オランダで開催中のブールス・レディースツアー第3ステージは集団スプリントに持ち込まれ、元世界王者のアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス)が勝利。アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)は危なげなく総合首位を守った。



世界王者のシャンタル・ブラーク(オランダ)やデンマーク王者アマリー・ディデリクセン、アンナ・ファンデルブレヘン(オランダ)を擁するブールス・ドルマンス世界王者のシャンタル・ブラーク(オランダ)やデンマーク王者アマリー・ディデリクセン、アンナ・ファンデルブレヘン(オランダ)を擁するブールス・ドルマンス photo:CorVos笑顔を見せる與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)笑顔を見せる與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) photo:CorVos


ブールス・レディースツアー(UCIワールドツアー)第3ステージの舞台は、オランダ南東部にある街へネプ周辺を巡る周回コース。川沿いの平野区間であるため129kmの道中はオールフラットだが、この日はスプリンターチーム相手に数多くの有力選手が逃げを打った。

その中の一人が與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)だった。「序盤から前方で展開をしながら60kmを過ぎ、集団が緩んだ隙にアタックした」という全日本王者は追従した2名と共に逃げたものの、程なくして吸収。するとアルカンシエルを着るシャンタル・ブラーク(オランダ、ブールス・ドルマンス)やルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ)らを含む13名の大きな逃げができあがる。

川沿いのフラットコースを走るメイン集団川沿いのフラットコースを走るメイン集団 photo:CorVos
逃げに乗るシャンタル・ブラーク(オランダ、ブールス・ドルマンス)逃げに乗るシャンタル・ブラーク(オランダ、ブールス・ドルマンス) photo:CorVos
1分程度の差を得た先頭グループに対して後手に回ったウィグル・ハイファイブや、総合リーダーのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)を擁するミッチェルトン・スコットが集団を率いた。與那嶺も集団先頭に上がって牽引を続けた末、残り5kmを切ってようやく全メンバーを吸収。スプリントに向けて高速化した集団が最終ストレートになだれこんだ。

集団前方で激しく落車が起こる中、主導権を握ったのはアミー・ピーテルス(オランダ、ブールス・ドルマンス)のリードアウトを受けたアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス)。追いすがるジョリーン・ドール(ベルギー、ミッチェルトン・スコット)を下した元世界王者/現デンマーク王者が今期3勝目を飾った。ファンフルーテンは自ら8位フィニッシュしたためポイント賞のリードをさらに広げることとなった。

落車を尻目にアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス)がスプリントを開始落車を尻目にアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス)がスプリントを開始 photo:CorVos
スプリントで勝利したアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス)スプリントで勝利したアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス) photo:CorVos
仕事を終えた與那嶺は集団後方でフィニッシュ。「今日もヘロヘロになりましたが、コンディション良く元気です」とコメントしている。以下は本人によるレポート。

「今日は逃げて、まとめて、追走して、我ながらよく仕事をしました。相変わらずオランダのワールドツアーレースは一瞬も気が抜けません。チームの作戦は、リサで狙いながら逃げがあれば乗って良いとのこと。レース前のプレゼンテーションでは、必ず「ファルケンブルクに住んでいるEri!」と言われ、もうネタにされています。「Japan kampioen Eri Valkenburg」。嬉しいのですが、恥ずかしいです。

さて、スタートから相変わらずの高速での展開。道が狭く、今日は風もあり、注意しながら。体調は普通。昨日のダメージもありますが、やっぱりホームレースは楽しい。序盤から前方で展開をしながら60kmを過ぎ、集団が緩んだ隙にアタック!程よく3名での逃げとなり、しばらく進みます。余力を残しながら、敢闘賞も取れれば良いなと思い。しかし、コースが少し平坦すぎました。これは程なく吸収。

集団後方でレースを終えた與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)集団後方でレースを終えた與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) photo:CorVos
その後、ロード世界チャンピオンのシャンタル・ブラーク(オランダ)、サンウェブのルシンダ・ブラント(オランダ)を含む強烈な逃げが。これはチームから誰かが乗るべきでしたが、誰も乗れず。私も見えていたのですが、自分が逃げ、吸収の直後だったので反応出来ず。タイミング悪く、後手に回ってしまいます。

残り40kmでそろそろ仕事のお時間です。逃げとは1分前後で推移。これ以上開くとまずいのでミッチェルトンのアマンダ(スプラット)と一緒に逃げの追走に入ります。嬉しいことに、ライブ中継でも名前を連呼していただき、私も元気よく、逃げを追走をしながら集団をまとめていきます。タイム差も1分から30秒へ縮め、後は逃げとの追いかけっこ。逃げが目視できる範囲に入り、残り5kmぐらいで私のお仕事は終わり。

後はとにかく落車に巻き込まれないよう、ドロップしないように。ゴール手前のハイスピードコーナー、ロータリーを越え、そしてまたゴール100m手前で落車あり...。昨日に続き昨年のFDJのチームメイトも巻き込まれたものの、何とか無事にゴールをしました。チームはリサで仕掛けるはずが、彼女は調子が上がらず。私は今日もヘロヘロになりましたが、コンディション良く、元気です」。

ステージ結果
1位 アマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス) 2h58'57"
2位 ロレーナ・ウィーブス(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク)
3位 ジョリーン・ドール(ベルギー、ミッチェルトン・スコット)
4位 マリアジュリア・コンファロニエーリ(イタリア。ヴァルカーPBM)
5位 アミー・ピーテルス(オランダ、ブールス・ドルマンス)
6位 マルタ・バスティアネッリ(イタリア、アレ・チポッリーニ)
7位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、ロット・スーダル)
8位 ミーク・クルーゲ(ドイツ、ヴィルトゥサイクリング)
9位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)
10位 クリスティーナ・シガールド(デンマーク、ヴィルトゥサイクリング)
64位 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)
個人総合成績
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 6h31'38"
2位 エウジェニア・ブヤーク(スロバキア、BTCシティリュブリャナ) +29"
3位 エレン・ファンダイク(オランダ、サンウェブ) +30"
4位 ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ)
5位 リア・キルヒマン(カナダ、サンウェブ) +31"
6位 アンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス) +33"
7位 エレナ・チェキーニ(イタリア、キャニオン・スラム) +35"
8位 アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +37"
9位 アミー・ピーテルス(オランダ、ブールス・ドルマンス)
10位 フロールチェ・マッカイ(オランダ、サンウェブ) +40"
ポイント賞
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 57pts
2位 エウジェニア・ブヤーク(スロバキア、BTCシティリュブリャナ) 26pts
3位 エレン・ファンダイク(オランダ、サンウェブ) 25pts
山岳賞
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) 13pts
2位 アンナ・ファンデルブレヘン(オランダ、ブールス・ドルマンス) 8pts
3位 アマリー・ディデリクセン(デンマーク、ブールス・ドルマンス) 8pts
ヤングライダー賞
1位 ジャンヌ・コレヴァール(オランダ、ワオディールス・プロサイクリング) 6h32'22"
2位 マルタ・カヴァッリ(イタリア、ヴァルカーPBM) +06"
3位 ソフィア・ベルティッツォーロ(イタリア、アスタナ) +13"
チーム総合成績
1位 サンウェブ 19h36'27"
2位 ブールス・ドルマンス +13"
3位 ウィグル・ハイファイブ +25"
text:So.Isobe
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)