5月に開催された2days race in 木島平村2019の様子をレポート。ローラースキーなどに使われる周回コースで、各賞ジャージを目指して攻める・守る走りで戦った2日間。ステージレースのイロハを本格的に学べるレースだ。

競走相手との差がわかりやすい対面コースレイアウトになっている競走相手との差がわかりやすい対面コースレイアウトになっている photo:Itsushi Kanbe
ステージレースとは、競技規則には「最低2日以上にわたって行い、総合時間順位を競う。」とある。同時期に開催されたツアー・オブ・ジャパンも、ジロ・デ・イタリアも、2019年5月18、19日の土日に木島平村で行われた「2days race in 木島平村」も同じ「ステージレース」だ。総合時間賞を獲得するために、各ステージで攻める、守る走りが見られるレースと言える。

ローラースキー場で開催されるレースの特徴

「2days race in 木島平村」は長野県北部、木島平村のサマーローラースキーコースで開催された。全日本スキー連盟公認となっているコースで、ローラースキー、インラインスケートなど各種スポーツの大会も開催されている。1周3.4kmのコースは、対面で行き違う箇所が多く、競走相手との差がわかりやすいレイアウトになっている。

明星大学からは計3チームのエントリー。袖に識別バンドを装着する明星大学からは計3チームのエントリー。袖に識別バンドを装着する photo:Itsushi Kanbeステージ1A、タイムトライアルは特設スタート台から出走ステージ1A、タイムトライアルは特設スタート台から出走 photo:Itsushi Kanbe


ステージ1a タイムトライアル

1日目午前中に最初のステージのタイムトライアルが行われた。本格的なスタート台から、1分おきにスタートとなる。ホットシートも用意され、暫定トップ3の選手が待機することになる。最初に出走したNo.146中澤選手(Pinazou Test Team 1号)が暫定1位としてホットシートへ。

ローラースキーコースで移動審判を従えてのタイムトライアルの力走ローラースキーコースで移動審判を従えてのタイムトライアルの力走 photo:Itsushi Kanbe
その後、次々と記録が塗り替わり、ホットシートのメンバーが入れ替わる。中盤のグループから、「山の天気は変わりやすい」との言葉通り、徐々に風が強くなり、なかなかベストタイムが更新されなくなってきた。天候の変化も予測して、誰をどのタイミングで走らせるか、チーム内の出走順を決めるのも重要な作戦だ。

そんな中、レース後半に出走した及川一総選手(作新学院大学)が9分29秒01でステージ優勝。総合リーダーのイエロージャージ、U23リーダーのホワイトジャージ、スプリント賞のグリーンジャージを手に入れた。

ステージ1A、タイムトライアルの表彰ステージ1A、タイムトライアルの表彰 photo:Itsushi KanbeO-40リーダーの香西選手(FIETS GROEN 日本ロボティクス)O-40リーダーの香西選手(FIETS GROEN 日本ロボティクス) photo:Itsushi Kanbe


ステージ1b

タイムトライアルに続いて、1日目午後に81.6kmのロードレースが行われた。スタートサインにやってくる選手たち。リーダージャージや有力選手はインタビューも。注目され、観客の期待に応える言動も選手の役割だと感じた。

名誉スターター、地元 木島平村の係長様の号砲で24周のレースがスタート。約半周のローリングで隊列を整えてリアルスタートへ。さっそく5人が飛び出し、後続に20秒、30秒と差を開いていく。逃げグループの中でTTが16秒遅れだった中里仁選手(Wednesday racing)がバーチャルリーダーとなる。メイン集団では、リーダージャージの作新学院大学チームが先頭を引く。逃げに総合成績を脅かす選手が入っているかチェックし、大逃げを許さないようにメイン集団をコントロールするのもリーダーチームの役割だ。

コースサイドで補給を行う。長距離レースならではコースサイドで補給を行う。長距離レースならでは photo:Itsushi Kanbe審判モトにビールケース改造でボトルを搭載する審判モトにビールケース改造でボトルを搭載する photo:Itsushi Kanbe


スタートから1時間が経過し、スプリントポイント賞が設定された周回へ。このステージでは5回スプリントポイント賞が設定され、レース終了後ではなく、毎回素早くチーム関係者へ小さなボトルワインが贈られていた。今晩のテーブルに華を添えてくれるだろう。阿部航大選手(Honda栃木)がポイントを重ね、スプリントポイント賞リーダーのグリーンジャージを手に入れた。

スプリントポイント周回のあとの落ち着いた集団から、再びアタック。新たな逃げグループができ、レースが進んでいく。周回遅れはどんどん除外される。20人近くで回していた後方集団もまとめてDNFへ。ゴール地点では踏むのを止めてスピードが落ちていたとはいえ、全部のゼッケンの目取りを行った審判の眼力に感服した。

