欧州遠征中の石上優大(AVC エクス・アン・プロヴァンス/エカーズ)がフランスで2月11日に開催されたトロフェ・ド・レソールにて2位入賞。フランスのアマチュアトップカテゴリーであるエリートナショナルでの入賞はプロチームに入るための大きな一歩だ。



積極的な走りを見せる石上優大(AVC エクス・アン・プロヴァンス/エカーズ)積極的な走りを見せる石上優大(AVC エクス・アン・プロヴァンス/エカーズ) (c)Directvelo
フランスの南西部、ピレネー山脈の麓に位置するバスク地方のアトランティック県で開催されたトロフェ・ド・レソール。3日間の日程で開催されるエッサーバスクというワンデーレースが連なるシリーズ戦の3日目に行われたレースだ。カテゴリーはフランスのアマチュアカテゴリーの中でも最上級となる「エリートナショナル」。ここで結果を残すことは欧州ロードレース界での評価を上げ、ひいてはプロチームとの契約に直結する可能性もある重要なレースとなる。

レースでは終始、集団の前方で展開した石上優大。勝負所の登りでは強豪であるECCグルパマFDJからの1名を含む4名の先頭集団に入るなど大健闘。ゴールスプリントではグルパマFDJ育成チームの強豪選手らを相手に後ろから捲り上げ、見事2位に食い込む走りを見せた。

強豪チームのECCグルパマFDJ2名に対して後ろから挿し込み、見事2位に入った強豪チームのECCグルパマFDJ2名に対して後ろから挿し込み、見事2位に入った (c)Directvelo勝利したクリスティアン・スカローニ(ECCグルパマFDJ)勝利したクリスティアン・スカローニ(ECCグルパマFDJ) (c)Directvelo


エカーズの代表である浅田顕監督は「シーズン序盤での仏アマトップの”エリートナショナル”カテゴリーにおける2位は成長の証。欧州ではこの成績で石上への評価も高くなり、これから注目が集まるだろう。4月以降はUCIレースも増え、より高い成績が期待できるはずだ。」とコメントしている。


石上優大のレポート

3日目は20kmの周回を6周回、周回中に1箇所、5分ほどの登りがあるが、基本平坦なコースの120km。この日は雨も降っていて、風もそれなりに吹いていて、コースからしても、正直自分の日ではないと思ってスタートした。チームからもスプリントするときは、ジョナサンでいくというオーダーだけ受けた。雨も降っていて、途中工事区間もあり、危険回避も含めて、逃げに乗ろうと考え、逃げの方向でレースを進めた。

レース序盤から、アタック合戦があったものの、逃げができないままレースが進み、3周を完了。そろそろ逃げができそうだと思ったタイミングで、単独先行するコンチネンタルチームの Auber93 の選手に、単独ブリッジ。その後、ちょうど斜めから風が吹いている区間でFDJコンチネンタルを含む、逃げに強力な選手達が合流し、逃げ集団を形成。集団との差を稼ぐのに、全員が踏む。

メンバーを確認するとFDJコンチネンタルが3人、1日目に優勝したPro immoの選手も含まれており、逃げのメンバーはごつい選手ばかり。なんで、自分がこんなメンバーと逃げているのかなとも考えつつ、ローテーションを回した。

その後、4周目入ったところで、チームメイト2人を含む、大きな追走集団が合流し、逃げ集団が20人の大きな集団となる。ここまで集団が大きいとローテーションに回らない選手も出てくるものの、チームのエースが入っているため、Aixとしてはローテーションを途切らさないように回る。

メイン集団との差も、広がったり、縮まったりをしながら距離を消化。5周目の登りで、あまりローテーションに参加していなかった2選手が、抜け出し先行した状態で最終周回へ。

追走集団となった自分たちの集団から、5周目残り1km地点での、Auber93 の選手のアタックをきっかけに、9人の追走集団が形成。こちらも最終周回に突入。ほどなくして前の2選手を吸収し、さらに後ろから2選手が合流。13名の先頭集団ができ、メンバーはFDJコンチネンタルが4人、Pro immo が1日目に優勝した選手を含む2人、Nantes が2人、Blagnac が1人、Auber93 が1人、Caja Rural が1人と、自分の13名。

正直、この段階でも全然自分が勝負に絡むとは思っておらず、ただただローテーションを回す。13名のうちの、1/3がFDJコンチネンタルで、正直何それという感じ。他にも強い選手がいる。 レース中盤からの逃げで、脚の余力にそこまで自信はなかった。とにかく、自分にやれることをやろうと思い 、5分の登りで、勝負することを決め、このグループの状態で、登りに突入。

先頭でFDJコンチネンタルの選手が集団を引く中、まず、Pro immoの選手がアタック。1日目に優勝した選手ではないが、おそらく強い。続いて、牽制気味になった集団から、この日優勝したFDJの選手がアタック。それを追いかけるようにして自分も飛び出す。

FDJの選手と合流し、その後すぐに、Pro immoの選手を吸収。この登りで、唯一、向かい風区間をうまく通過し、そこからアタック。Pro immoの選手が少し離れたがFDJの選手はついてくる。FDJの選手とのアタックの 掛け合いをし、頂上付近で、油断したところをアタックされた。少し離れた状態で、後ろに迫っていたPro immoの選手と合流し、頂上通過後、すぐに前のエフデジの選手を捕まえ、3人で逃げ切りを目指す。

脚がかなりきつく、所々ローテーションを飛ばしながら、とにかく逃げ切りだけを考えた。後ろとの差など確認する暇もなく、向かい風の中、ローテーションを回す。

残り1kmまで来たところで、後ろの追走集団からFDJの選手が合流し、先頭を4名に。その後、すぐこの日優勝したFDJの選手がアタックし、Pro immoの選手が反応。全然脚が残っていなかった自分はらすぐに反応することができなかったが、前で牽制しているところで再合流、残り500m。

ここで行けなかった。ラスト200mに左コーナーがあるこのレースは、先頭で通過するのが圧倒的に有利。合流したタイミングで、すぐに先頭に飛び出れば良かったが、一瞬躊躇してしまったがゆえに、この日3位のFDJの選手にアタックするラインを奪われ、案の定、4番手でコーナーを通過。

そのままスプリントすることになり、なんとか前の選手は刺したものの、2位という結果に終わってしまった。

この日優勝した選手は、去年のヨーロッパ選手権4位の選手で、3位の選手は昨年 Gent - Wevelgem U23 Nations CUPで優勝した選手。確実に格上の選手ではあるが、あそこで動けなかった自分が情けない。言い訳を探せばいくらでも出てくるが、この日のレースの敗因はこれに尽きる。とはいえ、シーズン初戦の走りとしては、次に繋げられるいいレースだったと思う。GMも喜んでくれていた。

まだまだ、シーズンはこれからなので、引き続き精進していきます。今後とも応援宜しくお願い致します。

トロフェ・ド・レソール2019リザルト
1位 クリスティアン・スカローニ(ECCグルパマFDJ) 3h00'5"
2位 石上優大(AVC エクス・アン・プロヴァンス/エカーズ)
3位 イェルマン・ズィーガ(ECCグルパマFDJ)

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