2010年4月17日に行なわれたツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)第7ステージは、ラスト1kmで大落車が発生。チームHTC・コロンビアの選手たちが地面に投げ出される中、落車を免れた選手によるスプリントに持ち込まれ、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス)が接戦を制して優勝した。

逃げグループを形成するジ・チェン(中国、スキル・シマノ)やジャイロ・エルメティ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)逃げグループを形成するジ・チェン(中国、スキル・シマノ)やジャイロ・エルメティ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック) photo:www.tourofturkey.org前半に2級山岳が1つ設定されただけの、比較的難易度の低いコースで行なわれた第7ステージ。コース全長は今大会最短の114km。今大会4回目の集団スプリントに注目が集まった。

レース序盤に形成されたジ・チェン(中国、スキル・シマノ)やアドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ)ら5名の逃げは、レース中盤の50km地点で最大2分30秒のリード。一つにまとまったまま2級山岳をクリアしたメイン集団は、コルナゴ・CSFイノックスが積極的に牽引した。

結婚式を終えたばかりの新郎新婦が沿道に結婚式を終えたばかりの新郎新婦が沿道に photo:www.tourofturkey.orgやがてタイム差が1分まで縮まると、ゴールまで20kmを残して、ジ・チェンがアタック。ここで逃げグループの協調体制は崩れ、互いにアタックを繰り返しながらゴールに向かった。

スプリンターチームが牽引するメイン集団は、ゴールまで4kmを残して逃げグループをキャッチ。ここからチームHTC・コロンビアがメンバー全員を集団先頭に集め、主導権を握ってスプリント勝負に挑んだ。

メイン集団をコントロールするISD・ネーリメイン集団をコントロールするISD・ネーリ photo:www.tourofturkey.orgしかしラスト1kmを切ると、90度の右コーナーでトレインの先頭走者が落車。連鎖的に後続の選手が突っ込み、HTCコロンビアトレインが完全に崩壊。コルナゴ・CSFイノックスの選手も大きく遅れ、落車を免れた選手たちが一目散にゴールに向かった。

先行したジョルジョ・ブランビーラ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)の番手を取ったヴィヴィアーニがラスト200mでスプリントを開始すると、その後方からリーダージャージのジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)が対抗。しかしヴィヴィアーニが何とか先頭を守り切ってゴールに飛び込んだ。

エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス)にジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)が抗議してゴールエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス)にジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)が抗議してゴール photo:www.tourofturkey.orgヴィスコンティはヴィヴィアーニの進路妨害を訴えながらゴールしたが、審判団はその訴えを認めず。ヴィヴィアーニのステージ優勝が決まった。ヴィスコンティは僅差でステージ優勝を逃したが、ボーナスタイム6秒を獲得して総合リードを広げた。

ヴィヴィアーニは今年リクイガスでプロデビューした21歳で、これがプロ2勝目。ジュニア時代からトラック競技で成績を残すスピード走行に長けた選手だ。今後、チーム内ではエーススプリンターの発射台を担う存在になるだろう。

落車を免れてスプリントに絡んだ土井雪広(日本、スキル・シマノ)は7位に。自身のブログで土井は「落車をすり抜けるのにちょっと時間がかかって、ヴィスコンティに追いつくまでに皆がトップスピードに乗っていたので、ステージ優勝には一歩届かなかった」と振り返る。

ツアー・オブ・ターキーは翌4月18日で閉幕。最後の第7ステージは山岳が設定されない平坦な166kmで行なわれる。総合6位につけている土井は「明日は最終日オールフラットの166キロ。山でチームメイトのサポートに結果で応えて、ここまで自分を追い込んで追い込んで本当に辛かったけど、その結果、本当に楽しかったと言える1週間だった!明日はこの1週間を思い返しながら、精一杯楽しみたいと思う!」と語った。

レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。

ツアー・オブ・ターキー2010第7ステージ
1位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス)            2h52'24"
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)
3位 アンドレア・グレンデネ(イタリア、ランプレ)
4位 クレメンス・ファンクハウザー(オーストリア、フォアアールベルク・コラテック)
5位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、リクイガス)
6位 ハン・フェン(中国、スキル・シマノ)
7位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
8位 アンドレア・トンティ(イタリア、カルミオオーロ・NGC)
9位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)
10位 ジョルジョ・ブランビーラ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)

個人総合成績
1位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)         20h00'48"
2位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)        +29"
3位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)                +33"
4位 ジャンパオロ・ケウラ(イタリア、フットオン・セルヴェット)          +54"
5位 クリスティアーノ・サレルノ(イタリア、デローザ・スタックプラスチック)   +1'48"
6位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                      +2'52"
7位 オスカル・ガット(イタリア、ISD・ネーリ)                 +3'48"
8位 アンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)           +4'26"
9位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)                  +5'05"
10位 クリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)               +5'13"

ポイント賞
1位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD・ネーリ)           61pts
11位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                     21pts

山岳賞
1位 レミ・ポリオル(フランス、コフィディス)                  21pts
5位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                      10pts

チーム総合成績
ISD・ネーリ

text:Kei Tsuji
photo:www.tourofturkey.org

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