの後継モデルとイメージすると良いだろう。総代理店がワイズロードに変更となるタイミングで新モデル「H3」と「MP1」の発表会が行われた。バイクラックはこれまで通りの代理店から流通されるという。
そもそもワイズロードがスマートローラーを代理店として取り扱う理由は、レーサーがコンディショニングする時、ホビーライダーがバーチャルサイクリングを楽しむためにスマートトレーナーを利用する人が増えたことにあるという。ワイズロードとしてこれからの数年はスマートローラーに注力していくと鳥居恵一郎社長は話す。
サリスを選ぶに至った理由も紆余曲折あった。「以前サリスのH2を試してみましたが音が大きかったんですよ。これではダメだと伝えたところ、サリスからはその問題の解決に取り組んでいるところだと返されました。昨年の夏に送られてきたサンプルを乗ってみたら、素晴らしい実走行感と低振動、そして静かになっており、社員みんなと驚いてしまいました。その後行われたユーロバイクのローンチを経て、我々が取り扱うことを決めました」と鳥居社長は言う。
昨夏、ワイズロードの心を留めたのが今回紹介する「H3」だ。ボディ自体は前作のH2と変わりないが、ドライブシステムを一新することで静粛性、低振動性に磨きをかけた。静粛性を表す一つの目安として挙げられたのが、時速32kmで走行した時の駆動音が59デシベルという数値。THE HAMMERは66デシベルという値だったため、進化していることがわかるだろう。
静粛性と低振動性を実現するのは9kgのフライホイールを一つ一つバランシングを行う製造工程。専用の機械で動的バランスを解析した後、ドリリングを行いバランスの修正を行っている。自社で製造を行うからこそ掛けられる手間であり、そこがサリスの強みだという。
9kgの大型フライホイールはスマートトレーナーの実走行感に貢献する。重いフライホイールは慣性が大きく、走り出しや加速する時など自然なフィーリングを得ることができる。自動負荷装置の応答性も追求されており、バーチャルサイクリングに没入させてくれるだろう。対応最大パワーは2000w、最大勾配は20%。価格は128,000円(税抜)。
今回の発表会での目玉は、MP1 NFINITY(インフィニティ)というローラー台を載せるベースだ。NFINITYとはテクノロジーとは、サドルのような形をしたベースが前後に24cmスライドし、左右に6°傾く仕組みのこと。ペダリングやダンシングに合わせてベースが可動するため、実走行のライドフィールに近づけてくれるというものだ。
MP1は実走行感を演出するだけでなく、快適性も向上させている。サリスではサドルのプレッシャーマッピングを行い、固定ローラーでのサドルにかかる圧力を解析。MP1を使用しないときはサドルと体のコンタクトポイントのみ圧力が集中し、MP1を使用した際は圧力が分散されていたという。また、ベースが動くことにより、通常の固定ローラーとは異なる部位の筋肉をつかうことになり、実走行と同じようなトレーニング効果を生み出すことが可能だという。
ローラー台の固定にはベルトを使用しているため、サリスのスマートトレーナーに限らず他社のトレーナーでも利用可能だという。とはいえベルトとの相性も関わってくるため、購入時には所有するトレーナーを利用できるか確認はしたい。また、ワフーのKICKR CLIMBは利用不可である。
バーチ材のベースには滑り止め防止のデッキテープが貼り付けられており、ローラー台のスリップやビンディングシューズでの乗り降りの心配をする心配も少ないだろう。ベースとスライド機構を備えたスチール部分はアメリカで組み立てられてくるため、ブランドが狙った性能を自宅でも楽しめる。価格は158,000円(税抜)。
今回の発表会では試乗会も合わせて行われたため、簡単な試乗レポートも付しておこう。ワイズロード渋谷本館で数多くの人が集まった中で開催されており、周囲からのノイズは大きめ。また、H3とMP1を一気に試したため、それぞれから受ける印象が混ざり合っていることを考慮して読み進めていただきたい。
