デンマークで開催されたシクロクロス世界選手権を走った、トップ選手たちのバイクを3編に分けて紹介。まず第一弾は、4年ぶりのアルカンシエルを得たマチュー・ファンデルポール(オランダ)など5名。スペシャル塗装、プロトタイプ、百花繚乱のタイヤまで、現地からの写真と共に紹介します。



マチュー・ファンデルポール(オランダ) キャニオン INFLITE CF SLX

マチュー・ファンデルポール(オランダ)のキャニオン INFLITE CF SLXマチュー・ファンデルポール(オランダ)のキャニオン INFLITE CF SLX photo:Nobuhiko.Tanabe
多くのバイクが準備され新王者の走りをバックアップした多くのバイクが準備され新王者の走りをバックアップした photo:Nobuhiko.Tanabeブラックとグレーのバイクも用意され、本番で使用されたブラックとグレーのバイクも用意され、本番で使用された photo:Nobuhiko.Tanabe


2015年以来4年ぶり、悲願のアルカンシエルを獲得したマチュー・ファンデルポール(オランダ) 。バイクは昨シーズンと同じくキャニオン INFLITE CF SLXで、今回は欧州王者カラーが少なくとも5台、そして本番で使用したファンデルポール専用のグレー/ブラック、そして兄デーヴィッドらと同じレッド/ブラックのチームエディションと、数多くのバイクが新世界王者の走りを支え、バックアップを担った。

マチューが所属するコレンドン・サーカスはシクロクロスチームとしては数少ないシマノサポートチームの一つ。コンポーネントは当然R9170系DURA-ACE Di2で統一され、チェーンリングは46-39T。高速化するレースに合わせ、通常の46-36Tよりもインナーリングの歯数を増やした供給専用品だ。

コンポーネントはR9170系DURA-ACE Di2。チェーンリングは46-39TだコンポーネントはR9170系DURA-ACE Di2。チェーンリングは46-39Tだ photo:Nobuhiko.Tanabeチェーンステーには傷付き対策が施されていたチェーンステーには傷付き対策が施されていた photo:Nobuhiko.Tanabe

M.Van der Poelの文字が入るデュガスタイヤ。マッド用のRhinnoを使用したM.Van der Poelの文字が入るデュガスタイヤ。マッド用のRhinnoを使用した photo:Nobuhiko.Tanabe
こちらは兄デーヴィッドのバイク。レッドとブラックのチームカラーだこちらは兄デーヴィッドのバイク。レッドとブラックのチームカラーだ photo:Nobuhiko.Tanabeデーヴィッドのバイクを整備するメカニック。ホイールには「9」の識別番号が見えるデーヴィッドのバイクを整備するメカニック。ホイールには「9」の識別番号が見える photo:Nobuhiko.Tanabe


ディスクブレーキローターは前140/後160mm。昨年はMTB/シクロクロス用のSM-RT99を使用していたが、今回はディスプレイバイクを除きもDURA-ACEに変更されている。ペダルはXTRだ。

ホイールは40mmハイトのC40-TUに統一し、ここに「M.Van der Poel」のレターが入るデュガスタイヤ各種を組み合わせる。ホイールに貼り付けられたステッカーから10セット前後のホイールを準備しているようで、タイヤは本番ではマッド用のRhinoを、そしてスペアバイクにはスタンダードなTyphoonをセットしたものもあった。

ステム一体式ハンドルはショートリーチ形状の31 ERGOCOCKPIT CF HANDLEBARで、セッレイタリアのバーテープを組み合わせる。



ルシンダ・ブラント(オランダ) ジャイアント TCX ADVANCED SL

ルシンダ・ブラント(オランダ)のジャイアント TCX ADVANCED SLルシンダ・ブラント(オランダ)のジャイアント TCX ADVANCED SL photo:Nobuhiko.Tanabe
力強い走りを見せつけながらも僅かにアルカンシエルに届かなかったルシンダ・ブラント(オランダ)のバイクはジャイアントのTCX ADVANCED SL。ブラントが所属するサンウェブのバイクサプライヤーは2019年1月1日を境にリヴ(男子チームはジャイアント)からサーヴェロに切り替わったものの、サーヴェロはシクロクロスバイクをラインアップしていないため、2018年まで乗っていたバイク(リヴにはカーボンモデルのBRAVAが存在せず、カーボンフレームのTCXにペイントを施していた)を継続使用中。そのためダウンチューブのブランドロゴがチームロゴに置き換えられている。

