4年ぶりのグランツールステージ優勝を飾ったナセル・ブアニは「自尊心を傷つけられることもあったけど、それを乗り越えて今ここにいる」とコメント。ブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージを走った選手たちのコメントを紹介します。


ステージ優勝 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)

ファンポッペルやトレンティンを下したナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)ファンポッペルやトレンティンを下したナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) photo:CorVos

終盤にかけて超ハイペースな展開のとてもハードなレースだった。昨日のフェイクニュース(偽情報)を払拭するためにも今日は何としても勝ちたかったんだ。ケニース(ヴァンビルセン)とロイック(シェトゥ)のおかげで常に良いポジションで走れていたし、(ライバルの)正しいホイールを選びながらスプリントに備えた。そして残り200mから加速したんだ。

昨年のツアー・オブ・ヨークシャーでの落車でひどい怪我を負ったので、それ以降ずっと低迷していた。命を落としてもおかしくない落車だったし、ずっと視力に問題が出ていた。今もベストなコンディションに戻っているとは言えないし、辛いシーズンを過ごしてきた。決して良くない噂が流れたり、自尊心を傷つけられることもあったけど、それを乗り越えて今ここにいる。

とても良い状態だったのにツールのメンバーに選ばれなかったのは本当に残念だった。他のチームに移籍することも考えたけど、このブエルタ開幕前にチームマネージャーから電話があって、フルサポートを約束すると言われた。コフィディスに勝利をもたらすことができて本当に嬉しいよ。

ステージ優勝を飾ったナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)ステージ優勝を飾ったナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) photo:Unipublic

ステージ2位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)

とても惜しいところで勝利を逃してしまった。ステージ2位という結果は悪くない。でも今日は勝つべきステージだった。ヴィヴィアーニに勝つことはできたけど2位は2位。最終コーナーの時点でとても良いポジションにいて、正しいタイミングでスプリントに持ち込めたのに。あと少しでブアニを追い抜けるところだった。

ステージ3位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)

後ろから追い上げたけど先頭には届かなかった。ポジション取りのミスが最後まで響いてしまったけど、ミスから学ぶことも多い。とにかくレース序盤から集団先頭に立って働き続けてくれたチームに感謝している。勝つこともあれば負けることもある。勝利したナセル・ブアニを祝福したい。

ステージ5位 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)

横風が予想されていたので、まずはサイモン(イェーツ)を安全に走らせることに専念した。そしてステージ優勝のチャンスがあったからスプリントに挑むことになった。少し前に出るのが早すぎたものの、混沌としたポジション争いが繰り広げられていたので、後ろに埋もれてしまうよりは前で展開するほうが良かったと思う。今日はブアニが速かった。彼に勝つにはあと少しパワーが足りなかった。チームにとっては良い1日だったよ。

マイヨロホ ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)

レースを楽しめるようなイージーな日を予想していたけど、全くそんな感じじゃなかった。確かに横風は予想していた。でもティボー(ピノ)が遅れるのは想定外だった。チームの作戦はレッドジャージのキープと、彼を安全にフィニッシュさせること。ある街の出口で急にペースが上がって、気づけば後ろに誰もいなかった。ずっとティボーは集団先頭で走っていたのに、後ろに下がったタイミングで集団が割れてしまったんだ。このレッドジャージをいつまで着れるかは分からないし、これからも毎日様子を見ながら走っていきたい。

マイヨロホ獲得を祝福されるルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)マイヨロホ獲得を祝福されるルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos

1分44秒遅れたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)

追い風気味の横風の影響でとても混沌としたフィナーレになった。街中を抜ける時に目の前で落車が発生して、一緒に走っていたマイク(テウニッセン)が落車で脱落。自分は落車を免れたものの、後続の選手に突っ込まれたのでずっとブレーキが後輪に触れている状態になってしまった。最初は集団に残っていたけど、バイクを交換した時点で1分もの遅れが発生していた。チームは素晴らしい走りでサポートしてくれたものの、残念な結果になってしまった。落車を免れたし、脚の調子が良いのがせめてもの救い。これでブエルタが終わったわけじゃないし、この先のステージで挽回したい。

山岳賞ジャージ&ステージ敢闘賞 ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)

チームにとってパーフェクトな1日だった。チームメイト全員が目標に向かって走った成果だと思う。ナセル(ブアニ)の勝利はチームの勝利であり、チーム全体が喜んでいる。彼は勝利に値するスプリントをしたと思う。この勝利でチームに落ち着きが生まれるし、残るステージに向けてのモチベーションになる。個人的にも山岳ポイントを6ポイント加算できたし、良い1日だった。蟻のような存在でも、少しつづ着実に戦っていきたい。

逃げに乗ったリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)

徐々に調子も上がってきたし、いつもと違うことをしてみた。ようやく踏む感覚が戻ってきたんだ。逃げに乗るなんて何年ぶりだろう。久々の逃げを楽しんだよ。逃げなければ集団の中に埋もれてしまうし、特にすることもない。3週目が楽しみになってきた。

逃げに乗ったリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)逃げに乗ったリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Unipublic

text:Kei Tsuji

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