終盤に1級山岳が控えるジロ・ローザ最終日に、マリアローザのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)がステージ3勝目。総合リードを更に伸ばし、初の総合優勝を達成した。
マリアローザ一歩手前のアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) (c)CorVos
出走サインを行うメーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールスドルマンス) (c)CorVos
これまで9日間休みなく走り続けてきたジロ・ローザもいよいよ最終第10ステージを迎えた。ステージ最終日はスプリンター向けのフラットコースとなることが多いが、ジロの山岳はまだまだ終わらない。残り10km地点を過ぎて山頂を越える1級山岳サンレオナルド(標高601m)が総合争いにダメを押した。
序盤の平坦区間では13名の逃げが生まれたが、最後の総合順位変動を狙うチームがペースアップを行ったことで山岳手前で吸収。登坂距離およそ4km、しかし平均勾配10%を越えるサンレオナルド峠でファーストアタックを仕掛けたのはジュリエット・ラボウ(フランス、サンウェブ)だった。
序盤2時間の平均時速は43.3km/hと圧倒的なペースで進んだ (c)CorVos
集団前方で走るアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) (c)CorVos
ラボウのアタックで口火を切った最後の登坂勝負。次いで総合2位のアシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ)が加速すると、総合トップ10の中でエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ)が脱落。やがてマリアローザのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)、ムールマンパシオ、総合3位アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、総合7位カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)、そしてエイデル・メリノ(スペイン、モビスター)のみに絞られると、ここからマリアローザが強烈なアタックを繰り出した。
「計画的なアタックではなくアドリブでアタック。下りで飛ばせば登りで稼いだリードをキープできると思った。攻撃はマリアローザを守る上で最大の防御だった」と言うファンフルーテンは追いすがるムールマンパシオを引きちぎり、予定通りおよそ25秒のリードを得てダウンヒルをクリア。後続では総合上位陣ばかりが入った8名の追走グループが生まれたが、世界TT王者の独走の前にタイム差は縮まらなかった。
独走でフィニッシュに飛び込むアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) (c)CorVos
後続集団はルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ)を先頭に27秒遅れでフィニッシュ (c)CorVos
自身初のジロ・ローザ総合優勝を決めたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) (c)CorVos
マリアローザのファンフルーテンは、そのままフィニッシュラインが引かれたチヴィダーレ・デル・フリウーリの市街地に到達。10日間の戦いは、マリアローザのステージ3勝目で締めくくられた。総合2位との差を4分12秒まで広げるファンフルーテンの、そして6ステージで勝ったミッチェルトン・スコットの圧倒的な強さが光った。
ベテランの域に達しているファンフルーテンはこれまで2014、15、17年にステージ優勝を上げているものの、総合優勝は初めてのこと。「自分だけではなくチームとしての夢が叶った。チームとして周到に準備を重ねたことがステージ6勝、マリアローザ、ポイント賞、山岳賞という途方も無い結果につながったと思う。初めてジロに参加した2010年はクライマーとしての自覚はなかったので総合優勝できるなんて思ってもみなかった。けれど昨日はマリアローザを着てゾンコランで勝利。すごく特別な勝利になった」と語るファンフルーテン。表彰式ではチームメイトと共に豪快なシャンパンファイトで大成功の10日間を締めくくった。
ステージ表彰 (c)CorVos
総合表彰台 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)が中央に立つ (c)CorVos
また、與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)は序盤の超ハイペースに苦戦しながらも、チームエースのエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)を山岳勝負まで送り届けて離脱。5分39秒遅れの69位でフィニッシュして自身3度目のジロ・ローザ完走を果たしている。以下に本人からのレポートを紹介する。
最終日にして最も速いステージ、無事にゴールしました!
ジロローザ10日目。最終日は落ち着いてパレードなんてことは全く無く、最終日が最も速いアベレージスピード。スタートから全く緩むこと無くアタック、フォロー、キャッチ。そして10名ほどの逃げができ、それを追走しながら。スタートから2時間は時速 43.3km/h!!!もう何が何だか。自分も動きたかったのですがスタート直後はいつも身体が重く、1時間すぎからやっと対応ができる状態へ。エリサのフォローと位置取りをしながら登り口まで。安全に送り出してお仕事終了。
テンポで登りながらいろいろと考えました。発揮したいパフォーマンスが全く出せず、本当に屈辱と悔しさを味わった今回のジロローザ。また、大きな課題を突きつけられました。これから私がもう一歩、もう二歩登るためにもこの悔しさは絶対に忘れずに、日常の質をもう一歩高めて行く必要を強く感じました。
無事これ名馬で追われたことにまずは感謝。チームとしてもあと一歩でした。次は明後日の火曜日ツール・ド・フランス(女子レース)を走ります!身体はぼろぼろですが、楽しんでファンを増やしてきます!


