ツール・ド・フランスを走ったプロバイク第8弾は、連勝街道爆進中のクイックステップフロアーズ。「狼の群れ」が駆るスペシャライズドのS-Worksシリーズを紹介します。



マイヨジョーヌを着用したフェルナンド・ガビリア(コロンビア)が使用した、イエローロゴのS-Works Vengeマイヨジョーヌを着用したフェルナンド・ガビリア(コロンビア)が使用した、イエローロゴのS-Works Venge photo:Makoto.AYANO
クイックステップフロアーズが使うバイクは、スペシャライズドのオールラウンドモデルTarmacと、モデルチェンジを果たしたばかりのエアロモデルVenge。これら2モデルをメインに、パヴェステージではフューチャーショックを搭載したエンデュランスモデルのRoubaixを、TTステージではShivを使い分けた。当然その全てが最高峰モデルのS-Worksグレードだ。

クイックステップはディスクブレーキの使用率が高く、リムとディスク設定が用意されているTarmacでのディスク率はおよそ半々。山岳賞を獲得したジュリアン・アラフィリップ(フランス)や、途中リタイアに終わったフィリップ・ジルベール(ベルギー)はリムブレーキのTarmacを選択していた。また、パヴェステージでもTarmacが多く使われており選手からの信頼度の高さが推し量れる。

山岳賞を獲得したジュリアン・アラフィリップ(フランス)のS-Works Tarmac山岳賞を獲得したジュリアン・アラフィリップ(フランス)のS-Works Tarmac photo:Makoto.AYANO
アポワルージュで彩られたS-Worksロゴアポワルージュで彩られたS-Worksロゴ photo:Makoto.AYANOK-Edgeのコンピュータマウントも水玉仕様にK-Edgeのコンピュータマウントも水玉仕様に photo:Makoto.AYANO

ニキ・テルプストラ(オランダ)のS-Works Shiv TTニキ・テルプストラ(オランダ)のS-Works Shiv TT photo:Makoto.AYANOニキ・テルプストラ(オランダ)のパヴェ用バイク。フロントタイヤのみデュガスの30mmを組み合わせていたニキ・テルプストラ(オランダ)のパヴェ用バイク。フロントタイヤのみデュガスの30mmを組み合わせていた photo:Makoto.AYANO


開幕ステージで勝利したフェルナンド・ガビリア(コロンビア)のバイクはマイヨジョーヌ着用を祝うイエローロゴのデカールが貼られ、アラフィリップのバイクにはS-Worksロゴ部分に赤い水玉シールを貼って対応。最終日には全てマイヨブラン・アポワルージュで彩られたスペシャルTarmacが用意されていた。

注目はスペシャライズドが展開するホイールブランド、ロヴァール。コースプロファイルに関わらず50mmハイトでペア重量1300g台のCLX50を使い、TTバイクの前輪にはCLX64、後輪には発表されたばかりのディスクホイール「321」をセットしていた。CLX50はチューブラー、CLX64と321は共にクリンチャーホイールだ。

コースプロファイルに関係なく、CLX50をメインに使う。ディスクブレーキ用チューブラータイプの用意が無いため、リムブレーキ用のリムを使って手組みしているようだコースプロファイルに関係なく、CLX50をメインに使う。ディスクブレーキ用チューブラータイプの用意が無いため、リムブレーキ用のリムを使って手組みしているようだ photo:Makoto.AYANO
一部のCLX50は白ロゴタイプ一部のCLX50は白ロゴタイプ photo:Makoto.AYANO新登場したロヴァールのディスクホイール「321」スペシャライズド・ファウンデーションのロゴが入る新登場したロヴァールのディスクホイール「321」スペシャライズド・ファウンデーションのロゴが入る photo:Makoto.AYANO

パヴェステージではCLX50ホイールと28mmのHell Of The Northタイヤという組み合わせパヴェステージではCLX50ホイールと28mmのHell Of The Northタイヤという組み合わせ photo:Makoto.AYANO321はクリンチャータイプのみ。前輪のCLX64共々Turbo Cottonタイヤを組み合わせる321はクリンチャータイプのみ。前輪のCLX64共々Turbo Cottonタイヤを組み合わせる photo:Makoto.AYANO


また、Vengeに取り付けられていたディスクブレーキ仕様のCLX50は、リムにブレーキシュー当たり面が見えることからリムブレーキバージョンのリムとディスクブレーキ用ハブを組み合わせた特別品と思われる。ディスクブレーキ用のCLX50チューブラーがまだラインアップに無いための対策だろう。ちなみにホワイトロゴのロヴァールホイールは市販されていないプロ供給専用品だ。

組み合わせるタイヤは通常S-Works Turbo Allround 2で、TTバイクにはTurbo Cotton、パヴェステージには28mmの「Hell Of The North」S-Works Turboと使い分けられていた。また、フランドルクラシックを得意とするニキ・テルプストラ(オランダ)は前輪のみデュガスのRoubaixタイヤ(30mm)というユニークなセッティングを用いていた。

ガビリアが駆るVengeのハンドル周りを見る。ステムはマイナス12度バージョンだガビリアが駆るVengeのハンドル周りを見る。ステムはマイナス12度バージョンだ photo:Makoto.AYANO第6ステージでのガビリアのバイク。バーテープを巻く範囲が変更されている第6ステージでのガビリアのバイク。バーテープを巻く範囲が変更されている photo:Makoto.AYANO

テルプストラはパヴェ用バイクでDi2サテライトスイッチを使用したテルプストラはパヴェ用バイクでDi2サテライトスイッチを使用した photo:Makoto.AYANOPROのアルミステム(ボルトを前側から締め込む供給専用品)の使用率が高いPROのアルミステム(ボルトを前側から締め込む供給専用品)の使用率が高い photo:Makoto.AYANO

4iiiiとのコラボレーションで開発されたスペシャライズドオリジナルのパワーメーター4iiiiとのコラボレーションで開発されたスペシャライズドオリジナルのパワーメーター photo:Makoto.AYANOセラミックスピードのBBパーツが投入されているセラミックスピードのBBパーツが投入されている photo:Makoto.AYANO

ジルベールとテルプストラが愛用するサドルが、既に廃盤となって久しいCHICANE。トム・ボーネンの声を開発に活かした製品だジルベールとテルプストラが愛用するサドルが、既に廃盤となって久しいCHICANE。トム・ボーネンの声を開発に活かした製品だ photo:Makoto.AYANOお馴染みのウルフパックステッカー。フォーク内側にも#thewolfpackの文字が入るお馴染みのウルフパックステッカー。フォーク内側にも#thewolfpackの文字が入る photo:Makoto.AYANO


コンポーネントはR9170もしくはR9150系デュラエースDi2。パワーメーターは4iiiiとコラボレーションしたスペシャライズドのオリジナルだ。Vangeの多くには冷却効率を踏まえてICE TECHNOLOGY搭載のMTB/シクロクロス用ディスクローター「SM-RT99」が取り付けられていたが、マキシミリアーノ・リリケーゼ(アルゼンチン)ら一部選手のバイクにはデュラエースの「SM-RT900」がセットされていた。

サドルはスペシャライズドの各製品を使い分けているが、ジルベールとテルプストラは廃盤となって久しいCHICANE(シケイン)を未だ愛用中。選手供給用として特別に少量生産が続けられているのだろうか。

text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO