国内チームに続いてオリオンスクエアのステージに上がったのは13つの海外チーム。デゲンコルブ、ヘーシンク、別府史之、クネゴ、ポッツァートといったスター選手の登場に会場が湧いた。



タイランド・コンチネンタルチーム

タイランドコンチネンタルサイクリングチームタイランドコンチネンタルサイクリングチーム photo:Makoto.AYANO
海外チーム勢の先陣を切ったのは、タイ唯一のUCIコンチネンタルチームである「タイランド・コンチネンタルチーム」。今年初来日するため日本国内での馴染みこそ薄いが、ナブティ・リーフォン ユー(タイ)とピーラポル・チャウチャンクワン(タイ)は今年のアジア大会で3位・4位に入った実力者。ナショナルチームの強化が進んでいるタイを象徴するチームとしての走りに期待したい。



トレンガヌ・サイクリングチーム

トレンガヌサイクリングチームトレンガヌサイクリングチーム photo:Makoto.AYANO
かつて福島晋一が所属したことで日本でも知られるトレンガヌサイクリングチーム。その中でも注目は元カチューシャのオルチョム・オヴェチキン(ロシア)だろう。今年は現チームスカイのパヴェル・シヴァコフらを破って2度目のロシアTT王者に輝いており、アジア最大のステージレース、ツール・ド・ランカウイで総合優勝するなどその実力は折り紙つきだ。モンゴルのロード・TT王者マラルエルデネ・バトムンフや、シンガポール王者のゴー・チュンファンなど特別なジャージを着る選手達にも注目だ。



リュブリャナ・グスト・ザウラム

スロベニアから来たリュブリャナ・グスト・ザウラムスロベニアから来たリュブリャナ・グスト・ザウラム photo:Makoto.AYANO
ツール・ド・ラヴニール覇者のタデイ・ポガチャル(スロベニア、リュブリャナ・グスト・ザウラム)ツール・ド・ラヴニール覇者のタデイ・ポガチャル(スロベニア、リュブリャナ・グスト・ザウラム) photo:Makoto.AYANOリュブリャナ・グスト・ザウラムのマスコット「アタ吉」リュブリャナ・グスト・ザウラムのマスコット「アタ吉」 photo:Makoto.AYANO


毎年逃げに乗るなど活躍を見せているグストだが、今年は優勝候補にも挙げられるスター選手を携えてジャパンカップに帰って来た。それが若干20歳のスロベニア人選手、タデイ・ポガチャルだ。U23のツール・ド・フランスとも呼ばれるツール・ド・ラヴニールで総合優勝しその登坂力は世界が認めるところであり、来年UAEチームエミレーツへの加入を決めている。本人は「素晴らしいシーズンの最後に走るジャパンカップだけに良いレースをしたい」と語っており、ジャパンカップ優勝をワールドツアー加入の手土産とできるかに注目が集まる。一人クロアチア国旗をデザインしたジャージを着るのはヴィクトル・ポトチキ(クロアチア)だ。



オーストラリアンサイクリングアカデミー・ライドサンシャインコースト

オーストラリアンサイクリングアカデミー・ライドサンシャインコーストオーストラリアンサイクリングアカデミー・ライドサンシャインコースト photo:Makoto.AYANO
今年創設されたばかりながら、マイケル・ポッター(オーストラリア)がツール・ド・とちぎでステージ2勝・総合優勝を飾ったオーストラリアンサイクリングアカデミー・ライドサンシャインコースト。トラック競技のオリンピックメダリストやチームパーシュート世界王者も所属しており、明日のクリテリウムではワールドツアーに割って入る存在となり得るだろう。



セブンイレブン・クリック・ロードバイクフィリピン

セブンイレブン・クリック・ロードバイクフィリピンセブンイレブン・クリック・ロードバイクフィリピン photo:Makoto.AYANO
金子大介と岡泰誠という日本人選手2人が所属するフィリピンチーム。ツアー・オブ・フィリピン総合優勝、ジョルジュマレーシア総合4位など実力派メンバーを中心には初参戦のジャパンカップに挑む。



ウィリエール・トリエスティーナ - セッレ・イタリア

フィリッポ・ポッツァートとスペシャルペイントのウィリエールフィリッポ・ポッツァートとスペシャルペイントのウィリエール photo:Makoto.AYANO
フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ウィリエール トリエスティーナ・セッレイタリア)フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ウィリエール トリエスティーナ・セッレイタリア) photo:Makoto.AYANOウィリエール トリエスティーナ・セッレイタリアウィリエール トリエスティーナ・セッレイタリア photo:Makoto.AYANO


