緑色のマイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)は最強スプリンターの証。第106回ツール・ド・フランスの平坦ステージで高速バトルを繰り広げる注目スプリンターをチェックしておこう。

スプリントポイントも勝負に響くマイヨヴェールをかけた戦い

2018年に6度目のマイヨヴェール獲得を果たしたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)2018年に6度目のマイヨヴェール獲得を果たしたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Luca Bettini
グリーンジャージを意味するマイヨヴェールはポイント賞ランキングトップの選手に与えられる特別賞ジャージ。チェコの自動車メーカーで、大会のオフィシャルカーサプライヤーでもあるシュコダがスポンサーを務める。

ツール主催者ASOは21あるステージを「平坦」「中級山岳」「上級山岳」「個人TT」の4種類に分類。それぞれ異なるポイント配分を設定している。2015年に「平坦ステージ」の優勝者に多くのポイントが与えられるシステムが導入されたことで、ピュアスプリンターがマイヨヴェール争いにおいてリードを得やすいポイント配分となっている。

シュコダがスポンサーを務める緑色のマイヨヴェールシュコダがスポンサーを務める緑色のマイヨヴェール photo:Kei Tsuji2011年に変更されたスプリントポイントのポイントシステムは継承。1ステージ・1スプリントポイントに固定されており、スプリントポイントでのポイント配分は全ステージ共通だ(TTを除く)。ポイント通過上位15名まで、「上級山岳ステージ」のフィニッシュと同等のポイントが与えられる。

このスプリントポイントでの獲得ポイントがマイヨヴェール争いに大きな影響を及ぼす。山岳ステージでも、コース前半にスプリントポイントが設定されている場合は、スプリンターチームがレースをコントロールするだろう。山岳ステージで逃げに乗るスプリンターも出てくるはず。上位15名までポイントが与えられるため、10名に満たない逃げグループが形成されている場合は集団前方が活性化する。ポイント賞狙いの選手は、1日に2回スプリントすることになるだろう。スプリントポイントで脚を使えば、当然ステージ優勝に影響が出るため、平坦ステージで各チームの思惑が入り乱れそうだ。なおボーナスタイムが与えられる「ボーナスポイント」ではポイントは与えられない。

また、厳しい山岳ステージを乗り切ることが出来ない限り、マイヨヴェール獲得のチャンスは回って来ない。そのためスプリンターたちはグルペットを形成し、タイムアウトの時間内にゴールを目指す。仮に審判の判断でタイムアウトが救済された場合は、その日のステージ優勝の獲得ポイントと同ポイントが減点される。


ポイント配分(いずれも上位15名に付与)
・平坦ステージ(第1,4,7,11,16,17,21ステージ)
優勝者50pts、以下30、20、18、16、14、12、10、8、7、6、5、4、3、2pts
・中級山岳ステージ(第3,5,8,9,10,12ステージ)
優勝者30pts、以下25、22、19、17、15、13、11、9、7、6、5、4、3、2pts
・上級山岳ステージ&個人TT(第10,11,12,17,19ステージ)
優勝者20pts、以下17、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1pt
・スプリントポイント
先頭通過者20pts、以下17、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1pt


サガン7度目のマイヨヴェール獲得なるか?

大声援を受けるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)大声援を受けるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
失格処分を受けた2017年を除いて、2012年から連続でマイヨヴェールを獲得しているのがペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)。これまでステージ通算11勝を飾っているサガンは、集団スプリントでピュアスプリンターから勝負を奪うことは難しくても、山岳ステージでもポイントを稼ぐことができる。今シーズンはまだ3勝しか飾っていないが、直前のツール・ド・スイスではステージ1勝&ポイント賞獲得。例年ポイント賞2位の選手に倍近いポイント差をつけてマイヨヴェールを獲得しているサガンが今年も有力候補の筆頭だ。

ピュアスプリンターの中で注目したいのはツール初出場のカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)。ジロ・デ・イタリアでステージ2勝を飾り、ツールを見据えて山岳ステージを前にリタイアした24歳の『ポケットロケット』は、ロジャー・クルーゲ(ドイツ)やジャスパー・デブイスト(ベルギー)といったリードアウトマンを揃えて必勝体制。逃げない日にはトーマス・デヘント(ベルギー)がメイン集団を長時間牽引するシーンが見られそうだ。

直前のZLMツアーでそのユアンを下してステージ2勝を飾ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)は2017年の最終シャンゼリゼを制し、2018年の前半ステージで2勝。今シーズンすでに10勝を飾っているフルーネウェーヘンは、マイク・テウニッセン(オランダ)やアムントグレンダール・ヤンセン(ノルウェー)のリードアウトを受ける。

カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:Kei Tsujiディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:A.S.O.

ジロをステージ0勝で去ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)はツール・ド・スイスでステージ2勝を飾って自信を取り戻した様子。マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)やミケル・モルコフ(デンマーク)に発射予定のヴィヴィアーニは、サガンと同様にナショナルチャンピオンジャージではなくノーマルチームジャージでの出場となる。イタリア勢としては他にもソンニ・コルブレッリ(バーレーン・メリダ)やジャコモ・ニッツォーロ(ディメンションデータ)らがスプリントに絡んでくるだろう。

他にもアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、アルケア・サムシック)らベテラン勢、カヴェンディッシュのいないディメンションデータを率いるエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)、ブアニのいないコフィディスを率いるクリストフ・ラポルト(フランス)らがフィニッシュ前を熱くする。クリストフのチームメイトとして初出場する最年少ジャスパー・フィリプセン(ベルギー)にも注目したい。

アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) photo:CorVosエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:CorVos

サガンと同様に、ピュアスプリンターが脱落するような丘陵ステージで力を発揮するのがマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)やグレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)、ヨーロッパチャンピオンのマッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)ら。例年以上に2019年のツールにはパンチャー向きのステージが多く設定されている。

2018年の山岳王ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)もポイント賞上位に絡んでくるはず。クリテリウム・デュ・ドーフィネでポイント賞を獲得したツール初出場のワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)が3週間のグランツールでどれだけの走りを見せるかに注目だ。

マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:Kei Tsujiグレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム)グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー、CCCチーム) photo:Kei Tsuji
マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット) photo:CorVosワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) photo:Kei Tsuji



歴代マイヨヴェール受賞者
2018年 ペテル・サガン(スロバキア)
2017年 マイケル・マシューズ(オーストラリア)
2016年 ペテル・サガン(スロバキア)
2015年 ペテル・サガン(スロバキア)
2014年 ペテル・サガン(スロバキア)
2013年 ペテル・サガン(スロバキア)
2012年 ペテル・サガン(スロバキア)
2011年 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
2010年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2009年 トル・フースホフト(ノルウェー)
2008年 オスカル・フレイレ(スペイン)
2007年 トム・ボーネン(ベルギー)
2006年 ロビー・マキュアン(オーストラリア)
2005年 トル・フースホフト(ノルウェー)
2004年 ロビー・マキュアン(オーストラリア)
2003年 バーデン・クック(オーストラリア)
2002年 ロビー・マキュアン(オーストラリア)
2001年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2000年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1999年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1998年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1997年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1996年 エリック・ツァベル(ドイツ)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1993年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1992年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1991年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1990年 オラフ・ルードヴィッヒ(ドイツ)

text:Kei Tsuji in Brussels, Belgium
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