まずはH3の印象から。フォーカスポイントである静粛性については、確かにチェーン駆動やギアチェンジの方が大きく感じるほど。ケイデンスを上げてペダリングをしてもモーター音が、自転車が発生させる音に勝る様子は無さそう。とはいえ無音ではなく、ユーザーの住環境によって感じ方は左右されるため参考までに。ちなみに60デシベルは「普通の会話」程度だと言われている。
MP1は自転車に乗る時に足を掛けるだけでも傾くほど柔軟に動いてくれる。印象としてはグラグラしているものの、転げ落ちるほど不安定ではなく、初めてでもスムースに載ることは可能だ。シッティング時にも小刻みに前後、左右に傾いているため、トレーナーの存在感が薄いと感じる。特にダンシング時には気持ちよく板が動いてくれ、固定ローラーでトレーニングを行っていることを忘れてしまいそう。
細かい部分を見ると実走行とはフィーリングが異なる点もあるが、MP1の存在意義は固定ローラーの違和感を限りなく薄くすることにあるはずだ。室内トレーニングが苦手という方も一度試してみても良いと感じさせるイノベーティブなプロダクトだと感じた。
また、メディア試乗会の後にはYouTuberのけんたさんや、様々なブランドのアンバサダーとして知られている篠さん、チームワイズロードで走る増田菜穂子さんらもデモンストレーションを行った。けんたさんは「転ばない3本ローラー」と評し、篠さんは「実走のように体を動かせる」、増田さんは「マンションでも使えるほど静か」とそれぞれがコメントを残した。
スマートトレーナーのH3は2月中旬、MP1は3月に発売予定だ。その他のトレーナーは3月以降順次発売されていくという。
text&photo:Gakuto Fujiwara
movie:Makoto AYANO
アメリカのウィスコンシン州に拠点を構えるホームトレーナー&バイクラックブランドのサリス。元々はサイクルオプスという名称で展開していたブランドで、ハブ型パワーメーターのパワータップで覚えている方もいるだろう。スマートトレーナーがトレンドになる頃にはTHE HAMMERやMAGNUSをリリースするとともに、トレック・セガフレードへの供給などを行っていた。
現在は先述したようにサリスというブランドで展開中だ。サイクルオプスはサリス・サイクリングというグループのいち部門であったため、ブランド名をわかりやすくするために統合された形だ。そのため、今回紹介するH3などはTHE HAMMERの後継モデルとイメージすると良いだろう。総代理店がワイズロードに変更となるタイミングで新モデル「H3」と「MP1」の発表会が行われた。バイクラックはこれまで通りの代理店から流通されるという。
そもそもワイズロードがスマートローラーを代理店として取り扱う理由は、レーサーがコンディショニングする時、ホビーライダーがバーチャルサイクリングを楽しむためにスマートトレーナーを利用する人が増えたことにあるという。ワイズロードとしてこれからの数年はスマートローラーに注力していくと鳥居恵一郎社長は話す。
サリスを選ぶに至った理由も紆余曲折あった。「以前サリスのH2を試してみましたが音が大きかったんですよ。これではダメだと伝えたところ、サリスからはその問題の解決に取り組んでいるところだと返されました。昨年の夏に送られてきたサンプルを乗ってみたら、素晴らしい実走行感と低振動、そして静かになっており、社員みんなと驚いてしまいました。その後行われたユーロバイクのローンチを経て、我々が取り扱うことを決めました」と鳥居社長は言う。
昨夏、ワイズロードの心を留めたのが今回紹介する「H3」だ。ボディ自体は前作のH2と変わりないが、ドライブシステムを一新することで静粛性、低振動性に磨きをかけた。静粛性を表す一つの目安として挙げられたのが、時速32kmで走行した時の駆動音が59デシベルという数値。THE HAMMERは66デシベルという値だったため、進化していることがわかるだろう。
静粛性と低振動性を実現するのは9kgのフライホイールを一つ一つバランシングを行う製造工程。専用の機械で動的バランスを解析した後、ドリリングを行いバランスの修正を行っている。自社で製造を行うからこそ掛けられる手間であり、そこがサリスの強みだという。