伊達男フィリッポ・ポッツァートらを中心に、非常にイタリア色濃いメンバーを揃えてきたウィリエールはジャパンカップ初参戦組の一つ。各選手はセルフィーを撮ったりと自由なイタリアらしい雰囲気でチームプレゼンテーションを楽しんでいた。終始笑顔のポッツァートは今回がキャリア3度目の日本レースとなる。「ツール・ド・おきなわ、ツアー・オブ・ジャパンに続く3回目の日本レースだけど、その度に暖かい歓迎を受けて嬉しく思っているよ。その応援に応えたい」と笑顔を振りまいた。



チーム ノボ ノルディスク

チーム ノボ ノルディスクチーム ノボ ノルディスク photo:Makoto.AYANO
ジャパンカップ常連のノボ ノルディスク。1型糖尿病患者だけで構成され、病気に苦しむ子供たちに希望を与えるという使命を胸に5年連続5回目のジャパンカップに挑む。ハンディキャップを背負いながらダヴィ・ロサノ(スペイン)は今年UCI2クラスのレースでステージ優勝を挙げるなど確実に成績を残している。様々な面から注目したいチームだ。



NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ

NIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニNIPPOヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニ photo:Makoto.AYANO
引退レースとしてクリテリウムを走るダミアーノ・クネゴ引退レースとしてクリテリウムを走るダミアーノ・クネゴ photo:Makoto.AYANO2017ジャパンカップ&クリテリウム覇者のマルコ・カノラ (イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)2017ジャパンカップ&クリテリウム覇者のマルコ・カノラ (イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Makoto.AYANO


NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニの注目はやはり昨年クリテリウム、ロードレース共に優勝を飾ったマルコ・カノラ(イタリア)だ。クリテリウムが引退レースとなるダミアーノ・クネゴ(イタリア)の登場に会場からは大歓声が湧き上がり、「公式にはもう引退を発表しているけれど、長年走って来たこの日本で最後に走る機会を作りたかった。だから良い走りを披露したい」と37歳になった「ピッコロプリンチペ」は感謝を伝える。アジア大会でアシストを務めながら5位に入り、世界選手権にも出場した中根英登、そして初山翔の走りにも注目したい。



トレック・セガフレード

ウィリー&ホッピングで登場した別府史之(トレック・セガフレード)ウィリー&ホッピングで登場した別府史之(トレック・セガフレード) photo:Makoto.AYANO
豪快にグッズを投げるジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)豪快にグッズを投げるジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji別府史之(日本、トレック・セガフレード)別府史之(日本、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji


ワールドツアーチームの一番手として登場したトレック・セガフレード。別府史之とジョン・デゲンコルブ(ドイツ)にはもちろん、監督を務めるヤロスラフ・ポポヴィッチにも暖かい歓声が送られた。

記者会見で述べられた通り、「土曜日はジョンとフミ、日曜日はフェリーネで狙っていく。でもそれだけじゃなく一日中集団をコントロールできるメンバーが揃っている」とポポヴィッチ監督。3度目のクリテリウム制覇に期待が掛かるフミは「去年は雨の影響でポジション争いに加われなかったけれど、明日はジョンもいるしすごく楽しみ。うちのチームは常に前々で展開できる力があるので人数が増えたことも影響にはならないだろう」と意気込みを語る。デゲンコルブとどちらがエースに?との問いに対しては濁したものの、デゲンコルブは「彼のホームレースウィンを見てみたいという気持ちもあるよ」とニヤリ。クーン・デコルト(オランダ)とローラン・ディディエ(ルクセンブルク)はスプリントトレインの牽引役として知られる選手であり、今年も去年一昨年のような制圧的なコントロールができれば勝利は近い。

ジョン・デゲンコルプのハリボテを作ったファンとジョン・デゲンコルプのハリボテを作ったファンと photo:Makoto.AYANO


ロットNLユンボ

チームロットNLユンボチームロットNLユンボ photo:Makoto.AYANO
クーン・ボウマン が駆るジャパンカップスペシャルカラーのビアンキクーン・ボウマン が駆るジャパンカップスペシャルカラーのビアンキ photo:Makoto.AYANO上りに強いクーン・ボウマン  (オランダ、チームロットNLユンボ)上りに強いクーン・ボウマン (オランダ、チームロットNLユンボ) photo:Makoto.AYANO

こちらも上りに強いアントワン・トルホーク(オランダ、チームロットNLユンボ)こちらも上りに強いアントワン・トルホーク(オランダ、チームロットNLユンボ) photo:Makoto.AYANOチームロットNLユンボにファンが沸くチームロットNLユンボにファンが沸く photo:Makoto.AYANO


おそらくチーム力としては今回最強と言って過言ではないのがオランダ籍のロットNLユンボだ。ジョージ・ベネット(ニュージーランド)が参加を見送った代役はツール・ド・フランス総合4位に入った経験を持つロベルト・ヘーシンク(オランダ)で、2014年ツール石畳ステージを獲った元シクロクロス世界王者のラース・ボーム(オランダ)、スペシャルペイントのバイクに乗るクーン・ボウマン(オランダ)など、世界トップレベルの実力者が揃う。監督はエースの存在を濁したものの、日曜日のエースはボウマンだろう。ヘーシンクは「先週のロンバルディアでも調子は悪くなかったし、シーズン最後だけに全力を尽くして結果を求めていきたい」と語った。



EFエデュケーションファースト・ドラパック

EFエデュケーションファースト・ドラパックEFエデュケーションファースト・ドラパック photo:Makoto.AYANO
優勝候補の一人マッティ・ブレシェル (デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック)優勝候補の一人マッティ・ブレシェル (デンマーク、EFエデュケーションファースト・ドラパック) photo:Makoto.AYANO「日本にはあなたの女性ファンが多い」と言われて照れるジョセフ・ロイド・ドンブロウスキー 「日本にはあなたの女性ファンが多い」と言われて照れるジョセフ・ロイド・ドンブロウスキー photo:Makoto.AYANO


かつてジャパンカップ6位に入った経験を持つジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ)が日曜日、経験豊富なクラシックライダーのマッティ・ブレシェル(デンマーク)が土曜日のエースを担うEFエデュケーションファースト・ドラパック。ブレシェル以外は全員90年代生まれの若手で構成されたメンバーだけに積極的な走りに期待が掛かる。



ミッチェルトン・スコット

ミッチェルトン・スコットミッチェルトン・スコット photo:Makoto.AYANO
年明け1月のダウンアンダーで引退するマシュー・ヘイマン (オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)年明け1月のダウンアンダーで引退するマシュー・ヘイマン (オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Makoto.AYANO40歳のスヴェイン・タフト (カナダ)は来年ももう1年走る40歳のスヴェイン・タフト (カナダ)は来年ももう1年走る photo:Makoto.AYANO


2年ぶりの出場を叶えたオーストラリアチームは、1月のダウンアンダーで引退を発表しているパリ〜ルーベ覇者マシュー・ヘイマンや、カナダの鉄人スヴェン・タフトら超ベテラン勢と、ブエルタでのイェーツ優勝をアシストとして支えたジャック・ヘイグ(オーストラリア)、そして下部組織からのスタジエ(研修生)を組み合わせた構成でジャパンカップに戻って来た。ヘイグは「チーム力は相当良いレベルにあるし、若いメンバーにとっては日本だけではなく世界にアピールする良い機会になると思う」とコメントした。



BMCレーシング

BMCレーシングチームBMCレーシングチーム photo:Makoto.AYANO
ジャパンカップが引退レースとなるサイモン・ゲランス(オーストラリア、BMCレーシング)ジャパンカップが引退レースとなるサイモン・ゲランス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Makoto.AYANO自分のお面にウケるジョセフ・ロスコフ(BMCレーシング)自分のお面にウケるジョセフ・ロスコフ(BMCレーシング) photo:Makoto.AYANO


来年「CCCチーム」に名称変更するBMCレーシングは4年連続のジャパンカップ出場だ。さらに輝かしい戦績を残して来たサイモン・ゲランス(オーストラリア)の引退レースということも重なるため好成績に賭ける思いはどのチームよりも強いはず。戦略的には経験豊富なニコラス・ロッシュ(アイルランド)がエースを担うことになるだろう。

「僕も含めて選手たちも全員ジャパンカップ出場を楽しみにしてきたし、明日明後日と良いレースをしたい。何度も日本に来ていて日本のファンの暖かさも知っているし、ラストレースをジャパンカップにできて嬉しいよ」とはゲランス。ロッシュは「毎年ジャパンカップに対して全力で取り組んできたし、それは今年も変わらない。まだ作戦を決めていないけれど楽しみつつ全力で走りたい」と静かに意気込みを語った。