コンポーネントはR9170系DURA-ACE Di2だが、注目すべきはチェーンリングだ。昨年の世界選手権で確認した際と同じくインナーリング2枚を組み合わせて使っており、画像から判断するにアウター44T、インナー34T。44Tのインナーリングは市販化されておらず、TTバイク用の供給品と思われる。

インナーリング2枚を組み合わせていることが最大の特徴。歯数はアウター44T、インナー34Tインナーリング2枚を組み合わせていることが最大の特徴。歯数はアウター44T、インナー34T photo:Nobuhiko.Tanabe
コンポーネントはR9170系DURA-ACE Di2。スポンサー変更に伴いホイールのロゴが消されたコンポーネントはR9170系DURA-ACE Di2。スポンサー変更に伴いホイールのロゴが消された photo:Nobuhiko.TanabeステムはOverDrive2に対応したCONTACT SLR OD2。すでに廃盤となっている製品ステムはOverDrive2に対応したCONTACT SLR OD2。すでに廃盤となっている製品 photo:Nobuhiko.Tanabe


ホイールは開発中と思われるジャイアント製ディスクブレーキ用カーボンチューブラーで、スポンサー変更に伴いロゴを排除。他にも高剛性ステムのCONTACT SLR OD2(廃盤)やハンドル、サドルなど多くのパーツがジャイアント製でセットアップされている。

ディスクブレーキローターはDURA-ACEではなくSM-RT99で、ペダルはXTR。ブレーキレバーは手前に位置するようセッティングを加えている模様。タイヤはデュガスのRhinnoだった。



トーン・アールツ(ベルギー) トレック Boone Disc

トーン・アールツ(ベルギー)のトレック Boone Discトーン・アールツ(ベルギー)のトレック Boone Disc photo:Nobuhiko.Tanabe
ベルギー王者のトーン・アールツ(ベルギー)らテレネット・フィデア勢が駆るのはトレックのBoone。イエローにグリーンとレッドを加えたチームカラーの他、アールツにはベルギー王者戴冠を記念して2種類のスペシャルペイントバイクが手渡された。

1台はレッド、ゴールド、ブラックとベルギー国旗に使われる3色をメタリックで配色したバイクで、もう一台がブラックベースにレッドとイエローを差し色として加えたもの。世界選手権本番ではメタリックのバイクと通常のチームカラーのバイクがレースを走り、ブラックのバイクはスペアバイクとしてピットに用意された。

ベルギー王者のために用意された美しいメタリックペイントベルギー王者のために用意された美しいメタリックペイント photo:Nobuhiko.Tanabeフレーム後ろ側はゴールドとブラックのグラデーションフレーム後ろ側はゴールドとブラックのグラデーション photo:Nobuhiko.Tanabe

ハンドルは快適性が高いボントレガーのPro IsoCoreハンドルは快適性が高いボントレガーのPro IsoCore photo:Nobuhiko.TanabeコンポーネントはR9170系DURA-ACE Di2。46-39Tのチェーンリングを使うコンポーネントはR9170系DURA-ACE Di2。46-39Tのチェーンリングを使う photo:Nobuhiko.Tanabe


フィデアはコレンドン・サーカスと同じくシマノサポートチームの一つであり、コンポーネントはR9170系DURA-ACE Di2。チェーンリングは他のエリート選手と同じく46-39Tのスペシャル仕様で、ディスクブレーキローターはDURA-ACEとSM-RT99が混在している模様。

ホイールはDURA-ACEではなくボントレガーのAeolus XXX(アイオロス トリプルエックス)シリーズ。リム高28mmの「2」と47mmの「4」の2種類がメインとして使われるほか、その中間ハイトの旧型「3」も広く使い続けられている模様。アルミステムと快適性を追い求めたPro IsoCoreハンドルの組み合わせはフィデアの定番セッティングだ。

こちらはコルヌ・ファンケッセル(オランダ)のBoone。30cと細身のタイヤがセットアップされていたこちらはコルヌ・ファンケッセル(オランダ)のBoone。30cと細身のタイヤがセットアップされていた photo:Nobuhiko.Tanabe
ハッチンソンのコンパウンド「11STORM」のロゴを貼り付けたタイヤ。テスト品と思われるハッチンソンのコンパウンド「11STORM」のロゴを貼り付けたタイヤ。テスト品と思われる photo:Nobuhiko.Tanabe昨シーズン使われていたライムイエローのBooneの姿も昨シーズン使われていたライムイエローのBooneの姿も photo:Nobuhiko.Tanabe


