スーパープレスティージュ第6戦は名物のナイトレース。軽々とリードを稼いたマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)がこの試合での通算10勝目を飾り、女子レースではマッチスプリントを制したアンマリー・ワースト(オランダ、777)が勝利した。



ディーヘム名物のキャンバーセクション。1周目には大渋滞が起きるディーヘム名物のキャンバーセクション。1周目には大渋滞が起きる (c)CorVos
全8戦で争われるスーパープレスティージュも既に第6戦。舞台は石畳が敷かれたディーヘム市街地を縫うようにレイアウトされたテクニカルコースで、ホリデーシーズンを過ごす大観衆に見守られる中、煌びやかなナイトレースが開催された。

130名ものエントリーがあった男子エリートレース。このところ影を潜めていたラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・バロワーズ)のホールショットが決まり、世界王者マチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)がその後ろ。名物のキャンバーセクションでは大渋滞が起き、これを避けて通過したのは先頭のわずか10名程度。20番手前後につけていた元世界王者ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)は混乱に巻き込まれ先頭から大きく離された。

中盤から独走したマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)中盤から独走したマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) (c)CorVos
2番手を走るエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)2番手を走るエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) (c)CorVos
注目度の高い元世界王者ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)注目度の高い元世界王者ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos一時5番手を走ったトーマス・ピッドコック(イギリス、トリニティレーシング)は10位一時5番手を走ったトーマス・ピッドコック(イギリス、トリニティレーシング)は10位 (c)CorVos


ファンデルハールに続いてファンデルポールが先頭に立ち、好調を維持しているエリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)とコルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・バロワーズ)が合流するも、ファンケッセルは粘着質の深い泥区間に前輪を取られて後退。この日先頭集団は中盤まで人数の増減を繰り返しながら進んだが、やはりレースを主導したのはファンデルポールとイゼルビッドだった。

大観衆に見守られる中、アルカンシエルを着るファンデルポールが全8周回中の4周目に動いた。ここまで2009年 (U17)、2011、2012 (U19)、2013 (U23)、エリートカテゴリーに上がってからも2014、2015、2016、2017、2018年と合計9回勝利している好相性のコースでアタックを決めると、ライバルたちに見送る以外の術は無かった。

10勝目をアピールしながらフィニッシュするマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)10勝目をアピールしながらフィニッシュするマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) (c)CorVos
2位エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)、1位マチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)、3位マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)2位エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール)、1位マチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)、3位マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) (c)CorVos
舗装路、砂、泥、キャンバーを問わず、パワフルかつ安定した走りを披露したファンデルポールは残る後半戦を独走し、最後はペースを緩めてフィニッシュ。ゴールライン上ではディーヘム通算10勝目を示す両手のガッツポーズが決まった。



109名がスタートラインに並んだ女子レース。フロントローから好スタートを切り、ディーヘムの名物であるテクニカルキャンバーを先頭で抜けたのはレース毎に好勝負を繰り広げているセイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス)とアンマリー・ワースト(オランダ、777)の2人だった。

アンマリー・ワースト(オランダ、777)とセイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス)、ヤラ・カステライン(オランダ、777)が先頭で最終周回に突入アンマリー・ワースト(オランダ、777)とセイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス)、ヤラ・カステライン(オランダ、777)が先頭で最終周回に突入 (c)CorVos
アタックを掛けることなく進む2人には、2周目以降に世界王者サンヌ・カント(ベルギー、IKO・コレンドン)や欧州王者ヤラ・カステライン(オランダ、777)、そしてU23世界王者のインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、CCC・リブ)らが次々と合流する。

ワンミスが大きく響くディーヘムのコース。後方からは東京オリンピックプレ大会の落車から戦線復帰した元CX世界王者ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、キャニオン・スラム)が順位を上げ、一時トップグループに合流したシリン・ファンアンローイ(オランダ)はバイク交換時にピットスタッフが不在というトラブルで後退。人数が膨らんだ先頭集団はレースが進むにつれて人数が絞り込まれ、アルバラード、ワースト、そしてカステラインの3名が真っ先に最終周回の鐘を聞いた。

セイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス)を下したアンマリー・ワースト(オランダ、777)セイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス)を下したアンマリー・ワースト(オランダ、777) (c)CorVos
2位セイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス)、1位アンマリー・ワースト(オランダ、777)、3位ヤラ・カステライン(オランダ、777)2位セイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス)、1位アンマリー・ワースト(オランダ、777)、3位ヤラ・カステライン(オランダ、777) (c)CorVos
カステラインのミスによってアルバラードがリードを築く場面もあったが、777チームの追走によって合流。フィニッシュに向けて猛烈にペースが上がる中カステラインが遅れ、アルバラードがワーストをリードしながらホームストレートへ。ラインを寄せつつスプリントしたアルバラードだったが、スプリント力に勝るワーストが追い抜き、先着。ここ数戦アルバラードやルシンダ・ブラント(オランダ、テレネット・バロワーズ)に辛酸を嘗めさせられていたワーストが4戦ぶりに勝利した。
男子エリート結果
1位 マチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) 59:41
2位 エリ・イゼルビッド(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:09
3位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:28
4位 ティム・メルリエ(ベルギー、クレアフィン・フリスタッズ) 0:38
5位 ラース・ファンデルハール(オランダ、テレネット・バロワーズ) 0:41
6位 ローレンス・スウィーク(ベルギー、パウェルズサウゼン・ビンゴール) 0:50
7位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・バロワーズ) 1:09
8位 クィンティン・ヘルマンス(オランダ、テレネット・バロワーズ) 1:33
9位 デーヴィッド・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) 1:49
10位 トーマス・ピッドコック(イギリス、トリニティレーシング) 2:23
女子レース結果
1位 アンマリー・ワースト(オランダ、777) 43:1
2位 セイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ、コレンドン・サーカス)
3位 ヤラ・カステライン(オランダ、777) 0:08
4位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、CCC・リブ) 0:39
5位 パック・ピーテルス(オランダ) 1:05
6位 アリーチェマリア・アルツィッフィ(イタリア、777) 1:07
7位 ブランカカータ・ヴァス(ルーマニア) 1:12
8位 サンヌ・カント(ベルギー、IKO・コレンドン) 1:15
9位 エヴァ・リヒナー(イタリア、クレアフィン・フリスタッズ) 1:23
10位 マーガリー・ロシェット(カナダ、スペシャライズド・フィードバック) 1:37
text:So.Isobe
photo:CorVos