9kgの大型フライホイールはスマートトレーナーの実走行感に貢献する。重いフライホイールは慣性が大きく、走り出しや加速する時など自然なフィーリングを得ることができる。自動負荷装置の応答性も追求されており、バーチャルサイクリングに没入させてくれるだろう。対応最大パワーは2000w、最大勾配は20%。価格は128,000円(税抜)。
今回の発表会での目玉は、MP1 NFINITY(インフィニティ)というローラー台を載せるベースだ。NFINITYとはテクノロジーとは、サドルのような形をしたベースが前後に24cmスライドし、左右に6°傾く仕組みのこと。ペダリングやダンシングに合わせてベースが可動するため、実走行のライドフィールに近づけてくれるというものだ。
MP1は実走行感を演出するだけでなく、快適性も向上させている。サリスではサドルのプレッシャーマッピングを行い、固定ローラーでのサドルにかかる圧力を解析。MP1を使用しないときはサドルと体のコンタクトポイントのみ圧力が集中し、MP1を使用した際は圧力が分散されていたという。また、ベースが動くことにより、通常の固定ローラーとは異なる部位の筋肉をつかうことになり、実走行と同じようなトレーニング効果を生み出すことが可能だという。
ローラー台の固定にはベルトを使用しているため、サリスのスマートトレーナーに限らず他社のトレーナーでも利用可能だという。とはいえベルトとの相性も関わってくるため、購入時には所有するトレーナーを利用できるか確認はしたい。また、ワフーのKICKR CLIMBは利用不可である。
バーチ材のベースには滑り止め防止のデッキテープが貼り付けられており、ローラー台のスリップやビンディングシューズでの乗り降りの心配をする心配も少ないだろう。ベースとスライド機構を備えたスチール部分はアメリカで組み立てられてくるため、ブランドが狙った性能を自宅でも楽しめる。価格は158,000円(税抜)。
今回の発表会では試乗会も合わせて行われたため、簡単な試乗レポートも付しておこう。ワイズロード渋谷本館で数多くの人が集まった中で開催されており、周囲からのノイズは大きめ。また、H3とMP1を一気に試したため、それぞれから受ける印象が混ざり合っていることを考慮して読み進めていただきたい。
まずはH3の印象から。フォーカスポイントである静粛性については、確かにチェーン駆動やギアチェンジの方が大きく感じるほど。ケイデンスを上げてペダリングをしてもモーター音が、自転車が発生させる音に勝る様子は無さそう。とはいえ無音ではなく、ユーザーの住環境によって感じ方は左右されるため参考までに。ちなみに60デシベルは「普通の会話」程度だと言われている。
MP1は自転車に乗る時に足を掛けるだけでも傾くほど柔軟に動いてくれる。印象としてはグラグラしているものの、転げ落ちるほど不安定ではなく、初めてでもスムースに載ることは可能だ。シッティング時にも小刻みに前後、左右に傾いているため、トレーナーの存在感が薄いと感じる。特にダンシング時には気持ちよく板が動いてくれ、固定ローラーでトレーニングを行っていることを忘れてしまいそう。
細かい部分を見ると実走行とはフィーリングが異なる点もあるが、MP1の存在意義は固定ローラーの違和感を限りなく薄くすることにあるはずだ。室内トレーニングが苦手という方も一度試してみても良いと感じさせるイノベーティブなプロダクトだと感じた。
また、メディア試乗会の後にはYouTuberのけんたさんや、様々なブランドのアンバサダーとして知られている篠さん、チームワイズロードで走る増田菜穂子さんらもデモンストレーションを行った。けんたさんは「転ばない3本ローラー」と評し、篠さんは「実走のように体を動かせる」、増田さんは「マンションでも使えるほど静か」とそれぞれがコメントを残した。
スマートトレーナーのH3は2月中旬、MP1は3月に発売予定だ。その他のトレーナーは3月以降順次発売されていくという。
text&photo:Gakuto Fujiwara
movie:Makoto AYANO
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