悪名高きゾンコランでマリアローザのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)が圧勝し総合優勝に王手。復調した與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)は45位でレースを終えている。
特別ジャージを揃えたミッチェルトン・スコット (c)CorVos
出走サインに向かうメーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールスドルマンス) (c)CorVos
序盤はアタック合戦が続き、與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)も加わった photo:F.Ossola/www.girorosa.it
個人タイムトライアルや山岳頂上フィニッシュが続いたジロ・ローザ争いの最終決戦の場は、悪名高きモンテ・ゾンコラン。5月のジロ・デ・イタリアクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が起死回生の独走勝利を挙げた峠はカテゴライズこそ1級だが、全長10.1km、標高差1,203m、平均勾配11.9%、最大勾配22%とヨーロッパ屈指の難易度を誇る。これほどまでの難関峠が女子レースに登場するのは珍しい。
ゾンコランを目指す平坦区間ではクリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、ブールスドルマンス)やエレーナ・チェッキーニ(イタリア、キャニオン・スラム)が逃げ、ここに連日の不調から脱した與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)もジョイン。しかし強力な逃げだけに吸収され、以降與那嶺は集団のコントロール役を担った。
ゾンコランに向けて標高を上げていく photo:F.Ossola/www.girorosa.it
スペアバイクを担いでモトに乗車するチームスタッフ photo:F.Ossola/www.girorosa.it
簡易舗装の急勾配区間が続くゾンコランラスト1km photo:F.Ossola/www.girorosa.it
平坦区間を終え、本格的なゾンコランの登りが始まると、先頭グループを作ったのはマリアローザのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)と総合3位のアシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ)だった。
断続的に15%前後の勾配が続く激坂で後続は散り散りとなり、総合4位アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)とスペイン王者のエイデル・メリノ(スペイン、モビスター)が、その後ろではメーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールスドルマンス)らが追走するものの、それぞれの差は開いていくばかり。
独走に持ち込んだアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) photo:F.Ossola/www.girorosa.it
先頭でフィニッシュに現れたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) (c)CorVos
チームスタッフと勝利を喜ぶアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) photo:F.Ossola/www.girorosa.it
40秒引き離されたものの、総合2位に浮上したアシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ) (c)CorVos
すると先頭グループでは「この日が楽しみで待ちきれなかった。マリアローザを守ることが最大の目標だったけれど、ステージ優勝がなんとしても欲しかった」と言うファンフルーテンがアタック。急勾配区間でムールマンパシオをじわじわと引き離し、有名な石積みトンネルを通過する頃には大きなリードを稼ぎ出す。
残り1kmを切ってから続く簡易舗装の急勾配区間でもマリアローザのペーシングは鈍らず、圧倒的なヒルクライム力を見せたファンフルーテンが総合優勝に王手をかける独走勝利。その40秒後にはムールマンパシオが入り、3位のスプラット以下には2分54秒という圧倒的なタイム差がついた。ミッチェルトン・スコットとしてはサイモン・イェーツ(イギリス)がフルームに敗れたジロ第14ステージのリベンジ達成だ。
メーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールスドルマンス)は5着 (c)CorVos
ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ)はステージ6位 (c)CorVos
総合優勝に向けて王手をかけたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) photo:F.Ossola/www.girorosa.it
「あまりの急勾配で前輪が浮かないようにするのに必死だったけれど、最後の数百メートルは勝利を確信できたので最高の気分だった。ゾンコランのような有名峠が女子レースのコースに選ばれるのはとても素晴らしいことだと思う」とファンフルーテンは言う。
また、コンディションが回復した與那嶺は「多くの観客にプッシュしてもらえて楽しめた」と、過酷なクイーンステージで希望を掴んだ様子。以下に本人によるレポートを紹介する。
ジロローザ9日目、ゴンゾランに登る日。昨日までコンディションが日に日に低下してしまい何も出来ずにかなり苦しみましたが、やっとコンディションが底を脱したかなと感じます。
レースは頂上ゴール。1800m弱のゾンゴランに登ります。スタートからそんなことはお構いなく、すごいスピード。本当に今年は速い。アタックとチェック。危険な逃げを作らず後手に回らないように。私もやっと動きができるコンディションに戻れたので何度かチェックとフォローをします。
「楽しく走れた」與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) (c)CorVos
ブールスのマジュラス、キャニオンのチェキーニが動いた危険なタイミングで、上手く合わせて私も逃げを作ることが出来ました。しかし、少しのタイムギャップの後、やはりこの逃げは危険すぎるのでキャッチアップされてしまい、少し残念。
その後危険ではない逃げを見送り、ここで仕事は集団のコントロールへ。エリサの位置を気にしながら、安全にゾンゴランの登り口まで。強烈な強風もあり、プロトンは神経質に。クラッシュも回避しながら、安全に登り口まで。前方で楽しく展開ができたのでプロトン分裂もうまく回避出来ました。
あとはテンポで登ります。明日の仕事への体力も残しながら多くの観客にプッシュしてもらい、なんだか楽しめました。大きくコンディションを落としてしまい、かなり残念なジロローザですが、今日は楽しく走れ、こんな日もあるなと。やっと割り切れました。
明日が最終日!間違いなく高速で集団が割れると思います。前方でしっかり仕事をします。



個人タイムトライアルや山岳頂上フィニッシュが続いたジロ・ローザ争いの最終決戦の場は、悪名高きモンテ・ゾンコラン。5月のジロ・デ・イタリアクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が起死回生の独走勝利を挙げた峠はカテゴライズこそ1級だが、全長10.1km、標高差1,203m、平均勾配11.9%、最大勾配22%とヨーロッパ屈指の難易度を誇る。これほどまでの難関峠が女子レースに登場するのは珍しい。
ゾンコランを目指す平坦区間ではクリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、ブールスドルマンス)やエレーナ・チェッキーニ(イタリア、キャニオン・スラム)が逃げ、ここに連日の不調から脱した與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)もジョイン。しかし強力な逃げだけに吸収され、以降與那嶺は集団のコントロール役を担った。



