2019/09/06(金) - 00:00
今シーズンのワールドカップに実戦投入され、大きな注目を集めてきたトレックの新型MTBが遂にベールを脱ぐ。その名は「Supercaliber」。フレームと一体化した60mmストロークのリアサスシステム「IsoStrut」を投入した、全く新しいフルサスXCレーシングバイクだ。イタリアの発表会に出席した編集部の磯部がレポートする。
トレックのMTBファンであるならば、ストローク量の増加によってトレイルバイク寄りに進化したTop Fuel(トップフューエル)を見て一つの疑問が頭を過ぎるはず。「それなら、ピュアなフルサスXCレーシングバイクはどこへ?」。
その答えこそ、ヨランダ・ネフ(スイス)らが今シーズン途中からワールドカップに投入して話題を呼び、先日の世界選手権で銀メダル獲得に貢献した新型バイク「Supercaliber(スーパーキャリバー)」。100mmストロークのハードテールバイク「Procaliber(プロキャリバー)」と、先述した前後120mmの新型Top Fuelの中間に位置する、全く新しい新ジャンルのピュアレーシングバイクだ。
年々激しさを増すクロスカントリーレースにおいてフルサスペンションバイクは非常に有効だが、コースによっては軽さや剛性を優先してハードテールバイクが選ばれることもまた事実。そこでトレックは4年にも及ぶ研究期間を経て、フォックスと共にフレームに組む込んだリアショック「IsoStrut(アイソストラット)」を開発。前100mm/後60mmトラベルという既存のハードテールとフルサスペンションの中間に当たるSupercaliberを生み出した。
幻の性能を実現したとして、「ユニコーン的存在」と、イタリアで開催されたグローバルプレゼンテーションで紹介されたSupercaliberのフレーム重量は、サスペンションとハードウェア込みで僅か1950g。IsoStrutはトップチューブに組み込まれたショックアブソーバーを、ピボットレスで直接繋がるシートステーが押すという特徴的な構造を持つ。ショックにはそれ自体の歪みを抑えるブッシュと、ショックの回転を防ぐ「アンチローテーショナルショックピン」が内蔵されているため、ストロークした際にもストラット部分がほとんど歪まない。完全なロックアウトを実現していることや、ボトルを2本装備できることもレースバイクとして大きなメリットだ。
会場に試乗車こそ用意されなかったが、開発者によれば、走行フィーリングは「ハードテールとほぼ共通のリジット感」であり、例えばヨランダ・ネフは実際のレース時に一切ロックアウトを使わないほど自然な乗り味だという。メンテナンスもアフターサービスに定評のある通常のフォックスのサービスキットを使うため安心感がある。
XCレースで勝つことを至上命題としたピュアレーシングマシンだけに、スモールサイズも含めてホイールは29インチで統一され、かつシートステーのしなりを利用する上でフレームはカーボンのみ。完成車では全モデルがボントレガーのカーボンホイールを搭載するなど走りを極めたセットアップが特徴だ。
ジオメトリー的な工夫も行われており、例えばチェーンステー長はProcaliberよりも5mm短い430mmで反応性を狙う。ヘッドチューブアングルとシートチューブアングル、そしてリーチ量はProcaliberとTop Fuelの中間値に落ち着いている。
ハンドルが一定角度以上に切れてしまい、フォーククラウンやハンドルなどがフレームにヒットすることを防ぐために採用されるのがヘッドパーツに内蔵されたKnock Blockテクノロジー。この技術を採用することで、ヘッドチューブ側の逃がしをなくし直線的なデザインを可能にした”Straight Shotダウンチューブ”によってより高い剛性と軽量化を実現している。新型FUEL EXなどと同じくどんなコンポーネントにも対応する「Control Freak」も採用している。
日本国内で展開されるのは、完成車が3種類。税抜き53.9万円の「9.7」と、60.8万円の「9.8」、そして105万円の最上級モデル「9.9」。いずれもS、M、ML、Lの4サイズ展開で、自分だけの一台をオーダーできる「プロジェクトワン」にも対応予定(12月を予定しているという)だ。
トレック Supercaliber 完成車価格
Supercaliber 9.7(スラム NX Eagle完成車):税抜き53.9万円