そしてレースはいよいよ終盤へ。リーダーの及川選手(作新学院大学)はチームのアシスト勢の脚を使い切った状態。自ら動いてリーダージャージを守る走りに。

総合成績圏外で、ステージ優勝を狙った選手が前に出てくる。残り1周の打鐘を聞き最終周回。移動審判からタイム差を確認する無線が飛ぶ。レース後すぐに表彰式ができるように準備も進む。ゴールスプリント勝負でトム・ボシス選手(Yamanakako Cyclisme Formation)が優勝。総合リーダー、イエロージャージは、このステージ2位に入ったNo.1中里選手(Wednesday racing)へ。

ステージ優勝はトム・ボシス選手(Yamanakako Cyclisme Formation)ステージ優勝はトム・ボシス選手(Yamanakako Cyclisme Formation) photo:Itsushi Kanbe

ステージ2

ステージ2スタート前、中里選手にインタビュー。「今日はどんな作戦?」ステージ2スタート前、中里選手にインタビュー。「今日はどんな作戦?」 photo:Itsushi Kanbe二日目、5/19(日)の午後にステージ2が開催された。各賞リーダージャージを最前列に並べて紹介して、全38周のレースがスタート。さっそく6人の逃げ、松本雄大選手(MKWらーめん部)がバーチャルリーダーに。このレースでもスプリント賞が設けられ、長丁場のレース中盤を活性化させた。その後、リーダーチームがジャージを守る走りを見せた。

チームメイトに守られてリーダーの中里選手(Wednesday racing)が快走。ここで、レースを降りた筧五郎選手(イナーメ信濃山形)が放送席に来てくれた。レースの展開や、それぞれの選手の役割や思惑を解説し、観客の理解が深まった。

ステージ2、スタートで4賞のリーダー選手が紹介されたステージ2、スタートで4賞のリーダー選手が紹介された photo:Itsushi Kanbe
筧五郎選手の話は「集団の中でのコミュニケーションが大事。」「利害の一致するチームを探して交渉がある。」「意思統一して走ると、集団のスピードはどんどん変わる。」「ベテラン選手が集団を仕切ると意思統一は進みやすい。」などなど、興味深い話が聞くことができた。

ステージ2でホワイトジャージを着る及川選手(作新学院大学)ステージ2でホワイトジャージを着る及川選手(作新学院大学) photo:Itsushi Kanbe昨年のチャリダーで野生動物に接触して落車のシーンを放映されてしまった筧五郎選手昨年のチャリダーで野生動物に接触して落車のシーンを放映されてしまった筧五郎選手 photo:Itsushi Kanbe


レース終盤、ゴール着順でのボーナスタイムで総合成績が変動するか注目されたが、北野普識選手(イナーメ)がスプリント勝負でステージ優勝。総合成績は、先頭集団で同タイムでゴールした中里選手(Wednesday racing)がイエロージャージを守り、優勝となった。

総合4賞の表彰式の華やかさはグランツールにも負けない!総合4賞の表彰式の華やかさはグランツールにも負けない! photo:Itsushi Kanbe

地元の部と敗者レースも開催

総合優勝のチームメンバーと。うれしい表彰式の後の記念撮影総合優勝のチームメンバーと。うれしい表彰式の後の記念撮影 photo:Itsushi Kanbeまた、二日目、5/19(日)の午前中は、地元の部と、前日完走できなかった選手による通称「残念レース」が行われた。インターハイ県内予選も兼ねたレースとなり、地元の高体連の先生が名誉スターターに。前日のレースでどこまで走れたか、走力別にグループ分けしてレース開始。山田拓海選手(飯田風越高校)が自ら動いて、レースを作っていく。

このレースの翌日からネイションズカップの日本代表として、ヨーロッパ遠征が決まっている山田選手は、敢闘賞も獲得。高校生たちの積極的な走りが印象的だった。地元選手の家族もたくさん観戦にやって来ていただき、声援を送っていた。地元の理解、協力があってこそのレースだと感じた。私も地元牧場のソフトクリームを食べ、ちょっとだけ地元経済に貢献させていただいた。

レースを終えて

地元牧場のソフトクリーム。暑くて、すぐ崩れてしまったけど美味しかった地元牧場のソフトクリーム。暑くて、すぐ崩れてしまったけど美味しかった photo:Itsushi Kanbeステージレースはリーダージャージをめぐるチーム間の戦い、と改めて感じた。選手、チームスタッフにとっても多くの学びを得たレースだったと思う。チームメンバーに必要な情報を伝えること、集団で安全に走ること、ゼッケンのつけ方、スタートサインの仕方、補給の摂り方、チーム単位での行動、等々さまざまな場面でのふるまい方が監督やチームスタッフから選手に伝承される。個人単位で参加できるレースも数多くあるが、チーム戦ならではの魅力がステージレースには凝縮されていると感じた。

個人的には普段審判として各地のレースに行っているが、ステージレースの経験はいままで少なく、今回いろんなシチュエーションを体験できた。また、選手を捌くための基礎が大事だと痛感した。最近はICタグで計測できるレースも増えたが、目視と手動で選手を捕捉するスキルは欠かせない。

「おつかれさま、一年後、成長してまたここに来よう」と、選手たちが来年の再会を期して話し合っていたが、大会役員にとっても成長してまた来ようと思える大会だった。

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text&photo:ItsushiKanbe
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