2010年3月1日、マレーシアで第15回ツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)で開幕。初日のスプリント勝負は、U23オセアニアチャンピオンのマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)が優勝した。日本人最高位は盛一大(愛三工業レーシングチーム)の20位だった。

沿道ではマレーシア国旗が振られる沿道ではマレーシア国旗が振られる photo:www.ltdl.com.my今年のツール・ド・ランカウイの特徴は、開催時期が2月から3月に移されたこと、マレー半島の南シナ海沿い(半島東岸)を南下すること、超級山岳ゲンティン・ハイランドが設定されていることだ。

第1ステージはマレー半島北部のコタ・バルをスタート。南シナ海沿いを南下し、少し内陸のクアラ・ベランにゴールする。174.5kmのコースにはカテゴリー山岳が3つ設定されているが、高いものでも標高58m。スプリンター向きのフラットコースだと言っていい。

単独逃げを試みたピーター・マクドナルド(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)単独逃げを試みたピーター・マクドナルド(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ) photo:Yufta Omataレースは2km地点でのリチャード・ラング(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)のファーストアタックで幕開け。別府匠や鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)もアタック合戦に加わったが、逃げが容認されないままハイスピードでレースは進行した。

54km地点で単独逃げを成功させたのは、ピーター・マクドナルド(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)。2009年オーストラリア・ロードチャンピオンのマクドナルドは、82km地点で最大9分30秒のリードを得た。

フットオン・セルヴェットやISD・ネーリがコントロールするメイン集団フットオン・セルヴェットやISD・ネーリがコントロールするメイン集団 photo:www.ltdl.com.myカテゴリー山岳と中間スプリントポイントを連続で獲得したマクドナルドだったが、フットオン・セルヴェットやISD・ネーリなどのヨーロッパチームが牽引するメイン集団が徐々にタイム差を詰めて行く。マクドナルドは結局ゴール25km手前で吸収された。

マクドナルド吸収後もアタックは繰り返されたが、集団は一つのままクアラ・ベランのゴール地点に突入。

集団スプリントで圧勝したマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)集団スプリントで圧勝したマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ) photo:Yufta Omata大集団によるゴールスプリントを制したのは、チームジェイコ・スキンズのマシューズ。19歳の新鋭スプリンターが、ビダル・セリス(スペイン、フットオン・セルヴェット)らをねじ伏せた。同チームはAIS(オーストラリア国立スポーツ研究所)が支援する育成チームで、今年からオーストラリアのジェイコ社とスキンズ社がスポンサーについている。

キャンベラ出身の19歳マシューズは、2006年のオーストラリア・ジュニア・ロードチャンピオン。昨年チームAISのメンバーとしてTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)に出場し、アシストとして走りながら堺ステージ奈良ステージ伊豆ステージで4位に入っている。今年はオーストラリアU23のロードレースとタイムトライアルで2位。ニュージーランドで開催されたオセアニア選手権U23では、ロードレースとタイムトライアルでダブルタイトルを獲得した。

第1ステージ上位3名、左から3位トルバエフ(カザフスタン)、優勝マシューズ(チームジェイコ・スキンズ)、2位セリス(フットオン・セルヴェット)第1ステージ上位3名、左から3位トルバエフ(カザフスタン)、優勝マシューズ(チームジェイコ・スキンズ)、2位セリス(フットオン・セルヴェット) photo:Yufta Omataボーナスタイムを獲得したマシューズはもちろん総合リーダージャージを獲得。中間スプリントポイントで積極的に動いたアヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)がポイント賞ジャージとアジアンライダー賞ジャージを獲得した。

日本勢はスプリントの前線に絡むことが出来ず、盛一大(愛三工業レーシングチーム)の20位が最高位だった。

第2ステージはクアラ・トレンガヌーからチュカイまでの182.3kmで行なわれる。この日と同様、難易度の低いカテゴリー山岳が設定された平坦ステージで、海から吹き付ける風の影響が心配される。再びスプリンターの活躍に注目だ。


マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)
「信じられない。勝ちたいと思ってこのランカウイに出場したけど、まさかこんなに早くステージ優勝出来るとは思っていなかった。他の選手が誰かも分からないので、誰に付いていけば良いか、誰が何をするのかも分からない状況。あちこちからスプリントが掛かって、後方では落車した音も聞こえた。何とかベストラインを探してスプリントしたんだ。フットオンの選手(セリス)がかなり早めに仕掛けたので、後手に回りながらも追撃。前に目標があったことで、上手くスプリント出来たと思う。」

レース展開、選手コメントはレース公式サイトより。


ツール・ド・ランカウイ2010第1ステージ結果
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ) 4h23'53"
2位 ビダル・セリス(スペイン、フットオン・セルヴェット)
3位 ルスラン・トルバエフ(カザフスタン、カザフスタンチーム)
4位 アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)
5位 ヨハン・ラビー(南アフリカ、南アフリカチーム)
6位 レネ・ハーゼルバッハー(オーストリア、フォアアールベルク・コラテック)
7位 マルクス・アイベッガー(オーストリア、フットオン・セルヴェット)
8位 トビアス・エルラー(ドイツ、タブリス・ペトロケミカル)
9位 ザック・ベル(カナダ、ケリーベネフィット)
10位 サレー・ザムリ(マレーシア、マレーシアチーム)
20位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)
22位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)
42位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシングチーム)
82位 品川真寛(日本、愛三工業レーシングチーム)             +08"
84位 別府匠(日本、愛三工業レーシングチーム)
103位 五十嵐丈士(日本、クムサン・ジンセン・アジア)
106位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)

個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ) 4h23'43"
2位 ビダル・セリス(スペイン、フットオン・セルヴェット)          +04"
3位 アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)
4位 ルスラン・トルバエフ(カザフスタン、カザフスタンチーム)        +06"
5位 ピーター・マクドナルド(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)     +07"
6位 ザイナル・リズワン(マレーシア、マレーシアチーム)           +08"
7位 ブアロイ・オガート(タイ、タイチーム)                 +09"
8位 ルスラン・ピドゴルニー(ウクライナ、ISD・ネーリ)
9位 ヨハン・ラビー(南アフリカ、南アフリカチーム)             +10"
10位 レネ・ハーゼルバッハー(オーストリア、フォアアールベルク・コラテック)
23位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)
25位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)
44位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシングチーム)
83位 品川真寛(日本、愛三工業レーシングチーム)              +18"
85位 別府匠(日本、愛三工業レーシングチーム)
104位 五十嵐丈士(日本、クムサン・ジンセン・アジア)
107位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)

アジアンライダー賞
アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)

ポイント賞
アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)

山岳賞
ピーター・マクドナルド(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)

チーム総合成績
フットオン・セルヴェット

アジアチーム総合成績
マレーシアチーム

text:Kei Tsuji
photo:Yufta Omata, www.ltdl.com.my