シクロクロス世界選手権が本日、デンマークの港町ボーゲンセにて開幕する。海沿いの平坦区間とキャンバーを組み合わせたコースは、過去数年とは異なる超高速レースを生み出す可能性大。現地からの写真と併せてプレビューする。



港町の中心に据えられたメイン会場。運河には橋が2箇所設置された港町の中心に据えられたメイン会場。運河には橋が2箇所設置された photo:Nobuhiko.Tanabe運河沿いにセットされたホームストレート運河沿いにセットされたホームストレート photo:Nobuhiko.Tanabe

海沿いの平坦区間とキャンバーを組み合わせたボーゲンセの特設コース海沿いの平坦区間とキャンバーを組み合わせたボーゲンセの特設コース photo:Nobuhiko.Tanabe
短く急勾配のキャンバーを上り下りする短く急勾配のキャンバーを上り下りする photo:Nobuhiko.Tanabe大型キャンパーで乗り込む欧州トップ選手たち大型キャンパーで乗り込む欧州トップ選手たち photo:Nobuhiko.Tanabe


アルカンシエルを決める大一番の舞台は、昨シーズンにUCIシクロクロスワールドカップ第4戦が開催されたデンマークのボーゲンセ。首都コペンハーゲンから200km、地続きのドイツ・ハンブルクから300kmという場所に位置し、海に突き出た小さな港町一帯に特設コースが用意されている。

海沿いの平坦区間と短く斜度のあるキャンバーを組み合わせたコースによって、大会本番は極寒・凍結した2017年(ルクセンブルク、ベルヴォー)、深い泥に埋もれた2018年(オランダ、ファルケンブルク)とは異なる高速レースとなる可能性が大。昨年のワールドカップ時に使われた急角度のキャンバーが人工スロープに置き換えられ、最高気温も2度と低く路面が凍結していることもその要因だ。

キャンバーを乗車でクリアするマチュー・ファンデルポール(オランダ)キャンバーを乗車でクリアするマチュー・ファンデルポール(オランダ) (c)CorVos
オランダチームの一角を担うラース・ファンデルハールオランダチームの一角を担うラース・ファンデルハール (c)CorVos記者会見に臨んだマチュー・ファンデルポール(オランダ)記者会見に臨んだマチュー・ファンデルポール(オランダ) (c)CorVos


男子エリートの最有力候補は、ここまで圧倒的な勝率を誇るオランダ期待のマチュー・ファンデルポール。しかし世界選手権では3年連続でライバルのワウト・ファンアールト(ベルギー)にアルカンシエルを奪われており、昨年はシクロクロス3大シリーズ全てで総合優勝、欧州選手権を制覇したにも関わらず世界選手権だけは勝利に届かなかった。2015年以来4年ぶりのタイトル奪還がオランダ人ファンの悲願だ。

3月1日からユンボ・ヴィズマの一員として本格ロードレース転向を行うファンアールトは、金曜日のオフィシャルトレーニングで盟友ティム・メルリエ(ベルギー)と共に試走を重ねた。

試走を重ねるワウト・ファンアールト(ベルギー)とティム・メルリエ(ベルギー)試走を重ねるワウト・ファンアールト(ベルギー)とティム・メルリエ(ベルギー) photo:Nobuhiko.Tanabe
キャンバーのラインを確認するワウト・ファンアールト(ベルギー)とティム・メルリエ(ベルギー)キャンバーのラインを確認するワウト・ファンアールト(ベルギー)とティム・メルリエ(ベルギー) photo:Nobuhiko.Tanabeベルギーチームを率いるスヴェン・ネイス。息子のティボーは男子ジュニア優勝候補の一人ベルギーチームを率いるスヴェン・ネイス。息子のティボーは男子ジュニア優勝候補の一人 photo:Nobuhiko.Tanabe

シケインの高さはUCIルール上限の40cmほどシケインの高さはUCIルール上限の40cmほど photo:Nobuhiko.Tanabe試走を重ねるアンソニー・クラーク(アメリカ)試走を重ねるアンソニー・クラーク(アメリカ) photo:Nobuhiko.Tanabe


アルカンシエルを守り抜きたいベルギーナショナルチームはシーズン終盤に掛けて調子を上げるベルギー王者トーン・アールツや、昨年大会3位銅メダルのマイケル・ファントーレンハウト、ローレンス・スウィークら圧倒的な選手層を誇るものの、やはりファンデルポールの力が頭一つ抜け出しているのがもっぱらの下馬評だ。

