ツアー・オブ・カリフォルニアが開幕。サクラメントの高速ステージでペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が今季2勝目、大会17勝目の勝利を掴んだ。



カリフォルニア周回議事堂前をスタートしていくカリフォルニア周回議事堂前をスタートしていく (c)CorVos
アムジェン・ツアー・オブ・カリフォルニア コースマップアムジェン・ツアー・オブ・カリフォルニア コースマップ (c)www.amgentourofcalifornia.com2006年に初回大会が開催され、今年で14回目を迎える北米最大級のステージレース、アムジェン・ツアー・オブ・カリフォルニア(通称ATOC)が開幕した。

ジロ・デ・イタリアと同時期ながら例年多くのワールドツアーチームが参加し、その多くがエース級の選手を参加させるカリフォルニア。今年は合計19チーム(WT:13、PCT:5、ナショナルチーム:1)から132名が参加。大会通算16勝を挙げているペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト)、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)などお馴染みのメンバーが顔を揃えた。

大会会期は5月12日から18日までの7日間で、今年はサクラメントからカリフォルニア州を南下するステージレイアウト。一昨年まではスプリンターが活躍する場面が目立っていたが、去年、今年と山岳ステージの割合が増加中で、今年のハイライトは第6ステージのマウント・バルディ山頂フィニッシュ(標高1942m/登坂距離7.6km/平均勾配8.8%)に置かれている。

開幕ステージはサクラメントを発着する143kmで、最後は市街地に用意された1周3kmのサーキットコースを3周回巡るお馴染みのスプリントステージ。レースはローレンス・デヴリーズ(ベルギー、アスタナ)、タイラー・ステイツ(アメリカ、アメリカナショナルチーム)、ミハエル・シェアー(スイス、CCCチーム)、シャルル・プラネ(フランス、ノボ ノルディスク)という4名の逃げで動き出した。

サクラメントから西進し、アメリカらしい一直線の道を進む4名に集団が許したタイム差はおよそ1分半。確実に集団スプリントへ持ち込むべく、"トラクター"の異名を持つティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)やボーラ・ハンスグローエ、そしてディメンションデータらスプリンターチームが徹底的なコントロールを行なった。

残り80kmを過ぎると、逃げグループのデヴリーズはメイン集団内のダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)やマグナス・コルトニールセン(デンマーク)をアシストするべく離脱。やがてシェアーもメイン集団に戻り、残るはプラネとステイツのみ。1型糖尿病を患いながらも走るプラネが積極的に逃げを継続したものの、残り20kmを残してメイン集団に引き戻された。

最終盤、サンウェブがメイン集団をリードする最終盤、サンウェブがメイン集団をリードする (c)CorVos
集団はひとかたまりのままサクラメント市街地の周回コースに入り、この日2つめの中間スプリントポイントではユンボ・ヴィズマの牽引からマッズ・ペデルセン(デンマーク、トレック・セガフレード)が先着。サンウェブやドゥクーニンクの牽引でスピードを上げる中、各チームは最終スプリントに向けて体制を組み上げていく。

最終盤にスプリントトレインを組み上げたのはドゥクーニンク。しかしエースのファビオ・ヤコブセン(オランダ)は後方に追いやられ、中切れを起こしながら離脱してしまう。背後につけていたジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)やナセル・ブアニ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)は中切れに巻き込まれ、勝負は先頭に位置取っていたマックス・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ)、クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームイネオス)、ペテル・サガン、ミカエル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)に絞られた。

スプリントで競り合うペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)とトラヴィス・マケイブ(アメリカ、アメリカナショナルチーム)スプリントで競り合うペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)とトラヴィス・マケイブ(アメリカ、アメリカナショナルチーム) (c)CorVos
今年1月以来の勝利を挙げたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)今年1月以来の勝利を挙げたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)CorVos
ハルヴォルセンのためにリードアウトを行うオウェイン・ドゥール(イギリス、チームイネオス)の背後に滑り込み、いち早くスプリントを開始したのはサガンだった。急遽ドゥクーニンクのエースを担ったモルコフは太刀打ちできず、追い上げるトラヴィス・マケイブ(アメリカ、アメリカナショナルチーム)を振り切ったサガンが先着。カリフォルニア州会議事堂の前でツアー・ダウンアンダー以来となる久々の勝利に力強く拳を振り上げた。

混沌としたスプリント勝負で大会通算勝利数を17に伸ばし、昨年途切れた2010年から2017年まで8年連続ステージ優勝記録や、今季勝てずにいた悔しさを晴らしたサガン。ボーラとしてはジロ・デ・イタリアで勝利したパスカル・アッカーマン(ドイツ)と共に、ワールドツアーレースの同日優勝を挙げることとなった。

「今日は集中できていたし、終盤はずっと先頭付近をキープすることができた。僕の大好きなレースの開幕を勝利で飾ることができて本当に嬉しい」と語るサガンは4秒差で総合首位にも浮上。表彰式ではスロバキアチャンピオンジャージに黄色のリーダージャージを重ね着した。

ウイリーでファンの歓声に応えるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)ウイリーでファンの歓声に応えるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)www.amgentourofcalifornia.com
ツアー・オブ・カリフォルニア2019第1ステージ トップスリーツアー・オブ・カリフォルニア2019第1ステージ トップスリー (c)CorVosリーダージャージに袖を通したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)リーダージャージに袖を通したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)CorVos


ツアー・オブ・カリフォルニア2019第1ステージ結果
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 3h14'10"
2位 トラヴィス・マケイブ(アメリカ、アメリカナショナルチーム)
3位 マックス・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ)
4位 クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームイネオス)
5位 ミカエル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
6位 オウェイン・ドゥール(イギリス、チームイネオス)
7位 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) +04"
8位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ)
9位 エリック・バスカ(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
10位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)
個人総合成績
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 3h14'00"
2位 トラヴィス・マケイブ(アメリカ、アメリカナショナルチーム) +04"
3位 マックス・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ) +06"
4位 クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームイネオス) +10"
5位 ミカエル・モルコフ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)
6位 オウェイン・ドゥール(イギリス、チームイネオス)
7位 タイラー・ステイツ(アメリカ、アメリカナショナルチーム) +11"
8位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) +13"
9位 ローレンス・デヴリーズ(ベルギー、アスタナ)
10位 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) +14"
ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 15pts
2位 トラヴィス・マケイブ(アメリカ、アメリカナショナルチーム) 12pts
3位 マックス・ヴァルシャイド(ドイツ、サンウェブ) 9pts
ヤングライダー賞
1位 タイラー・ステイツ(アメリカ、アメリカナショナルチーム) 3h14'11"
2位 ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) +03"
3位 シュモン・サイノク(ポーランド、CCCチーム)
チーム総合成績
1位 チームイネオス 9h42'34"
2位 ボーラ・ハンスグローエ +04"
3位 アメリカナショナルチーム
text:So.Isobe
photo:CorVos

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