「今日は勝利にこだわって、勝つことだけを考えて走った」と語るのは、2年連続でマイヨロホを手にしたローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)。ステージ上位の選手をはじめ、ブエルタ・ア・エスパーニャ初日の個人TTを走った選手たちのコメントを紹介します。


ステージ優勝 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)

トップタイムで優勝したオーストラリアTTチャンピオンのローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)トップタイムで優勝したオーストラリアTTチャンピオンのローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Unipublic今日は勝利にこだわって、勝つことだけを考えて走った。その結果、すべてのグランツールでステージ優勝を果たすことができた。クウィアトコウスキーのタイムを見たときは正直焦ったし、自分の中に不安な気持ちも芽生えたけど、必ず勝てると自分に言い聞かせた。後半の下りでタイム差がつきにくいので、前半の平坦路と登りの走りで結果が決まったと思う。登りの頂上がフィニッシュ地点のつもりで走って、前半の5.5kmにすべてをぶつけた。登りの頂上までの6分30秒を全開で走ったんだ。

自分を信じて、自分がこなしてきたトレーニングや周りの人を信じて勝負に挑む術をこの数年で身につけた。BMCレーシングというチームが大きな助けになったし、今日も彼らのおかげですべてがスムーズに進んだよ。

ステージ優勝を狙ってブエルタに出場して、初日にその目標を達成。今日を逃すと自分がレッドジャージを着るチャンスはもう無いから、しっかり結果を残すことができて良かった。正直言って明日レッドジャージを失ってしまっても構わない。自分にとっては世界選手権に向けての準備が最優先で、明日からはチームメイトのために走りたい。明日の第2ステージはスプリンターにとって厳しすぎるレイアウトなので、ディラン・トゥーンスで勝利を狙うことになると思う。そして個人的には第16ステージの個人TTで再び勝利を狙うよ。

ステージ優勝を飾ったローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)ステージ優勝を飾ったローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Unipublic

ステージ2位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)

6秒差のステージ2位に入ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)6秒差のステージ2位に入ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:CorVos今日はステージ優勝を目指してカストロビエホらの中間計測タイムを参考にしながら全力で走った。良い走りだったけど、ステージ優勝に手が届くほど良い走りではなかった。素晴らしい走りで勝利したローハン・デニスを祝福したい。今日彼を打ち負かすことは不可能だった。

(暫定トップの)ホットシートを明け渡すのは悔しい気持ち。ブエルタは3週間という長いレースであり、この先のステージでまたチャンスが巡ってくると思う。

ステージ3位 ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)

もちろんステージ優勝を狙っていたし、レッドジャージを着たいと思っていたのでステージ3位という結果は残念。デニスは間違いなく今日最も速かった選手であり、彼から7秒遅れという結果は決して悪くない。デニスとのタイム差は縮まりつつあり、UCIワールドツアーレースの個人TTで勝つ日はそう遠くないと感じている。もちろん第16ステージの個人TTでリベンジを狙うし、それ以外のステージでも魅力的なレースを展開できる力がチームにはある。

ステージ13位 バンジャマン・トマ(フランス、グルパマFDJ)

ヤングライダー賞トップに入るとは予想していなかった。U25の中にはパヴェル・シヴァコフやタオ・ゲオゲガンハートといった強力な選手が勢ぞろいしている。クリテリウム・デュ・ドーフィネと同様にステージ20位以内を狙っていた中で、トップ15入りしてヤングライダー賞トップに立ったので満足している。4kmでも8kmでも40kmでも、距離に関係なく個人TTが大好き。今年はフランス選手権の個人TTで3位に入って、長い距離の個人TTもこなせるようになってきた。トラックレースの経験が生きていると思う。

ステージ16位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

今日はリスクを負わずに走ることを心がけた。平坦路と登りを全開で攻めて、下りとテクニカルな区間を慎重に走ったよ。3週間という長いレースの初日に落車してタイムや『肌』を失うのは得策じゃない。昨年のツール初日の個人TTで落車したので、そのことは痛いほどよく分かる。調子は良いし、TTバイクでも快適に走ることができた。これからのステージが楽しみになるほど脚の感触は良い。初日から多くの観客が沿道にかけてくれくれたし、雰囲気はとても良かった。

モビスターのエースはナイロ(キンタナ)であり、世界選手権を見据える自分には自由な役割が与えられている。このブエルタでしっかり調子を上げたい。そしてもちろんナイロの総合優勝を全力でサポートしたい。

ステージ34位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

30秒遅れで初日の個人TTを終えたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)30秒遅れで初日の個人TTを終えたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos想定通りの結果になった。ツール後の休息期間を経て身体がどう動くかを確認できたよ。中には調子を落としているツール連戦出場の選手もいるけど、モビスターは問題なくここまでの準備をこなしてきた。

明日以降のステージをトラブルに巻き込まれることなくしっかり集団前方でこなしていきたい。アンダルシアの道は滑りやすいから注意が必要。落車でチャンスを失わないように警戒しながら走りたい。

ステージ58位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

まだコンディションを作っている状態であり、ピークを迎えるにはもう少し時間がかかる。それでも今日は全力を尽くしたし、明日のステージでも良い走りをしたい。個人的にステージ優勝を狙いながら、総合狙いのエマヌエル・ブッフマンをサポートしていきたい。

ステージ65位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)

まずはレースに復帰することができて嬉しい。総合ライバルたちから大きく遅れることはなかったので、このままの調子で最終的な勝利に向けて着実に走りたい。

初日の個人TTを40秒遅れで終えたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)初日の個人TTを40秒遅れで終えたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:Unipublic

ステージ97位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)

いつでもグランツールに向けた準備はストレスいっぱいで、自分の場合は決して良い状態とは言えなかった。(胃腸炎に見舞われながらも)こうしてスタートを切ることができてホッとしている。今日はパワーで踏む直線区間が長く、交通量の多い区間は路面がすり減ってとてもスリッピーだった。

最高の状態では無いので、走っている最中も身体が重かった。ツール・ド・フランスで苦い思いをして、このブエルタでも思うようなスタートが切れなかったけど、この3週間で世界選手権に向けてしっかりコンディションを上げていきたい。最初の2週間は苦しむことになると思う。ツールの落車から気持ちを再び上げるのは難しかったものの、トレーニングを積んで再び走れる身体まで戻すことができた。最終週にステージ優勝を狙うのが今のモチベーションだ。

体調不良のリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は51秒遅れ体調不良のリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は51秒遅れ photo:CorVos

text:Kei Tsuji