これまで9日間休みなく走り続けてきたジロ・ローザもいよいよ最終第10ステージを迎えた。ステージ最終日はスプリンター向けのフラットコースとなることが多いが、ジロの山岳はまだまだ終わらない。残り10km地点を過ぎて山頂を越える1級山岳サンレオナルド(標高601m)が総合争いにダメを押した。
序盤の平坦区間では13名の逃げが生まれたが、最後の総合順位変動を狙うチームがペースアップを行ったことで山岳手前で吸収。登坂距離およそ4km、しかし平均勾配10%を越えるサンレオナルド峠でファーストアタックを仕掛けたのはジュリエット・ラボウ(フランス、サンウェブ)だった。


ラボウのアタックで口火を切った最後の登坂勝負。次いで総合2位のアシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ)が加速すると、総合トップ10の中でエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ)が脱落。やがてマリアローザのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)、ムールマンパシオ、総合3位アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、総合7位カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)、そしてエイデル・メリノ(スペイン、モビスター)のみに絞られると、ここからマリアローザが強烈なアタックを繰り出した。
「計画的なアタックではなくアドリブでアタック。下りで飛ばせば登りで稼いだリードをキープできると思った。攻撃はマリアローザを守る上で最大の防御だった」と言うファンフルーテンは追いすがるムールマンパシオを引きちぎり、予定通りおよそ25秒のリードを得てダウンヒルをクリア。後続では総合上位陣ばかりが入った8名の追走グループが生まれたが、世界TT王者の独走の前にタイム差は縮まらなかった。



マリアローザのファンフルーテンは、そのままフィニッシュラインが引かれたチヴィダーレ・デル・フリウーリの市街地に到達。10日間の戦いは、マリアローザのステージ3勝目で締めくくられた。総合2位との差を4分12秒まで広げるファンフルーテンの、そして6ステージで勝ったミッチェルトン・スコットの圧倒的な強さが光った。
ベテランの域に達しているファンフルーテンはこれまで2014、15、17年にステージ優勝を上げているものの、総合優勝は初めてのこと。「自分だけではなくチームとしての夢が叶った。チームとして周到に準備を重ねたことがステージ6勝、マリアローザ、ポイント賞、山岳賞という途方も無い結果につながったと思う。初めてジロに参加した2010年はクライマーとしての自覚はなかったので総合優勝できるなんて思ってもみなかった。けれど昨日はマリアローザを着てゾンコランで勝利。すごく特別な勝利になった」と語るファンフルーテン。表彰式ではチームメイトと共に豪快なシャンパンファイトで大成功の10日間を締めくくった。


また、與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)は序盤の超ハイペースに苦戦しながらも、チームエースのエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)を山岳勝負まで送り届けて離脱。5分39秒遅れの69位でフィニッシュして自身3度目のジロ・ローザ完走を果たしている。以下に本人からのレポートを紹介する。
最終日にして最も速いステージ、無事にゴールしました!
ジロローザ10日目。最終日は落ち着いてパレードなんてことは全く無く、最終日が最も速いアベレージスピード。スタートから全く緩むこと無くアタック、フォロー、キャッチ。そして10名ほどの逃げができ、それを追走しながら。スタートから2時間は時速 43.3km/h!!!もう何が何だか。自分も動きたかったのですがスタート直後はいつも身体が重く、1時間すぎからやっと対応ができる状態へ。エリサのフォローと位置取りをしながら登り口まで。安全に送り出してお仕事終了。
テンポで登りながらいろいろと考えました。発揮したいパフォーマンスが全く出せず、本当に屈辱と悔しさを味わった今回のジロローザ。また、大きな課題を突きつけられました。これから私がもう一歩、もう二歩登るためにもこの悔しさは絶対に忘れずに、日常の質をもう一歩高めて行く必要を強く感じました。
無事これ名馬で追われたことにまずは感謝。チームとしてもあと一歩でした。次は明後日の火曜日ツール・ド・フランス(女子レース)を走ります!身体はぼろぼろですが、楽しんでファンを増やしてきます!
ジロ・ローザ2018第10ステージ結果
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 3h00’24” |
2位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) | +27” |
3位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | |
4位 | メーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールスドルマンス) | |
5位 | ヴィクトリア・ガルシア(スペイン、モビスター) | |
6位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
7位 | アシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ) | |
8位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、サーヴェロ・ビグラ) | |
9位 | アン・サンテステバン(スペイン、アレ・チポッリーニ) | |
10位 | ジュリエット・ラボウ(フランス、サンウェブ) | +1’14” |
69位 | 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) | +5’39” |
個人総合成績
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 25h50’22” |
2位 | アシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ) | +4’12” |
3位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | +6’30” |
4位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) | +7’36” |
5位 | メーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールスドルマンス) | +9’20” |
6位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、サーヴェロ・ビグラ) | +10’38” |
7位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | +10’46” |
8位 | エイデル・メリノ(スペイン、モビスター) | +12’37” |
9位 | アン・サンテステバン(スペイン、アレ・チポッリーニ) | +13’12” |
10位 | エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ) | +13’47” |
ポイント賞
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 57pts |
2位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 41pts |
3位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) | 40pts |
山岳賞
1位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 51pts |
2位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 49pts |
3位 | アシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ) | 43pts |
ヤングライダー賞
1位 | ソフィア・ベルティッツォーロ(イタリア、アスタナ・ウィメンズ) | 26h14’22” |
2位 | ナディア・クァリオット(イタリア、トップガールス・ファッサボルトロ) | +4’15” |
3位 | ジュリエット・ラボウ(フランス、サンウェブ) | +6’39” |
チーム総合成績
1位 | サンウェブ | 77h36’34” |
2位 | モビスター | +5'34” |
3位 | サーヴェロ・ビグラ | +18’03” |
text:So.Isobe
photo:CorVos,Vélofocus/Wiggle High5
photo:CorVos,Vélofocus/Wiggle High5