登坂距離3.5km、平均勾配11.8%を誇る山頂フィニッシュでオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・ゴベールサイクリング)が勝利。ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)がアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)から3秒差で総合首位に浮上した。
現ノルウェー王者のアムントグレンダール・ヤンセン(ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
笑顔のマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) (c)CorVos
逃げを決めたダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ら (c)CorVos
ノルウェー北部のベステローデン諸島にある街ソートランを出発し、無数に入り組んだ海岸線をひた走るアークティック・レース・オブ・ノルウェー(UCI2.HC)の第3ステージ。ステージ終盤まではここまで比較的平坦基調のコースを走ってきた2日間と変わらないが、この日は終盤に超級山岳「ストールヘイアサミット」が用意されている。
ストールヘイアサミットは距離僅か3.5kmだが、その平均勾配は11.8%、最大勾配は14%を超えるまさに「壁」。海抜0mから504mまで一気に上り詰める大会唯一の頂上フィニッシュステージで、クライマーたちが激しく火花を散らした。
スタート直後の2級山岳で先着したのは山岳賞ランキングで首位につけるスティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)。続いてダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)が先行し、ここに前日ステージ勝者のブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルズ)ととクリスティアン・ズバラーリ(イタリア、イスラエルサイクリングアカデミー)、ベンジャミン・デクレルク(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)らが合流。スプリンターばかりで形成された5名のエスケープが生まれた。
入江が幾重にも重なる、ノルウェーらしい海岸線を走る (c)CorVos
波穏やかなベステローデン諸島を駆け巡る (c)CorVos
スピードを落としたメイン集団からおよそ4分のリードを得たエスケープ。その中でコカールは132km地点、93km地点、そして34km地点と合計3箇所の中間スプリントを全て先着してポイントを連取。ポイント賞首位のマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)に3ポイントまで迫った段階で逃げグループを離れ、グルペット完走に切り替える。
逃げを続ける4名の中では、残り10km地点でリアホイールのスポークが折れたファンポッペルが脱落してしまう。ファンポッペルを失った逃げグループはスピードを失い、山岳決戦に突き進むメイン集団に飲み込まれている。
超級山岳ストールヘイアサミット突入前には集団後方で落車が発生し、これに巻き込まれたイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)が勝負圏外へ。先頭ではロイック・ヴリーヘン(ベルギー、ワンティ・ゴベールサイクリング)がアタックしたもののすぐさま引き戻された。
総合首位ファンデルポールが遅れる一方、先頭ではアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)とワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)が先行し、ここにオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・ゴベールサイクリング)とユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ)が合流。急勾配に他選手は追従できず、勝負はこの3名(ウルはルツェンコのアシスト)に絞られた。
クイーンステージを制したオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・ゴベールサイクリング) (c)CorVos
リーダージャージに袖を通したワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) (c)CorVos
後続からクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエルサイクリングアカデミー)やトムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)らが先頭集団復帰を目指したが、残り400mで加速したのはエイキングだった。追従するバルギルを振り切り、フィニッシュ前の平坦と激坂を逃げ切った24歳エイキングが嬉しい母国レースのクイーンステージ制覇を達成。ルツェンコを振り切り2位フィニッシュしたバルギルは総合首位浮上に成功している。
「ルツェンコとバルギルが先行した時も難なくブリッジできたので"これはステージ優勝を狙えるかもしれない"と思った。残り300mから仕掛けようと考えていたけれど、その手前で後続選手が迫っているのが見えたので早めにテンポを上げたんだ。残り100mの坂は急勾配すぎてバイクから落ちるかと思ったよ。初日に勝ち逃げを逃してしまったのが残念だったけれど、母国レースでこの勝ち方ができたので本当に満足している」と、今年初めてツール・ド・フランスへの出場と完走を果たしたエイキングは語っている。
フランスチャンピオンジャージに総合リーダージャージを重ね着したバルギルだが、2位ルツェンコとの差は僅か3秒。翌最終日は後半に距離2.3km/平均勾配6.9%の登坂を含む周回コースを3周する165.5kmで、中間スプリントは合計3箇所用意されている。スプリント力のあるルツェンコとの総合優勝を懸けたボーナスタイム争いが熾烈を極めそうだ。



ノルウェー北部のベステローデン諸島にある街ソートランを出発し、無数に入り組んだ海岸線をひた走るアークティック・レース・オブ・ノルウェー(UCI2.HC)の第3ステージ。ステージ終盤まではここまで比較的平坦基調のコースを走ってきた2日間と変わらないが、この日は終盤に超級山岳「ストールヘイアサミット」が用意されている。
ストールヘイアサミットは距離僅か3.5kmだが、その平均勾配は11.8%、最大勾配は14%を超えるまさに「壁」。海抜0mから504mまで一気に上り詰める大会唯一の頂上フィニッシュステージで、クライマーたちが激しく火花を散らした。
スタート直後の2級山岳で先着したのは山岳賞ランキングで首位につけるスティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)。続いてダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)が先行し、ここに前日ステージ勝者のブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルズ)ととクリスティアン・ズバラーリ(イタリア、イスラエルサイクリングアカデミー)、ベンジャミン・デクレルク(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)らが合流。スプリンターばかりで形成された5名のエスケープが生まれた。