平坦区間を終え、本格的なゾンコランの登りが始まると、先頭グループを作ったのはマリアローザのアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)と総合3位のアシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ)だった。
断続的に15%前後の勾配が続く激坂で後続は散り散りとなり、総合4位アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)とスペイン王者のエイデル・メリノ(スペイン、モビスター)が、その後ろではメーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールスドルマンス)らが追走するものの、それぞれの差は開いていくばかり。




すると先頭グループでは「この日が楽しみで待ちきれなかった。マリアローザを守ることが最大の目標だったけれど、ステージ優勝がなんとしても欲しかった」と言うファンフルーテンがアタック。急勾配区間でムールマンパシオをじわじわと引き離し、有名な石積みトンネルを通過する頃には大きなリードを稼ぎ出す。
残り1kmを切ってから続く簡易舗装の急勾配区間でもマリアローザのペーシングは鈍らず、圧倒的なヒルクライム力を見せたファンフルーテンが総合優勝に王手をかける独走勝利。その40秒後にはムールマンパシオが入り、3位のスプラット以下には2分54秒という圧倒的なタイム差がついた。ミッチェルトン・スコットとしてはサイモン・イェーツ(イギリス)がフルームに敗れたジロ第14ステージのリベンジ達成だ。



「あまりの急勾配で前輪が浮かないようにするのに必死だったけれど、最後の数百メートルは勝利を確信できたので最高の気分だった。ゾンコランのような有名峠が女子レースのコースに選ばれるのはとても素晴らしいことだと思う」とファンフルーテンは言う。
また、コンディションが回復した與那嶺は「多くの観客にプッシュしてもらえて楽しめた」と、過酷なクイーンステージで希望を掴んだ様子。以下に本人によるレポートを紹介する。
ジロローザ9日目、ゴンゾランに登る日。昨日までコンディションが日に日に低下してしまい何も出来ずにかなり苦しみましたが、やっとコンディションが底を脱したかなと感じます。
レースは頂上ゴール。1800m弱のゾンゴランに登ります。スタートからそんなことはお構いなく、すごいスピード。本当に今年は速い。アタックとチェック。危険な逃げを作らず後手に回らないように。私もやっと動きができるコンディションに戻れたので何度かチェックとフォローをします。

ブールスのマジュラス、キャニオンのチェキーニが動いた危険なタイミングで、上手く合わせて私も逃げを作ることが出来ました。しかし、少しのタイムギャップの後、やはりこの逃げは危険すぎるのでキャッチアップされてしまい、少し残念。
その後危険ではない逃げを見送り、ここで仕事は集団のコントロールへ。エリサの位置を気にしながら、安全にゾンゴランの登り口まで。強烈な強風もあり、プロトンは神経質に。クラッシュも回避しながら、安全に登り口まで。前方で楽しく展開ができたのでプロトン分裂もうまく回避出来ました。
あとはテンポで登ります。明日の仕事への体力も残しながら多くの観客にプッシュしてもらい、なんだか楽しめました。大きくコンディションを落としてしまい、かなり残念なジロローザですが、今日は楽しく走れ、こんな日もあるなと。やっと割り切れました。
明日が最終日!間違いなく高速で集団が割れると思います。前方でしっかり仕事をします。
ステージ結果
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 3h17'54" |
2位 | アシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ) | +40" |
3位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | +2'54" |
4位 | エイデル・メリノ(スペイン、モビスター) | +2'59" |
5位 | メーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールスドルマンス) | +4'00" |
6位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) | +4'06" |
7位 | アン・サンテステバン(スペイン、アレ・チポッリーニ) | +4'39" |
8位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、サーヴェロ・ビグラ) | +4'52" |
9位 | ヴィクトリア・ガルシア(スペイン、モビスター) | +5'16" |
10位 | カトリーヌ・アールルッド(ノルウェー、ヴィルトゥプロサイクリング) | +5'28" |
45位 | 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) | +13'50" |
個人総合成績
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 22h50'08" |
2位 | アシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ) | +3'35" |
3位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | +5'53" |
4位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、サンウェブ) | +7'05" |
5位 | メーガン・グアルニエール(アメリカ、ブールスドルマンス) | +8'43" |
6位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、サーヴェロ・ビグラ) | +10'01" |
7位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | +10'13" |
8位 | エイデル・メリノ(スペイン、モビスター) | +11'12" |
9位 | エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ) | +12'14" |
10位 | アン・サンテステバン(スペイン、アレ・チポッリーニ) | +12'35" |
ポイント賞
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 42pts |
2位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 36pts |
3位 | アシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ) | 34pts |
山岳賞
1位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 40pts |
2位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット) | 36pts |
3位 | アシュレー・ムールマンパシオ(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ) | 34pts |
ヤングライダー賞
1位 | ソフィア・ベルティッツォーロ(イタリア、アスタナ・ウィメンズ) | 23h10'31" |
2位 | ナディア・クァリオット(イタリア、トップガールス・ファッサボルトロ) | +3'14" |
3位 | ジュリエット・ラボウ(フランス、サンウェブ) | +8'52" |
チーム総合成績
1位 | サンウェブ | 68h30’33” |
2位 | モビスター | +5'37" |
3位 | サーヴェロ・ビグラ | +11'46" |
text:So.Isobe
photo:CorVos,Vélofocus/Wiggle High5
photo:CorVos,Vélofocus/Wiggle High5
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