フィデアのメンバーはデュガスのタイヤを使うが、アールツはチャレンジ(写真のディスプレイバイクのタイヤはデュガス)を使用する。ただしレースによってはデュガスのタイヤを使用しているシーンも確認できる。また、コルヌ・ファンケッセル(オランダ)のバイクには「30」の表記がある細身のタイヤが取り付けられていたほか、ハッチンソンのロードタイヤに使われるコンパウンド「11STORM」のロゴを貼り付けた開発途中と思われる?タイヤも存在した。他チームや市販品としても波及するのか注目したいところだ。



ベン・トゥレット(イギリス) スティーヴンス SUPER PRESTIGE

ベン・トゥレット(イギリス)のスティーヴンス SUPER PRESTIGEベン・トゥレット(イギリス)のスティーヴンス SUPER PRESTIGE photo:Nobuhiko.Tanabe
ネームとアルカンシエルがあしらわれるネームとアルカンシエルがあしらわれる photo:Nobuhiko.Tanabeヘッドチューブ〜トップチューブにはユニオンジャックヘッドチューブ〜トップチューブにはユニオンジャック photo:Nobuhiko.Tanabe


ツートンカラーにアルカンシエルとユニオンジャックをあしらったSUPER PRESTIGEに乗るのは、怪我を乗り越え男子ジュニアカテゴリー2連覇を達成したベン・トゥレット(イギリス)。スティーヴンスのバイクとシマノのDi2コンポーネント、そして日本では見慣れないコールのホイールセットという組み合わせは、世界女王サンヌ・カントも所属するIKO・ベオバンク(コレンドン・サーカスの女子/男子育成チーム)のチーム仕様だ。

ホイールはコールのT50LITE、タイヤはアルカンシエル入りのチャレンジホイールはコールのT50LITE、タイヤはアルカンシエル入りのチャレンジ photo:Nobuhiko.TanabeリアディレイラーはULTEGRA RX。クランクセットはローターだリアディレイラーはULTEGRA RX。クランクセットはローターだ photo:Nobuhiko.Tanabe


トゥレットは主にULTEGRA Di2をミックスして使用しており、リアディレイラーはクラッチ付きのRXで統一する。クランクセットはローターの3D(チェーンリングは真円)を基本としつつ、DURA-ACEクランクにウィックワークス製チェーンリングを組み合わせたバイクも見受けられる。ディスクブレーキローターはTRPで、まだ正式ラインアップされていない4アーム形状の製品を使うなど、駆動系は複数ブランドが混在している。

ホイールはコールの50mmハイトのT50LITEで、アルカンシエル入りのチャレンジタイヤ(TEAM EDITION S3)をセットアップ。ペダルはセカンドグレードのXTだった。



ケイティ・コンプトン(アメリカ) トレック Boone Disc

今シーズンナショナル選手権で15連覇という金字塔を打ち立てた大ベテラン、ケイティ・コンプトン(アメリカ)が駆るのはトレックのBoone Disc。トレックはエレン・ノーブルやイヴィ・リチャーズらを擁するファクトリーレーシングを有しているが、個人で活動するコンプトンのバイクには似て非なるカラーリングが施されている。

ケイティ・コンプトン(アメリカ)のトレック Boone Discケイティ・コンプトン(アメリカ)のトレック Boone Disc photo:Nobuhiko.Tanabe
シマノのDi2コンポーネント各種をミックスし、KMCのチェーンを組み合わせるシマノのDi2コンポーネント各種をミックスし、KMCのチェーンを組み合わせる photo:Nobuhiko.Tanabeホイールはナイトコンポジット。タイヤはチャレンジのTEAM EDITION S3やセタだホイールはナイトコンポジット。タイヤはチャレンジのTEAM EDITION S3やセタだ photo:Nobuhiko.Tanabe


アメリカンストライプを加えたBooneには、シマノのDi2各種パーツが組み付けられる。STIレバーはST-R9170で、リアディレイラーはクラッチ付きのULTEGRA RX805。フロントディレイラーは旧型のFD-9070で、スペアバイクには9000系のクランクが取り付けられていた。ブレーキキャリパーはULTEGRAグレードのBR-RS805-R、ローターはSM-RT99。チェーンはKMCのX11ELで、チェーンリングはウィックワークス(42/34T)だ。

ホイールはナイトコンポジットのカーボンチューブラーで、ケーシングにセタを使ったチャレンジの最高級タイヤをセットする。ハンドル周りやサドルはボントレガー製品。また、ブレーキレバーとシフトスイッチの滑り止め加工や、プーリーのセラミックベアリング化、各種ボルトのカラー変更や、タイラップの金属ワイヤー化などなど、メカニックである夫の手による様々なカスタムが施されていることも特徴だ。

text:So.Isobe
photo:Nobuhiko.Tanabe
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