スプリンターを振り切る劇的な逃げ切り優勝を飾ったイエール・ワライスは「トマ・ヴォクレールから逃げ方の極意を教わった」とコメント。ブエルタ第18ステージを終え、アンドラ山岳決戦に向かう選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝 イエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)

劇的な逃げ切り勝利を挙げたイエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)劇的な逃げ切り勝利を挙げたイエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:Unipublic
残り45kmまでペースを刻んで走り、そこから加速してメイン集団に抵抗する作戦だった。追い風基調のステージだったので54Tのフロントチェーンリングを用意。おかげで残り25km地点からの下り区間を60km/hオーバーで踏めた。

調子が良ければスプリンターたちを驚かす結果を残せると思っていた。大集団スプリントが予想されるステージで、逃げた状態で残り1kmアーチを通過。その時点で満足感を得ていたし、負けても悔いはなかった。スプリント力のあるビストラムが相手だったので、タイミングを待ち続けて残り200mでスプリントを開始した。

狙っていたステージ優勝をこうして飾ることができてとても満足している。逃げ切りによる勝利は2014年のパリ〜トゥールが初めてで、その時一緒に逃げたトマ・ヴォクレールから逃げ方の極意を教わったんだ。

ステージ2位 スヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)

スプリントで先行するイエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)スプリントで先行するイエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:Kei Tsuji
ステージ優勝まであと少しだった。逃げグループの中で最も強かったワライスは残り2km地点からローテーションを拒否。そこから自分が前を引かざるを得ない状況になってしまい、結果的にそれがステージ2位という結果につながってしまった。

逃げグループは戦略的に上手く走れていたと思う。中盤までイージーなペースで走って、残り50kmから全開で走ってメイン集団に対抗することで一致していた。ステージ優勝を逃したことはもちろん悔しい。でも少なくとも今日はステージ優勝争いに加わることができた。

ステージ3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

逃げる2人をスプリントで追いかけたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)逃げる2人をスプリントで追いかけたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji平坦で高速なステージはとても変なフィニッシュで締めくくられた。開幕の時点よりもずっと調子が良くて、今日はステージ優勝を狙える状態だっただけに、逃げ切りを許してしまったことをとても残念に思っている。最終ストレートで逃げる2人を視界にとらえたけど、追いつくことはできなかった。ステージ3位は最善を尽くした結果であり、今日はそんな日だった。

マイヨロホ サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

総合首位のサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)総合首位のサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:Unipublic
終盤はかなりハイスピードだったので出来るだけ集団の前で走ることを心がけたけど、今日はブエルタの中で最も簡単だと言ってもいいような平穏な1日だった。

アレハンドロ・バルベルデとエンリク・マスは2人とも実力者であり、このブエルタで総合優勝するために攻撃を仕掛けてくるのは間違いない。山岳ステージにおいてミッチェルトン・スコットは最強チームであり、チームメイトたちが強力にアシストしてくれると思う。2015年からアンドラに住んでいるので、どの登りも知り尽くしている。

明日と明後日はとても厳しいレースが予想されるけど、自分は自分のレースをするだけ。総合優勝のチャンスに向かって走るだけだ。過去10年間で大きく力を伸ばしたイギリス自転車界の流れを繋ぎたい。

総合2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Unipublic
スタートから150km地点までずっと追い風に吹かれながらの快適なステージだった。でもそのおかげで選手全員が力を残していたので、残り30kmから先は超高速な展開だった。

正直言って、ブエルタの開幕から現在に至るまで、ここまで脚がフレッシュな状態を保っているとは予想していなかった。マラガの開幕の時点で調子は良くて、第1週にステージ2勝。そこまでは想像できていたけど、まさか最終週に入ってもここまで調子が良いとは。

金曜日と土曜日の2ステージで総合争いが決まる。特に土曜日のステージは距離が短くて(97.3km)破壊力が抜群なので、誰のステージにもなり得る。最後まで諦めずに全力で戦うことを約束したい。サイモン・イェーツが強いことは疑いのない事実であり、ここまで2週間にわたって力を貯めていたアダムが最終週に入って存在感を出している。総合3位のエンリク・マスも間違いなく攻撃を仕掛けてくる。エンリクと2人で今日のマルカ紙(大手スポーツ新聞)の一面トップを飾ったことを誇りに思う。プロトンの中で『おじいちゃん』のような自分が、これから世界を背負う有望な若者と一緒に戦っているなんて。

山岳賞ジャージ トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)

山岳賞ジャージをキープしているトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)山岳賞ジャージをキープしているトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:Unipublic
彼(ワライス)は「今日ステージ優勝する」と言ってスタートしていった。彼はこのステージのために数日間静かに力を貯めていたんだ。今日は決して逃げ向きのステージではなかったけど、調子の良い彼ならやってくれると思っていた。彼が勝つには今日逃げ切るしかなかった。そんな貴重なチャンスをしっかりとモノにした彼は本当に素晴らしい。集団内で走りながら(無線を通して)彼を励まし続けた。

グランツールで山岳賞を獲得するチャンスなんて一生に一度しかやってこないと思う。ツールでも山岳賞を狙ったものの、自分には厳しすぎた。明日この山岳賞ジャージを守って、できることなら土曜日も守り切りたい。実質的な最終日なので全開でいくよ。

text:Kei Tsuji in Lleida, Spain

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