国内外から60を越えるブランドを扱う老舗代理店の岩井商会が、ショップ向け展示会を開催した。ブランドの世界観を再現した展示スペースとなっていたチネリを中心に、ヴィットリアやセッレイタリアなどが揃った展示会の様子をレポートしよう。



手書きのブラックボードで来場者を迎え入れてくれた手書きのブラックボードで来場者を迎え入れてくれた
大正13年、西暦に直すと1924年、自転車とリアカーの製造販売の個人事業からスタートした岩井商会。95年という長い歴史の中で、NJS認定を受けているオリジナルブランドのガンウェルや、国内外の多くのブランドを展開。60を越えるブランドの製品を集めた展示会を開催した。

2017年モデルより取扱を開始したチネリより紹介しよう。チネリは数多くのブランドが揃う大ホールではなく別室での展示とされており、ブランドのプロダクトが持つ雰囲気を感じられる特別なショースペースに演出。部屋の壁には、3月末大阪梅田にて開催されたアーバンバイクロアの様子を収録したムービーが投影されていた。

アーバンバイクロアで行われたフィックスドギアのクリテリウムは、チネリ本国が積極的にサポートしている本場の雰囲気を感じられるものだったという。東海地方ではスフィダーレクリテなどで固定ギアのレースが開催されているが、都市部で行われるのは珍しいケース。

VIGORELLIはチネリのピストバイクの中心だVIGORELLIはチネリのピストバイクの中心だ
VIGORELLIなどアーバンクリテ用ラインアップが活躍する場が用意されたことで、実際にどの様に遊んで良いかのデモンストレーションとなったはずだ。岩井商会としてもフィックスドギアのカテゴリーを盛り上げるために、自社だけの活動にとどまらずアーバンバイクロアのようにフジなどとコラボレーションしていきたいという。

岩井商会は遊ぶ場を作る、遊び方を伝えるということにフォーカスしているようだ。今回はディーラーショーではあるが雰囲気のある空間を作り出し、かつフレームセット販売のモデルも組み上げることで、フィックスドギアのスタイルをショップスタッフにもわかりやすく提案していたように感じる。

アーバンバイクロアのクリテリウムで優勝したチャンサダの実車が飾られていたアーバンバイクロアのクリテリウムで優勝したチャンサダの実車が飾られていた
特にVIGORELLIは、アーバンバイクロアのスフィダーレクリテで優勝したバイク(VIGORELLI SHARK)を展示し、フィックスドギアクリテリウムの雰囲気を伝えていた。加えて、担当者の杉本さんが推すのが「VIGORELLI AL」だ。スチールからアルミに切り替えた選手より非常に好感触だというフィードバックを受けているとのことであり、固定ギアで遊びたい方にはオススメできるとのことだ。

また、2020年モデルで新色が追加されたTUTTOは計3台の組み上げたデモバイクが用意されていた。イタリア語の「tutto」は日本語で"全て"という意味を指す通り、このバイクは装着するパーツ次第でどのような遊び方にも対応できてしまうマルチパーパスな1台なのである。

具体的に展示会ではどのようなバイクに組み上げられていたか紹介しよう。1つは細いタイヤを履き、MTBのようなワイドなフラットバーを装着したもの。これはアーバンライド向けだ。ベーシックなパーツで組み上げたシンプルな一台であり、これからシングルスピードを街乗りで使いたいという方にオススメできるようなバイクに仕上げられていた。

担当の杉本さんはTUTTOとVIGORELLI ALがオススメだという担当の杉本さんはTUTTOとVIGORELLI ALがオススメだという 最もベーシックなスタイルで組み上げられたTUTTO最もベーシックなスタイルで組み上げられたTUTTO

ワイドなタイヤも装着可能なため、SSグラベルロードとしても組み上げられるワイドなタイヤも装着可能なため、SSグラベルロードとしても組み上げられる TUTTOはカスタマイズがされた展示車両が3台用意された。これはピストショップが組み上げた1台TUTTOはカスタマイズがされた展示車両が3台用意された。これはピストショップが組み上げた1台


街乗り仕様として、都内のピストバイクショップで組み上げられたという1台も用意。ライザーバーに無骨なステム、レザーのサドル、カラーアルマイト処理が施されたクランク、MKSのペダル、シルバーリムのホイールなどルックスにこだわったバイクに組み上げられていた。ピストバイクはパーツ点数が少ないため、気軽にコーディネートを変えることができ、ファッション性を持たせられるのも特長だ。

3台目はグラベルロードとして組み上げたバイク。ドロップハンドル、ミニVブレーキ、ワイドなブロックタイヤを装着することで、近年盛り上がりを見せているグラベルというジャンルにも対応できることをアピール。自転車でどの様な遊び方を楽しむかを決めかねている方も選択肢としても良いだろう。

ちなみに追加された新色はブラッドオレンジのカラーで、表面がザラザラとした処理のマットな塗装。フォークがグラデーションである点は従来型と同様だが、カラーが変更されており、肩のピンクからつま先のブルーへ変化するデザインとなっている。

TIPO PISTAの新色はゴールドのアクセントカラーが採用され、ゴージャスな雰囲気にTIPO PISTAの新色はゴールドのアクセントカラーが採用され、ゴージャスな雰囲気に
GAZETTAにはイエローカラーが登場するGAZETTAにはイエローカラーが登場する BOOTLEGにはバイクパッキングも似合うBOOTLEGにはバイクパッキングも似合う

