荒天の影響で約60kmの険しい登坂のみに短縮されたツール第20ステージ。昨年に続く優勝を果たしたベテランのニバリ、総合優勝に王手をかけたベルナル、山岳賞を確定させたバルデ、シャンゼリゼでの勝利に意欲を見せるサガン。閉幕を意識した選手たちのコメントを紹介します。



ステージ1位、敢闘賞 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)

最終難関ステージを勝利で飾ったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)最終難関ステージを勝利で飾ったヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:Makoto.AYANO
ゴールラインを越えたときから、ずっと解放感を覚えている。残り数百メートルは終わりがないように感じた。自分が勝利するための唯一の方法は長距離のアタックだった。山の登り口でもアドバンテージがあったので、これなら勝てると信じた。去年から1勝もしていなかったので、リベンジを果たせた。

総合1位、新人賞、ステージ4位 エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)

ゲラント・トーマスに祝福されながらフィニッシュするエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)ゲラント・トーマスに祝福されながらフィニッシュするエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) photo:Makoto.AYANO
今まさに公式記録の一部になろうとしている。残り1ステージ。順当にいけば、初めてのツールでの勝利だといえる。

最後の登りは本当にハードだった。ユンボ・ヴィズマが表彰台を狙って激しく攻めていた。チームの状況はとても順調で、自分も快適だった。満足している。

コロンビア人初のツール・ド・フランス覇者となることをほぼ確実なものにしたエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)コロンビア人初のツール・ド・フランス覇者となることをほぼ確実なものにしたエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) photo:Makoto.AYANO
自分の身になにが起きたかをまだ飲み込めていないと思う。初めてのツールで優勝するなんて信じがたい。今はただ明日のパリでゴールラインを越えたいだけだ。そうして、ようやく落ち着きそうだ。コロンビアは初のツール総合優勝の間際にある。これは自分自身の栄誉というより、コロンビア全体の栄誉だと感じている。コロンビアはすでにジロやブエルタでは総合優勝しているけど、ツールだけがなかった。だから、自分がそれを達成するんだと考えると大きな栄誉だ。自分の父親は最初なにも言えなかった。絞り出すようにして祝ってくれた。今にも泣きそうだった。ぼくたちにとって夢だった。

父とふたりでツールをテレビで見ていたし、とうてい実現できるとは思っていなかった。子供のころに「あの場所にいつの日か立てたら、すごくクールだろう」と、とても遠い目標だと思えた。今その場所にいる。とても感動している。

山岳賞 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアル)

マイヨアポアにご機嫌な笑顔のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)マイヨアポアにご機嫌な笑顔のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Makoto.AYANO
赤い水玉の山岳賞ジャージは子供のころの夢だった。2015年は最後の山岳ステージで失なうことになったので、今回はとても満足している。これまで7回ツールに出場していて、シャンゼリゼで表彰台に立つのはこれで5回目になりそうだ。それぞれ賞は異なっている。自分自身をうまく見直せていると思う。今回のツールでは予想通りには行かなかったけど、うまく機能しなかったことよりも、この戦利品を楽しみたい。われわれは失敗は許されているけど、挑戦しないことや全力を尽くさないことは許されない。

ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨヴェールをほぼ確実なものにしたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)マイヨヴェールをほぼ確実なものにしたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto.AYANO
今年のツール最後の山岳ステージは、短距離だったが簡単ではなかった。このバル・トランスの山頂ゴールから、もう一晩寝ればパリに着く。エマヌエル(ブッフマン)を祝いたい。今日の走りは素晴らしかったし、総合4位に入った。明日のスプリントステージは全力を出して、シャンゼリゼでベストな結果を迎えたい。

総合2位、ステージ5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス)

ゲラント・トーマスに祝福されながらフィニッシュするエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)ゲラント・トーマスに祝福されながらフィニッシュするエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) photo:Makoto.AYANO
総合1位と2位を獲得できて、これ以上の結果はない。エガン(ベルナル)は自分よりも一歩抜きんでていた。自分の前に立つには最良の人物だ。

今年は自分にとってはクレイジーな年だったが、今は好調な状態に持ち込めたし、チームとしても1日目よりもうまく走れていることに満足している。

(このチームは)本当にすごい。チームとしての強さと、ツールでの戦い方のノウハウを持っていることを何度も証明できたと思う。その一員であることがうれしい。

総合3位、ステージ8位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)

ローレンス・デプルスのアシストぶりを讃えるステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ローレンス・デプルスのアシストぶりを讃えるステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:Makoto.AYANO
自分が求めていた結果に達成できた。チームで全力を出したことが結果につながった。そのことを誇りに思いたい。最大の努力をする必要があった。これまで何度も表彰台に届きそうなことはあった。ずっとハードに走り続ける必要もあったし、ずっと戦い続けてきた。そしてチームも自分に全幅の信頼を置いてくれた。それがうまく機能したという以外に説明する言葉はない。今日のチームは途方もないほどの仕事をしてくれた。全力を出さないといけないことはチーム全員がわかっていたので、山の登り口で主導権を握った。ジョージ(ベネット)と、とくにローレンス(デプルス)のペースが速かったので、みんなが限界まで走ることになった。これが良かった。アラフィリップが厳しい状況にあることを予想していたが、同時にブッフマンにも警戒する必要があった。最後の最後まで勝負していた。チームメイトのためにもちゃんとゴールする必要があった。結果を出せて、本当に満足している。

総合4位、ステージ7位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)

エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)とグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)とグレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)CorVos
今日のステージは距離が短くなったかもしれないが、逆にとても難易度が高かった。最後の登りは本当に長くて、登り口からのペースが速かった。平坦な区間がいくつかあって、少し回復することはできたけど、精神的には厳しかった。3週間のレースでは、挑戦し、集中し、踏み続ける必要があった。総合争いの後続の選手たちとの差も充分にあったので挑戦することができた。残念ながら今日の脚の調子はベストではなかったので、うまくは行かなかった。ただ、この総合4位という順位は、総合10位圏内という最初の目標を充分に達成したことに大いに満足している。表彰台には及ばなかったが、単純にクライスヴァイクや(ゲラント)トーマスのほうが速かっただけだ。そして、これが今年の自分が出せた最良の結果だ。だけど、これからまだ何年もある。

総合6位、ステージ3位 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)

イヤな予感通りの結末だった。ニバリの実力は誰もがわかっている。彼が逃げに入ったときには連れ戻すのは困難だった。アレハンドロ(バルベルデ)とぼくは最後の登りで強く踏んだが、勝利に届かなかったことが残念だ。この登りを一言で現わすなら「窒息」で、本当に困難な登りだった。誰もが自分の望み通りの脚がなかったし、好調でもなかったので、トレインから抜け出すのが難しく、だいたい時速30kmくらいで走っていた。ゴール前に動くということもできなかった。登りのペースはとても速く、速いまま最後の登りに入り、次のカーブでスピードが落ちたところで、ニバリが見えたのでアタックした。だけど横を見ると400mのバナーが見えたので、このペースで最後まで走るのは難しそうなことがわかった。

ステージ6位 総合7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト)

今日の自分の結果に本当に満足している。もちろん上位に入りたかったが、このレースではいつも自分に本当に見合った順位になってしまう。

※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI