東商会が新たに取り扱いを開始したアメリカンブランド、ドネリーのグラベルロード「G//C」をインプレッション。自社グラベルタイヤにマッチさせた設計で、長距離のグラベルライドにも最適なパフォーマンスモデルに仕上がる。



ドネリー G//Cドネリー G//C (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
コットンケーシングを強みとするハンドメイドタイヤで名を馳せた名門レーシングタイヤーメーカー”クレメン”を前身とするサイクリングブランド、ドネリー。老舗タイヤブランドの豊富な知識と経験を元に2017年からスタートし今に至る。現在はアメリカのコロラド州ボルダーに拠点を置き、豊富にラインアップを揃えるスポーツバイク用タイヤをメインプロダクトとして展開しているブランドだ。

シクロクロスのプロチーム、ラレー・クレメンを引き継いだドネリープロフェッショナルサイクリングチームを抱え、2017年U23全米ナショナルチャンピオンのランス・ハイデットを始めとする選手をサポート。他にもいくつものロード&CXチームにタイヤを供給しており、確かな技術と性能を持った新進気鋭のブランドとして成長を続けている。

シートステーブリッジにはフェンダーマウントを配置シートステーブリッジにはフェンダーマウントを配置 シートチューブはオーソドックスな丸型断面シートチューブはオーソドックスな丸型断面 フォークはストレート形状でボリュームあるデザインだフォークはストレート形状でボリュームあるデザインだ

そんなドネリーがラインアップするグラベルロードが「G//C」だ。グラベルのG、カーボンのCという2つの頭文字を取った至ってシンプルなモデル名を冠し、ダウンチューブ下部とトップチューブ上部にブランドロゴを大きくあしらったのみの、これまたシンプルなグラフィックが特徴的だ。2018年のダーティカンザではジェイミー・ドリスコル(アメリカ)がこのバイクを駆り総合10位にも入っている。

BMCやエディ・メルクスなどのブランドで開発エンジニアとして活躍した、ロルフ・シンゲンベルガー氏の意見を取り入れ造り上げられた今作。長距離のグラベルライドにも対応できるジオメトリーに煮詰められており、長めのチェーンステーとホイールベースによってオフロードでの安定性を高め、かつヘッドチューブを伸ばすことで上体が楽になるアップライトなポジションを実現している。

グラベルとカーボンの頭文字を取ったモデル名ロゴグラベルとカーボンの頭文字を取ったモデル名ロゴ クレメンを前身とし、シクロクロスやグラベルタイヤにも定評のあるドネリークレメンを前身とし、シクロクロスやグラベルタイヤにも定評のあるドネリー
リアエンドからドロップさせたデザインのチェーンステーリアエンドからドロップさせたデザインのチェーンステー ダウンチューブ横からケーブル類が内装されるダウンチューブ横からケーブル類が内装される

フルカーボン製のフレームは、応力が掛かる箇所に必要な横剛性を持たせ、かつ垂直方向のコンプライアンスを最適化したカーボンレイアップを施すことで快適性と走行性能をバランスさせる。くの字に緩くベンドしたトップチューブも振動吸収性に配慮したものだろう。四角断面のチューブ形状を多用しており、全体的に角ばった無骨なスタイルがグラベルに似つかわしい印象を醸し出している。

700Cホイールで45mm幅まで許容するかなりワイドなタイヤクリアランスを備え、幅広いタイヤチョイスが可能に。650Bホイールでは50mm幅のタイヤまで対応し、自身の走り方に合わせて好みのアセンブルに変更して楽しむことができる。

シートチューブはリアタイヤに沿った泥ハケの良いデザインシートチューブはリアタイヤに沿った泥ハケの良いデザイン ダウンチューブ下部にボトルマウントを設けるダウンチューブ下部にボトルマウントを設ける 700Cで45mm、650Bで50mmまで対応するタイヤクリアランスを備える700Cで45mm、650Bで50mmまで対応するタイヤクリアランスを備える

グラベルロードらしい拡張性ももちろん備えており、ダウンチューブ下部に追加のボトルマウントを配置している他、前後フェンダーが装備可能なダボ穴もフォークやシートステーに設けられている。ディスクブレーキはフラットマウントで、前後12mmスルーアクスルの標準的な仕様だ。ケーブルルーティングはインターナルとしスマートなルックスに貢献している。

SandとGrayの2色展開で、フレームセット価格22万円(税抜)だ。今回は東商会が取り扱うイーストンの各種パーツとシマノULTEGRA DI2で組まれた試乗車にてテストした。それでは、インプレッションに移ろう。



― インプレッション

「リアのしなりを活かした軽やかな走りが特徴」三上和志(サイクルハウスMIKAMI)

「リアのしなりを活かした軽やかな走りが特徴」三上和志(サイクルハウスMIKAMI)「リアのしなりを活かした軽やかな走りが特徴」三上和志(サイクルハウスMIKAMI)
カーボンフレームらしいしなりを活かした軽やかな走りが特徴的ですね。リアトライアングルが積極的にしなってくれるのでオフロードでも振動吸収性は高く、かつバネ感のある推進力を生み出して漕ぎの軽さに繋がっています。チェーンステーなどボリュームがある形状で一見硬そうなフレームに見えるのですが、そこは上手くカーボンレイアップを調整しているのだと思いますね。

気持ちよくスピードに乗るバイクなので、ゆったり走るというよりは林道をある程度の速度で流すような楽しみ方に合っていると思います。ジオメトリーなのかフレームの軽さのせいなのか、どことなく腰高感があるのでスローペースでの安定感は薄く、それよりもしっかり踏んで軽快に走らせる方がフレームの性格にマッチしていると思います。

「ある程度のスピードに乗せてトレイルを流す走りにマッチする」「ある程度のスピードに乗せてトレイルを流す走りにマッチする」
フレームはしなやかで足当たりも良いのですが、対してフォークやフロント周りの剛性感が高く、個人的にはバランスの悪さを感じてしまいました。トレイルのコーナーを攻めていくような走りだと、ハンドリングに違和感があり曲がりにくい印象です。直線基調で走らせる分には気持ちよく進んでくれるので、その辺りは慣れていくしかないのかなと思います。

また今回「MXP」というドネリーのシクロクロスタイヤが装着されていましたが、33Cだとグラベル用途ではちょっと細い印象ですね。タイヤのノブが柔らかめなので路面を掴む走りにはマッチしますが、硬いダートにはミスマッチかなと。かなり広いタイヤクリアランスを持っているので、ワイドなグラベルタイヤを合わせれば全体的な一体感も出て、さらにこのバイクらしさを引き出せると思います。

ドネリー G//Cドネリー G//C (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
ドネリー G//C
フレーム&フォーク:ハイモジュラスカーボン
サイズ:XS(480)、S(510)、M(530)、L(550)、XL(570)
カラー:Sand、Gray
価 格:220,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

三上和志(サイクルハウスMIKAMI)三上和志(サイクルハウスMIKAMI) 三上和志(サイクルハウスMIKAMI)

埼玉県飯能市にある「サイクルハウスMIKAMI」店主。MTBクロスカントリー全日本シリーズ大会で活躍した経験を生かし、MTBに関してはハード・ソフトともに造詣が深い。トレーニングの一環としてロードバイクにも乗っており、使用目的に合った車種の選択や適正サイズに関するアドバイスなど、特に実走派のライダーに定評が高い。

サイクルハウスMIKAMI HP


text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANAO
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