チネリの限定キャップは注目度が高いチネリの限定キャップは注目度が高い アグレッシブなデザインのソックスが揃うアグレッシブなデザインのソックスが揃う


また、TIPO PISTAの2020年モデルはブラックベースにゴールドのアクセントカラーが使用された1台となる。金色があしらわれることでTIPO PISTAがゴージャスな雰囲気に。トラックでのレースバイクとしてはもちろん、アーバンコミュート用のベースバイクとしてもピッタリだ。チネリのオールドロゴとヘッドバッジが採用されているGAZETTAは、ブラックとイエローの2色が登場する。ブラックは要望が多いカラーであり、待望のラインアップとなる。

さて、岩井商会ディーラーショーの大ホールに目を移そう。こちらにはヴィットリアやrh+、ヘッド、セッレイタリア、ミケ、ヴィットリアシューズなど海外ブランドから、IRCやオーストリッチ、カブト、キャットアイ、パナレーサーなど国内ブランドが一堂に会する。

グラフェン2.0へと進化を果たしたヴィットリアのタイヤグラフェン2.0へと進化を果たしたヴィットリアのタイヤ グラベルロード用のTERRENOシリーズグラベルロード用のTERRENOシリーズ

MTBにも力を入れているというヴィットリアMTBにも力を入れているというヴィットリア 様々なシチュエーションに対応できるクロスカントリー用タイヤが用意されている様々なシチュエーションに対応できるクロスカントリー用タイヤが用意されている


ヴィットリアは今春にグラフェン2.0へとアップデートされたことが大きなトピックであり、ラインアップされるタイヤが進化している。ロード用CORSAシリーズはシマノレーシング、チーム右京に供給されており、雨天の全日本選手権での活躍をサポート。スリッピーな路面でも選手たちがレースを安全に運べたのは雨天グリップが向上したグラフェン2.0によるところがあるだろう。

また、今年はMTBタイヤにも注力しており、国内のシリーズ戦「クップ・デュ・ジャポン」にもブース展開を行っているという。元々ヴィットリアのMTBタイヤはGEAX(ジアックス)というブランドで展開されてきてたが数年前にヴィットリアブランドに統合。現在、開発は北米で行っており、新たにジョインした経験豊かな技術者たちが開発を進めているとのことだ。ラインアップにはMEZCAL、BARZO、GATO、TERRENO、PEYOTEという5種類のクロスカントリー用タイヤが揃い、これらのタイヤはBMCのMTBチームがワールドカップで使用しているという。

セッレイタリアは今年もツール限定モデルをリリースセッレイタリアは今年もツール限定モデルをリリース セライタリアはクラシカルスタイルのサブブランド。こちらにもツール限定モデルが用意されているセライタリアはクラシカルスタイルのサブブランド。こちらにもツール限定モデルが用意されている

ヴィットリアシューズからはSTELVIOというフラッグシップが登場ヴィットリアシューズからはSTELVIOというフラッグシップが登場 ヴィットリアシューズのミドルグレード「ALISE」ヴィットリアシューズのミドルグレード「ALISE」


セッレイタリアの一角には、ツール・ド・フランスのデザインが与えられた限定モデルが並べられていた。今年もジロと同様にグランツールの特別仕様が展開しており、気になる方はチェックをしておこう。今年もさいたまクリテリウム開催されるため、ツール限定モデルはマイヨジョーヌ獲得者にサインを入れてもらうにはピッタリだろう。

ヴィットリアシューズからはダブルBOAクロージャーのフラッグシップロードシューズ「STELVIO」、シングルBOAのミドルグレードロードシューズ「ALISE」が登場した。いずれも日本人に合わせたワイドフィットで展開されているため、ヨーロッパブランドの足型が合わないという方でも試してみる価値はありそうだ。

ガンウェルブランドではコロンブスの100周年記念チューブを使用したオーダーバイクをオーダー可能とのこと。世界中のフレームビルダーから選ばれるコロンブスの100th Aniv.チューブは記念となることは間違いないだろう。他にも数々のブランドが出展しており、その様子はフォトダイジェストで紹介しよう。

ゼファールにはカラーバリエーションが豊富なボトルケージが用意されているゼファールにはカラーバリエーションが豊富なボトルケージが用意されている ゼファールにはバイクパッキング装備も用意されているゼファールにはバイクパッキング装備も用意されている

カブトブースには定番製品がずらりと並ぶカブトブースには定番製品がずらりと並ぶ IRCタイヤのチューブレスレディは、細かいアップデートが施されているというIRCタイヤのチューブレスレディは、細かいアップデートが施されているという

キャットアイには鮮やかなカラーの製品が用意されているキャットアイには鮮やかなカラーの製品が用意されている rh+にはファッション性に注力したコレクションが用意されているrh+にはファッション性に注力したコレクションが用意されている

これまで個人輸入されていたDOLANのトラックフレームを岩井商会が扱い始めるこれまで個人輸入されていたDOLANのトラックフレームを岩井商会が扱い始める わずか170gというエマージェンシー輪行袋が登場しているわずか170gというエマージェンシー輪行袋が登場している

コロンブスの100周年記念チューブでのオーダーフレームも作れるというコロンブスの100周年記念チューブでのオーダーフレームも作れるという ガンウェルではオリジナル塗装も受けてくれるというガンウェルではオリジナル塗装も受けてくれるという




text&photo: Gakuto Fujiwara
photo:Michinari Takagi