終盤に抜け出し、迫り来るメイン集団を振り切ったメーガン・ジャストラブ(アメリカ)が世界チャンピオンに。残り6km地点で集団から脱落した岩元杏奈(日本体育大学)は、落車が多発した女子ジュニアロードレースを49位で終えている。


ヨークシャー地方のアップダウンをこなしてハロゲートに向かうヨークシャー地方のアップダウンをこなしてハロゲートに向かう
女子ジュニアロードレース女子ジュニアロードレース photo:Yorkshire2019女子ジュニアロードレース女子ジュニアロードレース photo:Yorkshire2019

スタート時間が朝8時40分と早いため、多くのチームが日の出前の早朝6時にホテルを出発するというスタッフにとっても悩ましいスケジュールで行われた女子ジュニアロードレース。コースはドンカスターをスタート後、14km周回に入ることなくハロゲート市内に直接フィニッシュする86km。全カテゴリーの中では最も難易度が低いが、ヨークシャー地方らしいアップダウンはしっかりと組み込まれている。

終盤にだけ少しだけ雨が降るという『ヨークシャーの中では比較的恵まれた』気象条件にもかかわらず、95名の選手たちはスタートからフィニッシュまで2時間強にわたって神経質な走りを強いられた。中央分離帯や補給ポイントだけでなく、何の変哲も無い直線区間でも落車が多発する展開。全日本チャンピオン岩元杏奈(日本体育大学)も2度落車に巻き込まれたが、その度に追走して集団に復帰している。

大きな登りはないものの、小刻みなアップダウンと落車によってメイン集団の人数は絞られていく。フィニッシュまで残り25kmを切ると、人数50名ほどのメイン集団の中からアタックが連発。セドリーヌ・ケルバオル(フランス)とカタリーナ・カンポス(チリ)の2人が30秒弱のリードで先行し、アメリカやイタリアやイギリス、デンマーク率いるメイン集団が追いかける。それまで集団後方でこなしていた岩元はメイン集団のペースアップに耐えきれずに残り6km付近の登りで脱落した。

岩元杏奈(日本体育大学)も巻き込まれた前半の落車岩元杏奈(日本体育大学)も巻き込まれた前半の落車 photo:CorVos
最終コーナーに差し掛かるアイグル・ガレーヴァ(ロシア)とメーガン・ジャストラブ(アメリカ)最終コーナーに差し掛かるアイグル・ガレーヴァ(ロシア)とメーガン・ジャストラブ(アメリカ) photo:Kei Tsuji
オランダやスウェーデンが率いるメイン集団がガレーヴァらを追うオランダやスウェーデンが率いるメイン集団がガレーヴァらを追う photo:Kei Tsuji
登りを突き進むアイグル・ガレーヴァ(ロシア)とメーガン・ジャストラブ(アメリカ)登りを突き進むアイグル・ガレーヴァ(ロシア)とメーガン・ジャストラブ(アメリカ) photo:Kei Tsuji
先頭で粘っていたカンポスが残り3km地点で吸収されると、登りを利用して個人タイムトライアル世界チャンピオンのアイグル・ガレーヴァ(ロシア)がアタックを仕掛ける。二冠を目指して突き進むガレーヴァのスピードに対応できたのはメーガン・ジャストラブ(アメリカ)のみ。そのまま2人で残り1kmアーチを切り、5秒程度のリードで残り500mの最終コーナーを抜けた。

約200mにわたって続く登坂区間を終えてそのままスプリントに持ち込んだガレーヴァとジャストラブの2人。追いかけるメイン集団は落車によって大きく割れ、ジュリー・デウィルデ(ベルギー)とリーケ・ノーイエン(オランダ)がロングスプリントで追い上げる。デウィルデとノーイエンはガレーヴァを追い抜くことに成功したが、ジャストラブを捉えることはできなかった。

