元シクロクロス世界チャンピオンのスピードが炸裂。クリテリウム・デュ・ドーフィネ第4ステージの26.1km個人タイムトライアルでワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィズマ)が優勝した。フルームが落車負傷で姿を消す中、アダム・イェーツ(ミッチェルトン・スコット)が総合首位に立っている。


ステージ優勝に輝いたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)ステージ優勝に輝いたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) photo:A.S.O.
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2019第4ステージクリテリウム・デュ・ドーフィネ2019第4ステージ photo:A.S.O.クリテリウム・デュ・ドーフィネ2019第4ステージクリテリウム・デュ・ドーフィネ2019第4ステージ photo:A.S.O.

コース試走中に3度の総合優勝者クリストファー・フルーム(イギリス、チームイネオス)が落車して大腿骨と肘、肋骨を骨折したことは既報の通り。フルームのツール・ド・フランス欠場が確定するというバッドニュースにツール前哨戦クリテリウム・デュ・ドーフィネは揺れた。フルームは2018年ジロ・デ・イタリア初日の第1ステージ個人タイムトライアルの試走中にも落車し、右半身に擦過傷と打撲を負っている。

総合優勝候補フルームが姿を消したドーフィネ。第4ステージはロアンヌの街を発着する26.1kmの個人タイムトライアルで、中盤にサンタンドレ=ダプションの登り(距離2.3km/平均8%)が設定されている。時間にして30分強の高強度走行でパワーを遺憾なく発揮したのは、2016年から3年連続でシクロクロス世界チャンピオンに輝いているワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)だった。

緑色のポイント賞ジャージを着るファンアールトは、サンタンドレ=ダプションの登りを6分10秒、平均スピード21.6km/hで駆け上がり、その頂上からフィニッシュまで平均スピード60km/hで走破。ステージ全体の平均スピードは46.561km/hに達している。ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)やトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)も好走したが、それぞれファンアールトに31秒、47秒届かなかった。デュムランはジロでの怪我から復調に向かっていることをアピールしている。

47秒差のステージ3位に入ったトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)47秒差のステージ3位に入ったトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:CorVos
ステージ4位/47秒差のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)ステージ4位/47秒差のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos

2019年、ファンアールトは2月にシクロクロスシーズンに区切りをつけると、3月2日のオンループ・ヘットニュースブラッドに出場して13位、以降、UCIワールドツアーレースだけに絞って出場を続け、ストラーデビアンケ3位、ミラノ〜サンレモ6位、E3ビンクバンククラシック2位、ヘント〜ウェヴェルヘム29位、ロンド・ファン・フラーンデレン14位、パリ〜ルーベ22位、アムステルゴールドレース58位という成績を残してきた。

このドーフィネでは初日の第1ステージ3位に入ると、第3ステージの集団スプリントで2位。第2ステージで2分近く遅れたため総合成績を下げたが、この日の勝利で総合9位に返り咲いている。UCIワールドツアーレース初勝利を飾ったファンアールトは「素晴らしい勝利だ。TT能力の改善に取り組んできたけど、勝てるとは思っていなかった。長い直線と登りを含むコースは自分向きだったよ。TTを得意とするチームのおかげで力を伸ばすことができている。ユンボ・ヴィズマのジャージで走る最初のTTで勝利。しかもUCIワールドツアー。これ以上美しいものはないよ」とコメント。ファンアールトは7月のツールに初出場する予定。アムステルゴールドレースを制した現シクロクロス世界チャンピオンで同年代のマチュー・ファンデルプール(オランダ)とともに、ロードレースにシクロクロス旋風を巻き起こしている。

最終走者ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)はステージ14位/1分24秒差最終走者ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)はステージ14位/1分24秒差 photo:A.S.O.
ステージ6位/56秒差のアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)ステージ6位/56秒差のアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:A.S.O.
ステージ9位/1分07秒差のヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)ステージ9位/1分07秒差のヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) photo:A.S.O.
最終走者ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ)はステージ14位に食い込む走りを見せたものの、ステージ6位に入ったアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)が総合首位の座を奪取。イェーツの他にもステージ2位ヴァンガーデレンやステージ4位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)、ステージ5位エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)らが総合順位を上げる結果に。

リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)やティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)がイェーツとのタイム差を30秒以内に抑えるまずまずの結果を残した一方で、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)やダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)は総合タイムを失っている。

トゥーンスに4秒差をつけてマイヨジョーヌに袖を通したイェーツは「全力を尽くした結果だ。自分向きのコースだったと思う。得意ではない長い直線はとにかく頭を下げて走って、登りを全開で走った」とコメント。総合タイム差1分以内に12名がひしめく状態であり、後半の山岳ステージでは熾烈なバトルが予想される。「明日はスプリンターのステージなので他のチームがコントロールすると思う。マイヨジョーヌを最後まで守ることは大きなタスク。トリッキーな戦いになるに違いない。山岳ステージで状況を完全にコントロールするのは難しいと思う」。

ポイント賞とヤングライダー賞でトップのワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)ポイント賞とヤングライダー賞でトップのワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) photo:A.S.O.
マイヨジョーヌに袖を通したアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)マイヨジョーヌに袖を通したアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:A.S.O.
ステージ11位/1分19秒差 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード)ステージ11位/1分19秒差 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) photo:A.S.O.ステージ18位/1分36秒差のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ステージ18位/1分36秒差のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:A.S.O.
ステージ27位/1分52秒差のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)ステージ27位/1分52秒差のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:A.S.O.ステージ71位に沈んだギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)ステージ71位に沈んだギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) photo:A.S.O.
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2019第4ステージ結果
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) 0:33:38
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト) 0:00:31
3位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 0:00:47
4位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) 0:00:49
5位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 0:00:01
6位 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 0:00:56
7位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:00:59
8位 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) 0:01:05
9位 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) 0:01:07
10位 レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:01:10
11位 リッチー・ポート(オーストラリア、トレック・セガフレード) 0:01:19
12位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) 0:01:21
14位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) 0:01:24
17位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) 0:01:30
18位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 0:01:36
19位 ワウト・プールス(オランダ、チームイネオス)
20位 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) 0:01:38
27位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) 0:01:52
71位 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) 0:03:16
個人総合成績
1位 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) 12:27:26
2位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・メリダ) 0:00:04
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト) 0:00:06
4位 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) 0:00:07
5位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) 0:00:24
6位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) 0:00:25
7位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 0:00:26
8位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) 0:00:30
9位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ)
10位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 0:00:40
ポイント賞
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) 57pts
2位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 39pts
3位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) 38pts
山岳賞
1位 カスパー・ピーダスン(デンマーク、サンウェブ) 18pts
2位 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) 13pts
3位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 12pts
ヤングライダー賞
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィズマ) 12:27:56
2位 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) 0:01:14
3位 ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー、ロット・スーダル) 0:02:15
チーム総合成績
1位 EFエデュケーションファースト 37:25:36
2位 アスタナ 0:00:14
3位 ミッチェルトン・スコット 0:01:04