スピードを落としたメイン集団からおよそ4分のリードを得たエスケープ。その中でコカールは132km地点、93km地点、そして34km地点と合計3箇所の中間スプリントを全て先着してポイントを連取。ポイント賞首位のマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)に3ポイントまで迫った段階で逃げグループを離れ、グルペット完走に切り替える。
逃げを続ける4名の中では、残り10km地点でリアホイールのスポークが折れたファンポッペルが脱落してしまう。ファンポッペルを失った逃げグループはスピードを失い、山岳決戦に突き進むメイン集団に飲み込まれている。
超級山岳ストールヘイアサミット突入前には集団後方で落車が発生し、これに巻き込まれたイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)が勝負圏外へ。先頭ではロイック・ヴリーヘン(ベルギー、ワンティ・ゴベールサイクリング)がアタックしたもののすぐさま引き戻された。
総合首位ファンデルポールが遅れる一方、先頭ではアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)とワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)が先行し、ここにオドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・ゴベールサイクリング)とユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ)が合流。急勾配に他選手は追従できず、勝負はこの3名(ウルはルツェンコのアシスト)に絞られた。


後続からクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエルサイクリングアカデミー)やトムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)らが先頭集団復帰を目指したが、残り400mで加速したのはエイキングだった。追従するバルギルを振り切り、フィニッシュ前の平坦と激坂を逃げ切った24歳エイキングが嬉しい母国レースのクイーンステージ制覇を達成。ルツェンコを振り切り2位フィニッシュしたバルギルは総合首位浮上に成功している。
「ルツェンコとバルギルが先行した時も難なくブリッジできたので"これはステージ優勝を狙えるかもしれない"と思った。残り300mから仕掛けようと考えていたけれど、その手前で後続選手が迫っているのが見えたので早めにテンポを上げたんだ。残り100mの坂は急勾配すぎてバイクから落ちるかと思ったよ。初日に勝ち逃げを逃してしまったのが残念だったけれど、母国レースでこの勝ち方ができたので本当に満足している」と、今年初めてツール・ド・フランスへの出場と完走を果たしたエイキングは語っている。
フランスチャンピオンジャージに総合リーダージャージを重ね着したバルギルだが、2位ルツェンコとの差は僅か3秒。翌最終日は後半に距離2.3km/平均勾配6.9%の登坂を含む周回コースを3周する165.5kmで、中間スプリントは合計3箇所用意されている。スプリント力のあるルツェンコとの総合優勝を懸けたボーナスタイム争いが熾烈を極めそうだ。
アークティック・レース・オブ・ノルウェー2019第3ステージ結果
1位 | オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・ゴベールサイクリング) | 4:07:32 |
2位 | ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) | 0:05 |
3位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 0:13 |
4位 | リリアン・カルメジャーヌ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) | 0:17 |
5位 | クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエルサイクリングアカデミー) | |
6位 | ユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ) | 0:23 |
7位 | トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ) | 0:32 |
8位 | サイモン・カール(イギリス、デルコ・マルセイユ・プロヴァンス) | 0:36 |
9位 | シンドレ・ルンケ(ノルウェー、リワル・レディーネス) | |
10位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) |
個人総合成績
1位 | ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) | 11:23:56 |
2位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 0:03 |
3位 | クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエルサイクリングアカデミー) | 0:15 |
4位 | リリアン・カルメジャーヌ(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) | 0:18 |
5位 | ユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ) | 0:30 |
6位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | 0:35 |
7位 | シンドレ・ルンケ(ノルウェー、リワル・レディーネス) | 0:37 |
8位 | エンリーコ・ガスパロット(イタリア、ワンティ・ゴベールサイクリング) | 0:48 |
9位 | ブランドン・マクナルディ(アメリカ、ラリーUHCサイクリング) | |
10位 | マークス・ホーエルガード(ノルウェー、ウノX・ノルウェージャンデヴェロップメント) | 0:52 |
ポイント賞
1位 | マチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) | 27pts |
2位 | ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルズ) | 24pts |
3位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 18pts |
山岳賞
1位 | スティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ) | 12pts |
2位 | オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・ゴベールサイクリング) | 10pts |
3位 | ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) | 7pts |
ヤングライダー賞
1位 | クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエルサイクリングアカデミー) | 11:24:11 |
2位 | ブランドン・マクナルディ(アメリカ、ラリーUHCサイクリング) | 0:33 |
3位 | マークス・ホーエルガード(ノルウェー、ウノX・ノルウェージャンデヴェロップメント) | 0:37 |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 34:13:09 |
2位 | リワル・レディーネス | 2:01 |
3位 | スポート・フラーンデレン | 3:53 |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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