残り300mで発生した大落車を背にスプリント体制に入るメーガン・ジャストラブ(アメリカ)残り300mで発生した大落車を背にスプリント体制に入るメーガン・ジャストラブ(アメリカ) photo:Luca Bettini
集団を振り切ってスプリントを続けるメーガン・ジャストラブ(アメリカ)集団を振り切ってスプリントを続けるメーガン・ジャストラブ(アメリカ) photo:Luca Bettini
迫り来る集団を振り切ったメーガン・ジャストラブ(アメリカ)迫り来る集団を振り切ったメーガン・ジャストラブ(アメリカ) photo:Luca Bettini
迫り来るメイン集団を振り切って勝利したジャストラブは「今日はチームメイトがスタートからずっと守ってくれた。落車に巻き込まれたチームメイトもいたけど、彼女たちは集団に復帰してアシストを続けてくれた。チームには感謝しかない」とアメリカチームの勝利を喜ぶ。アメリカは女子エリート個人タイムトライアルと男子ジュニアロードレースに続く今大会3つ目の世界タイトルを手にした。

「残り10kmから始まる登りとその後の下りで勝負がかかると予想していて、ロシアの選手がアタックした瞬間に『これを逃すわけにはいかない』と判断して飛びついた。調子がそこまで良くなかったので前に出ることができなかったけど、後ろを振り返って大きな差が付いていたので、息を整えてスプリントした」と、全米チャンピオンジャージに続いて世界チャンピオンジャージを手にした17歳のジャストラブは語る。

2位ジュリー・デウィルデ(ベルギー)、優勝メーガン・ジャストラブ(アメリカ)、3位リーケ・ノーイエン(オランダ)2位ジュリー・デウィルデ(ベルギー)、優勝メーガン・ジャストラブ(アメリカ)、3位リーケ・ノーイエン(オランダ) photo:Luca Bettini
1分27秒遅れの49位に入った岩元杏奈(日本体育大学)1分27秒遅れの49位に入った岩元杏奈(日本体育大学) photo:Kei Tsuji
初の世界選手権を終えた岩元杏奈(日本体育大学)初の世界選手権を終えた岩元杏奈(日本体育大学) photo:Kei Tsuji
「自分らしくないレースをしてしまった」と消極的な走りを悔やむ岩元はトップから1分27秒遅れでフィニッシュ。身長148cmと小柄で、トラックレースも走る2年連続アジア選手権ロードレース2位の岩元が49位で初の世界選手権を終えた。以下はレース後の岩元のコメント。

岩元杏奈(日本体育大学)

(レース中に)やらないといけないことは分かっていたんですが、行動で示すことができずに悔しいです。集団の前に出ようと思う気持ちはあったんですが、ずっとビビってばっかりで突っ込んでいけなかった。自転車の技術も足りないと感じました。突っ込めずに後ろでブレーキばかりかけていた。それを最後までやってしまいました。

2回(落車で)脚止めを食らってしまったのも集団の後ろに位置しているから。そこからまた集団に追いつくために脚を使ってしまって、力を発揮できずに終わってしまいました。本来なら付いていける坂なのに、残り6kmあたりの登りで遅れてしまった。少しでも順位を上げようと、フィニッシュまではしっかりと踏みました。

全然アジアのレースとは違う。集団の間は空いてるのに、後ろから来た選手に入られて、怖がってブレーキをかけて後ろに下がってを繰り返してしまった。怖がらずにもっと前に上がればよかったのに。もっとこっちで走らないと戦えないと感じました。走る前から楽しもうと思っていたんですが、今日はひたすらきつくて楽しめなかった。今回ナショナルチームの中で過ごして、ヨーロッパで活動している方々の食生活などに刺激を受けることも多かったです。これから(トラックレースよりも)ロードレースをメインに戦っていきたいです。
ロード世界選手権2019女子ジュニアロードレース結果
1位メーガン・ジャストラブ(アメリカ)2:08:00
2位ジュリー・デウィルデ(ベルギー)
3位リーケ・ノーイエン(オランダ)
4位アイグル・ガレーヴァ(ロシア)
5位エリノア・バックステッド(イギリス)
6位ノエミ・リュエッグ(スイス)0:00:03
7位カタブランカ・ヴァス(ハンガリー)
8位レア・キュリニエ(フランス)0:00:05
9位セリア・マティーセン(ノルウェー)
10位マグドレーヌ・ヴァリエール(カナダ)0:00:07
49位岩元杏奈(日本体育大学)0:01:27
text&photo:Kei Tsuji in Harrogate, United Kingdom