2010年4月5日、スペイン・バスク地方で第50回ブエルタ・アル・パイスバスコ(UCIプロツアー)が開幕。初日はオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)が集団スプリントを制したが、進路妨害によって降格処分に。2番手でゴールしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)がステージ優勝に輝いた。

スタートを待つシュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)たちスタートを待つシュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)たち photo:vueltapaisvasco.diariovasco.comパイスバスコ初日の第1ステージが、5つのカテゴリー山岳が設定された152kmの山岳コースで行なわれた。登場する上りはいずれも標高500m以下だが、その多くは勾配がキツい。

レース序盤から逃げたのはクリスティアン・メイヤー(カナダ、ガーミン・トランジションズ)ら5名。メイン集団は地元バスクのエウスカルテルがコントロールし、5名のリードは5分以上に広がらず。

逃げを試みたクリスティアン・メイヤー(カナダ、ガーミン・トランジションズ)ら逃げを試みたクリスティアン・メイヤー(カナダ、ガーミン・トランジションズ)ら photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com先頭5名は4つ目のカテゴリー山岳、3級山岳カバロン峠まで逃げ続けたが、その後吸収。ゴール18km手前のカリサス峠(登坂距離4km・平均勾配8%)の上りで有力選手たちがアタックを仕掛けた。

先ず攻撃を仕掛けたのはロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)の3名。遅れてフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)が合流し、強力な8名が先頭グループが形成した状態でカリサス峠を通過した。

急勾配の上りに挑む選手たち急勾配の上りに挑む選手たち photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com先頭グループ入りを逃したのは、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)やアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)、オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)。これらの選手は追走グループを形成し、懸命に先頭グループを追った。

結局ゴール3km手前でクネゴらはバルベルデらのグループに合流し、先頭は24名に。最後はこの精鋭集団によるスプリント勝負に持ち込まれ、ラスト200mでアレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)がスプリントを開始。フレイレとバルベルデがスプリントで対抗した。

先頭でゴールに向かうオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)の後ろでアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)がアピール先頭でゴールに向かうオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)の後ろでアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)がアピール photo:vueltapaisvasco.diariovasco.comコロブネフを抜いたフレイレは、徐々に左に斜行し、バルベルデを側壁ギリギリに追い込んで先頭をキープ。フレイレは誰にも先頭を譲らずにガッツポーズを見せたが、その後方ではバルベルデがフレイレの進路妨害をアピールした。

バルベルデの抗議を受けた審判団はフレイレの進路妨害を認め、フレイレを集団最後尾のステージ24位扱いに。バルベルデが繰り上げでステージ優勝に輝き、同時にリーダージャージを獲得した。

降格処分が決まったオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)降格処分が決まったオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク) photo:vueltapaisvasco.diariovasco.comバルベルデはツール・メディテラネアンでの総合優勝に続く今シーズン2勝目。「これまでのレースで2位が続いていたから、この勝利には大きな喜びを感じている。ゴール前でオスカル(フレイレ)が左に寄せて来た時は驚いたよ。審判は正しい判断を下したと思う」。バルベルデはパリ〜ニースでアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)に敗れて総合2位。直前のGPミゲール・インドゥラインでは元チームメイトのロドリゲスに敗れて2位だった。

「今日のステージで、強いライバルたちが多く出場していることを確認した。明日からケースデパーニュはリーダーチームとして日々状況を見ながら闘っていく」。パイスバスコのステージ通算6勝目を飾ったバルベルデは、大会初制覇に向けて最高のスタートを切った。

この日、シュレク兄弟やヘーシンク、クネゴ、ロドリゲスと言った総合有力選手たちが順当に先頭グループでゴール。一方、サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)は初日から1分39秒のタイムロスを被った。地元バスクのエウスカルテルは、この日ステージ9位のベナト・インチャウスティ(スペイン)で総合成績を狙うことになりそうだ。

レース展開はレース公式サイト、選手コメントはスペイン・マルカ紙より。

ブエルタ・アル・パイスバスコ2010第1ステージ結果
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)       3h57'58"
2位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)
3位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
4位 アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、ケースデパーニュ)
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック)
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)
9位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、エウスカルテル)
10位 サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)

個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)       3h57'58"
2位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)
3位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
4位 アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、ケースデパーニュ)
7位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック)
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ)
9位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、エウスカルテル)
10位 サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)

山岳賞
ゴンサロ・ルブナル(スペイン、シャコベオ・ガリシア)

チーム総合成績
レディオシャック

text:Kei Tsuji
photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com

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