世界最大の自転車ショー、ユーロバイクで見つけた新製品をピックアップするレポートをお届けします。第4弾となる今回は、ルック、プロロゴ、サイクルオプス、パワータップ、FFWDをピックアップして紹介しましょう。



ルック:ヒルクライムバイク"785 Huez"のディスクブレーキモデル、エアロの795 Blade RS

ルック 785 Huez Discルック 785 Huez Disc
クライミングバイクのディスクブレーキモデルだクライミングバイクのディスクブレーキモデルだ フォークもホイール脱着を容易する仕様が採用されているフォークもホイール脱着を容易する仕様が採用されている

クライミングバイクを長らく用意していなかったルックが、2017年に満を持してリリースした"785 Huez"。ツール・ド・フランスの勝負どころとして有名なアルプデュエズの名前が冠されたこのバイクは、フレーム重量730g、フォーク重量280gという優れた軽量性を達成しており、まさにヒルクライム用モデルと言えるスペックとなっている。

発表より1年経過した2018年のユーロバイクでディスクブレーキモデルが発表された。ハイモジュラスカーボン、ルックのZED2クランクを使用したフラッグシップモデルの完成車重量は6.8kg。フレーム重量が820g(ZED2用BB含む)、フォークは420gとされており、アセンブルするパーツ次第でUCI規定の下限に迫る事ができる。

ルック 795 BLADE RS(リムブレーキ)ルック 795 BLADE RS(リムブレーキ) ルック 795 BLADE RS(ディスクブレーキ)ルック 795 BLADE RS(ディスクブレーキ)

ワイヤーがセミインテグレートなハンドルが採用されているワイヤーがセミインテグレートなハンドルが採用されている エアロモデルらしくエアロダイナミクスを向上させるデザインだエアロモデルらしくエアロダイナミクスを向上させるデザインだ

リムブレーキモデルはシートチューブから台座が伸びるリムブレーキモデルはシートチューブから台座が伸びる ディスクブレーキモデルは、空気をきれいに流すようなデザインだディスクブレーキモデルは、空気をきれいに流すようなデザインだ

また、ロードのディスクブレーキではスタンダードの規格となったフラットマウントを採用。スルーアクスル径は12mm。マヴィックのスピードリリースシステムを採用しており、ネジを少し緩めるだけでホイールを着脱することが可能となっている。

加えて、エアロモデルの795もアップデート版「795 BLADE RS」がユーロバイクで登場。これまでの795とはデザインから異なり、よりオールラウンドに活躍できそうなルックスとなっている。ディスクブレーキ版とリムブレーキ版が用意されている。リム版のリアブレーキの取り付け方法は非常にユニークで、シートチューブから伸びたステーにブレーキを装着する。シートチューブからシートステーの間を流れる空気を妨げないような設計と見られる。

ユーロバイクに出展しているバイクメーカーはほぼ全てと言っていいほどE-BIKEをラインナップしており、ルックも例外ではなかった。エンデュランスロードの765がベースとされており、ロードモデルとブロックタイヤを履いたグラベルモデルが揃う。いずれもユニットはFAUZAという、ロードバイクに搭載されるモデルが多いものが採用されている。

ルック E-765 OPTIUM DISCルック E-765 OPTIUM DISC ルック E-765 GRAVEL DISCルック E-765 GRAVEL DISC

トラックフレームのR96トラックフレームのR96 ルック KEOペダルのツール・ド・フランスエディションルック KEOペダルのツール・ド・フランスエディション



プロロゴ:Dimensionのニューモデル2種類、E-BIKE用サドルのProxim W650

プロロゴから3種類のサドルがデビューしたプロロゴから3種類のサドルがデビューした
プロロゴが用意したショートノーズ、ワイドなボディのサドルDimension。先述したサドル形状と共に中央部には大きな窪みと穴も設けられた設計により、前乗り、深い前傾ポジションが可能となり、高出力でペダルを踏みやすくなることが特徴だ。

そんなDimensionに新モデルが2種類登場する。まずはプロロゴを代表するテクノロジーであるCPCがあしらわれたモデル。CPCとはサドル表皮にグリッパーを設けることで、サドル上でのスリップを防ぐ役割はもちろん、通気性、振動吸収性を高めるという効果を発揮してくれるという。

プロロゴ Dimension NDRとCPCモデルが登場したプロロゴ Dimension NDRとCPCモデルが登場した
MTB用にアレンジされたDimension NDRMTB用にアレンジされたDimension NDR NDR(左)はパッドが増量されている。右は通常モデルNDR(左)はパッドが増量されている。右は通常モデル

2つ目はDimension NDRというモデル。これはマウンテンバイク用にアジャストされたモデルで、座面がセミラウンドからラウンド形状へと変更され、パッドが増量されている。CPCモデルと通常モデルが用意されており、好みによって使い分けることが可能だ。また、Dimension SPACEという同じくパッド量が増やされたアドベンチャーライドやツーリング用のモデルも登場している。

2019年プロロゴのニュースはE-BIKE用サドル「Proxim W650」をローンチしたことだろう。欧州で定着したE-BIKE用サドルの開発をゼロから行い、E-BIKEに特化したモデルとしてリリース。特徴は座面が3セクションに分けられており、それぞれで柔軟性が異なること。これによりE-MTBで急坂を上る際に前乗りになったとしてもサドルが圧迫することも少なく、かつペダリングが行いやすくなっている。

また腰掛ける部分はスリップしにくくなっており、E-BIKE特有の発進時に起きる強大なトルクを受けてもサドルから腰が滑りにくい。加えて、サドル後端部にハンドルを設けることで、重量が重いバイクを持ち上げたりしやすくなっている。サドルなど各パーツにもE-BIKEの波が押し寄せていることを感じられる。

プロロゴ Proxim W650プロロゴ Proxim W650
サドル後端部はハンドルが備えられているサドル後端部はハンドルが備えられている サドル先端部、中間部、腰掛ける部分で固さが異なる仕様となっているサドル先端部、中間部、腰掛ける部分で固さが異なる仕様となっている



サイクルオプス:HAMMERとMagnusの第2世代が登場、リアルな走行感を演出するプロダクトの試作品も

サイクルオプス H2。トレーナーが固定されているプラットフォームが、前後と傾く方向に動き実走感を演出するサイクルオプス H2。トレーナーが固定されているプラットフォームが、前後と傾く方向に動き実走感を演出する
サイクルオプス M2サイクルオプス M2
サイクルオプスが用意するインドアサイクルトレーナーHAMMERは「H2」、Magnusは「M2」へと第2世代へと進化した。ダイレクトドライブ形式を採用するH2は、内蔵されるパワーメーターの精度が+/-2%、ライドフィールが向上。ケイデンスも検知してくれるようになった。デザインもブラックからシルバーへと変更されており、近未来のデバイスのような雰囲気が演出されている。

M2はマイナーアップデートが加えられている。フライホイールが大型化され、ローラー台の実走感がよりリアルに再現されるようになった。H2同様にパワーメーターの精度向上や、ケイデンス検知機能が新たに加えられている。いずれも他のデバイスにペアリングせず、電源を繋がなくても使用できるのは嬉しい仕様だ。

サイクルオプスは新製品に加えて、インドアトレーニングの実走感を更に演出する試作品もユーロバイクに持ち込んだ。既存のローラー台と自転車を載せるプラットフォームで、その2つを載せた台座が前後左右に自由に動き、ダンシングの動きに合わせて傾くことが特徴。これがあればヴァーチャルサイクリングへの没入感は増すはずだ。製品化されるかどうかは未定だが、将来正式にリリースされることを期待したい。



パワータップ:ハブ型パワーメーターがモデルチェンジで「G4」に

パワータップ G4ハブパワータップ G4ハブ
新型G4ハブはコネクタから充電する新型G4ハブはコネクタから充電する ディスクローター取り付けイメージディスクローター取り付けイメージ

フリーハブにかかる力を検出するパワーメーターのパワータップから、待望のG4世代がローンチされた。現代の規格トレンドに沿ったアップデートが行われており、リムブレーキとディスクブレーキ、クイックリリース、スルーアクスルどちらにも対応する。エンド幅も130mm、135mm、142mm、148mmにマッチする設計だ。ディスクブレーキローターはセンターロック。

さらに充電式へと進化している点も見逃せない。これまではキャップを外しコイン電池を入れ替える必要があったが、G4ではキャップを外す必要もなくケーブルをコネクタに接続するだけ。加えて、約100時間のランタイムを備えており、充電回数が少なくて済むのは嬉しい。



FFWD:NEW DARCテクノロジーと2バトンホイールプロジェクト「FALCON」

ディレクトエネルジーをサポートするファストフォワード。選手が使用するモデルはロゴが白色の供給品だディレクトエネルジーをサポートするファストフォワード。選手が使用するモデルはロゴが白色の供給品だ
ファストフォワードの2019年モデルはガラリとデザインが変更となる。これまでホイールの円周に沿う形で「FFDW」のロゴがあしらわれていたが、来シーズンより直線的にロゴが配置されるように。さらにプロダクトモデルはブラックとなり、ステルス戦闘機のような黒一色となる。

一方でファストフォワードがサポートするディレクトエネルジーは白ロゴを採用しているプロモデルを使用する。また、ツール・ド・フランスに出場するシルヴァン・シャバネルの足元には創業12.5周年モデルが輝いているという。ユーロバイクでも記念モデルを展示する予定だったが、残念ながら今回は見送ったのだとか。

また、ファストフォワードのプロジェクトFALCONがお披露目された。2バトンホイールという驚愕の設計は多くの来場者の目を引き、担当者に話を聞こうとする方も少なくなかった。ただ単に2バトンと言うだけではなく、リム内周のハイトがバトンの付け根を境に半周で45~90mmに変化するデザインとなっている。これは空気抵抗を削減する目的だという。展示品はチューブレス対応。

ファストフォワードがユーロバイクで発表したFALCONプロジェクトファストフォワードがユーロバイクで発表したFALCONプロジェクト
バトン部は航空機のような翼型となっているバトン部は航空機のような翼型となっている リムハイトは45mmから90mmへと変化するリムハイトは45mmから90mmへと変化する




text&photo:Gakuto Fujiwara