トレック・セガフレードを離れる別府史之がデルコ・マルセイユ・プロヴァンスへと移籍することが分かった。来季NIPPOがメインスポンサーに就くプロコンチネンタルチームは別府が欧州キャリアをスタートさせた古巣だ。



かつて所属していた古巣への移籍を決めた別府史之(現トレック・セガフレード)かつて所属していた古巣への移籍を決めた別府史之(現トレック・セガフレード) (c)Team Delko Marseille Provence日本人の近代ロードレース史を切り開いてきた別府がデルコ・マルセイユ・プロヴァンスへと移籍する。ディスカバリーチャンネルやスキル・シマノ、レディオシャック、オリカ・グリーンエッジ、そしてトレックファクトリーレーシング(現トレック・セガフレード)とトップチームを渡り歩いてきた別府は現在36歳。キャリアの集大成とも言うべき2020年シーズンを、現在拠点を置くマルセイユのプロコンチネンタルチームで過ごすこととなる。

別府にとって、デルコ・マルセイユ・プロヴァンスは欧州生活のスタート地点となったチームだ。ブリヂストン・アンカーに籍を置きながら、欧州経験を積むために当時トップアマチュアチームだった「ヴェロクラブ・ラポム・マルセイユ」に派遣され、2002年から2004年の3年間を過ごした。

スキル・シマノ時代の2009年にツール・ド・フランスに初出場し、最終ステージで敢闘賞を獲得した。2011年はレディオシャックのジャージでジロ・デ・イタリアを完走。同年にロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベを完走し、日本人選手として初めて「モニュメント(五大クラシック)」全完走を達成したほか、全日本選手権のロードと個人TTでダブル優勝を遂げる。

オリカ・グリーンエッジに移籍した2012年に再びジロを完走し、トレックファクトリーレーシング加入後の2014年に全日本選手権TTで優勝、2016年にはブエルタ・ア・エスパーニャを走りきり、日本人選手として初めて3大グランツールの出場・完走を果たしている。2015年と2016年にジャパンカップクリテリウムを2年連続で制したことも記憶に新しい。

NIPPOをメインスポンサーに迎えるデルコ・マルセイユ・プロヴァンスは、次々と日本人選手の獲得をアナウンスしており、別府は石上優大、岡篤志、そして中根英登に続く4人目。別府は19年間の欧州キャリアで培ってきた経験を若手に共有するポジションに就きつつ、東京五輪の代表を目指していくという。

別府はチームのプレスリリースのなかで「これは新しい挑戦。自転車競技への情熱を保ち続けるために必要な変化でした」と移籍の理由についてコメント。「ほぼ13年をワールドチームで過ごし、クラシックレースやステージレース、そして三大グランツールなど美しいレースを走ってきました。その経験を若い選手たちに伝えるべく走りたいと思いますが、自分の望むものはそれだけではありません。自分の目標は、東京五輪の代表メンバーに選ばれること。そのためには36歳という年齢である自分自身を証明していかなければいけません」とも語っている。

以下はプレスリリースに掲載されたデルコ・マルセイユ プロヴァンスGMのフレデリック・ロスタン氏のコメント。

「我々のチームを選んでくれたフミを迎え入れることができて本当に嬉しい。(別府とチームは)ラポム時代の当初から常に密接な関係を築いてきた。そのため互いの希望と意志を密に議論することができ、結果的に合意を得ることができた。彼は現在、3大グランツールと5つのモニュメント、そしてオリンピックの経験を持つ数少ない貴重な現役選手(他にはルイ・コスタとフィリップ・ジルベール)。経験と力に関してチームの大きな付加価値であり、チームと若い選手たちにとって大きく貢献してくれるはずだ。さらにパリ〜ルーベなどのクラシックレースでのパフォーマンスにも期待しているほか、彼自身は東京五輪に対して大きなモチベーションを持っている。私個人としてもホセ・ゴンサルヴェやジャスティン・ユールといったポミエ(フランス語で林檎の意味。クラブチーム時代のチーム名にかけている)たちが戻ってきてくれたことにも喜びと誇りを感じている。美しく、エキサイティングなチャレンジで共に2020シーズンを成功させていきたい」。

text:So.Isobe

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