ベルギー・オランダ以外では、大一番に強く先週のワールドカップでも9位に入ったフランスのベテラン、フランシス・ムレーやチェコのミカエル・ボロシュらが割って入る存在。スティーヴン・ハイド率いるアメリカチームも選手人数は多い。

試走を重ねる優勝候補のマリアンヌ・フォスとルシンダ・ブラント(オランダ)試走を重ねる優勝候補のマリアンヌ・フォスとルシンダ・ブラント(オランダ) (c)CorVos元MTB世界王者のヨランダ・ネフ(スイス)元MTB世界王者のヨランダ・ネフ(スイス) (c)CorVos

エヴァ・リヒナー(イタリア)エヴァ・リヒナー(イタリア) photo:Nobuhiko.Tanabeニッキー・ブラマイヤー(イギリス)ニッキー・ブラマイヤー(イギリス) photo:Nobuhiko.Tanabe


アルカンシエル争いが混沌としているのが女子エリートだ。2連覇中のサンヌ・カント(ベルギー)は昨シーズンのような好調ぶりを発揮できておらず、そのため各選手の力が拮抗している。

オランダチームの選手層はベルギーを凌駕し、中でも7回優勝(2006年、2009年、2010年、2011年、2012年、2013年、2014年)と誰よりも勝ち方を知るマリアンヌ・フォスと、力強い走りを武器にするナショナル女王ルシンダ・ブラントが2強。今季トップチームに移籍するやコクサイデのワールドカップで勝利したデニセ・ベッツィマ(オランダ)、欧州王者アンマリー・ワースト、マウド・カプテインス(オランダ)などが揃う。

その他優勝候補は昨年勝利を逃したベテランのケイティ・コンプトン(アメリカ)と、元MTB世界王者のヨランダ・ネフ(スイス)。アリーチェマリア・アルツッフィやエヴァ・リヒナー(イタリア)、ニッキー・ブラマイヤー(イギリス)、クリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク)らもレース上位に食い込んでくるだろう。

その他、男子ジュニアレースにはシクロクロスレジェンドの息子であり、既に多数のにビッグレース勝利を挙げている17歳のティボー・ネイス(ベルギー)が優勝候補として世界選初出場。来日経験勢としてはアンソニー・クラークとサマンサ・ルーネルズ(アメリカ)のスクィッド・スクァッドコンビ、宇都宮で勝利を分け合ったフェリペ・オルツ(スペイン)とスティーブ・シェネル(フランス)、イタリア王者ジョエーレ・ベルトリーニらも各国のナショナルジャージを着用して大一番に挑む。



選手9名で挑む日本ナショナルチーム

日本ナショナルチーム日本ナショナルチーム photo:Nobuhiko.Tanabe
大一番に挑む日本人選手は計9名。男子エリートの小坂光 (宇都宮ブリッツェン)を筆頭に、女子エリートの今井美穂 (CO2 bicycle)、男子U23の村上功太郎(松山工業高校)、織田聖、江越海玖也(共に弱虫ペダルサイクリングチーム)、女子U23の松本璃奈 (TEAM SCOTT)、男子ジュニアの小島大輝(SNEL CYCLOCROSS TEAM)、柳澤創(Team CHAINRING)、鈴木来人(伊那北高校/ボンシャンス)が、日本と現地ベルギー人スタッフのバックアップを得て世界最高峰の舞台を走る(日本人選手のコメントは別記事で紹介します)。

以下は世界選手権の開催スケジュールと、UCI公式YOUTUBEチャンネルで生中継されるURL。第1競技は日本時間の19時からスタートする男子ジュニアだ。
2月2日(土曜日)
スタート時間 カテゴリー 中継URL
11:00(日本時間19:00) 男子ジュニア https://www.youtube.com/watch?v=HjtVy8Jn-iI
13:00(日本時間21:00) 男子U23 https://www.youtube.com/watch?v=bK_p_wmGOlE
15:00(日本時間23:00) 女子エリート https://www.youtube.com/watch?v=XydYHmeiAf0
2月3日(日曜日)
スタート時間 カテゴリー 中継URL
11:00(日本時間19:00) 女子U23 https://www.youtube.com/watch?v=56SMiwAugPQ
15:00(日本時間23:00) 男子エリート https://www.youtube.com/watch?v=3r5nsCAwSno
text:So.Isobe
photo:Nobihiko.Tanabe in Bogense, Denmark