Supercaliber 9.8(スラム GX Eagle完成車):税抜き60.8万円
Supercaliber 9.9(スラム XX1 Eagle完成車):税抜き105万円
text:So.Isobe
トレックのMTBファンであるならば、ストローク量の増加によってトレイルバイク寄りに進化したTop Fuel(トップフューエル)を見て一つの疑問が頭を過ぎるはず。「それなら、ピュアなフルサスXCレーシングバイクはどこへ?」。
その答えこそ、ヨランダ・ネフ(スイス)らが今シーズン途中からワールドカップに投入して話題を呼び、先日の世界選手権で銀メダル獲得に貢献した新型バイク「Supercaliber(スーパーキャリバー)」。100mmストロークのハードテールバイク「Procaliber(プロキャリバー)」と、先述した前後120mmの新型Top Fuelの中間に位置する、全く新しい新ジャンルのピュアレーシングバイクだ。
年々激しさを増すクロスカントリーレースにおいてフルサスペンションバイクは非常に有効だが、コースによっては軽さや剛性を優先してハードテールバイクが選ばれることもまた事実。そこでトレックは4年にも及ぶ研究期間を経て、フォックスと共にフレームに組む込んだリアショック「IsoStrut(アイソストラット)」を開発。前100mm/後60mmトラベルという既存のハードテールとフルサスペンションの中間に当たるSupercaliberを生み出した。
幻の性能を実現したとして、「ユニコーン的存在」と、イタリアで開催されたグローバルプレゼンテーションで紹介されたSupercaliberのフレーム重量は、サスペンションとハードウェア込みで僅か1950g。IsoStrutはトップチューブに組み込まれたショックアブソーバーを、ピボットレスで直接繋がるシートステーが押すという特徴的な構造を持つ。ショックにはそれ自体の歪みを抑えるブッシュと、ショックの回転を防ぐ「アンチローテーショナルショックピン」が内蔵されているため、ストロークした際にもストラット部分がほとんど歪まない。完全なロックアウトを実現していることや、ボトルを2本装備できることもレースバイクとして大きなメリットだ。
会場に試乗車こそ用意されなかったが、開発者によれば、走行フィーリングは「ハードテールとほぼ共通のリジット感」であり、例えばヨランダ・ネフは実際のレース時に一切ロックアウトを使わないほど自然な乗り味だという。メンテナンスもアフターサービスに定評のある通常のフォックスのサービスキットを使うため安心感がある。
XCレースで勝つことを至上命題としたピュアレーシングマシンだけに、スモールサイズも含めてホイールは29インチで統一され、かつシートステーのしなりを利用する上でフレームはカーボンのみ。完成車では全モデルがボントレガーのカーボンホイールを搭載するなど走りを極めたセットアップが特徴だ。
ジオメトリー的な工夫も行われており、例えばチェーンステー長はProcaliberよりも5mm短い430mmで反応性を狙う。ヘッドチューブアングルとシートチューブアングル、そしてリーチ量はProcaliberとTop Fuelの中間値に落ち着いている。
ハンドルが一定角度以上に切れてしまい、フォーククラウンやハンドルなどがフレームにヒットすることを防ぐために採用されるのがヘッドパーツに内蔵されたKnock Blockテクノロジー。この技術を採用することで、ヘッドチューブ側の逃がしをなくし直線的なデザインを可能にした”Straight Shotダウンチューブ”によってより高い剛性と軽量化を実現している。新型FUEL EXなどと同じくどんなコンポーネントにも対応する「Control Freak」も採用している。
日本国内で展開されるのは、完成車が3種類。税抜き53.9万円の「9.7」と、60.8万円の「9.8」、そして105万円の最上級モデル「9.9」。いずれもS、M、ML、Lの4サイズ展開で、自分だけの一台をオーダーできる「プロジェクトワン」にも対応予定(12月を予定しているという)だ。
トレック Supercaliber 完成車価格
Supercaliber 9.7(スラム NX Eagle完成車):税抜き53.9万円
Supercaliber 9.8(スラム GX Eagle完成車):税抜き60.8万円
Supercaliber 9.9(スラム XX1 Eagle完成車):税抜き105万円
text:So.Isobe
リンク
Amazon.co.jp