「このステージ優勝は総合争いに向けての布石になる」と語るのは3級山岳ミュール・ド・ブルターニュで勝利したマーティン。チャンスを逃したことを悔やむラトゥールやバルベルデ、そしてトラブルで遅れたバルデやデュムランら、ツール・ド・フランス第6ステージを走った選手のコメントを紹介します。


ステージ1位 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)

得意のショートクライミングフィニッシュを優勝で飾ったダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) 得意のショートクライミングフィニッシュを優勝で飾ったダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) photo:Makoto.AYANO
またツール・ド・フランスのステージ優勝を飾ることができて最高の気分。前回ここにフィニッシュした時はステージ2位だった。向かい風が強く吹いていたので少しナーバスになったけど、1回目の通過の際にどの選手もいっぱいいっぱいだと感じた。だから挑戦してみることにしたんだ。昨日のステージでもアタックしたかったけど登りの強度が低かったので、今日こそレースを動かしたいとワクワクしていた。

このステージ優勝は総合争いに向けての布石になる。すでに成功を収めたようなものだけど、これからも総合争いに専念したい。

ステージ2位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)

アレクシ(ヴィエルモーズ)と集団内で位置どりして、ロマン(バルデ)に問題がなければステージ優勝を狙う作戦だった。ロマンは無事に集団内で走っていたので(この時点でラトゥールはバルデが遅れていたことを知らない)ポジションも良かったしダン(マーティン)のアタックを追いかけることにしたんだ。リッチー(ポート)が反応したタイミングで自分も加速したけど、横風に押しやられてフェンスに行く手を阻まれてしまった。

(バルデのメカトラを知って)全く気づかなかった。しまった。3週間の中で30秒は大したことないように感じるけど、もちろんタイムは失わないほうがいい。後半のステージで挽回したい。

ステージ3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Makoto.AYANO
ステージ優勝のチャンスを逃したことが残念でならない。あと一歩届かなかった。集団内のポジションやハードな1日を走る耐久力、横風、フィニッシュ手前のペースアップなど、様々な要因が絡み合う難しいフィニッシュだった。

調子は良くて、ここまでタイムを失うことなく走れている。ステージ4位に続くステージ3位なので、チームメイトたちに恩返しできなかったことが申し訳ない。横風区間でもメンバーを揃えていたし、先頭集団から遅れることもなかった。無駄なタイムロスをしないことが1週目の目標なんだ。

ステージ4位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)

逃げのコントロールから集団粉砕など、素晴らしい働きを見せてくれたチームを誇りに思う。失望したわけじゃないけど、もっと上を狙うことはできた。登りは自分向きだったし、何としても結果を残したいと思うステージだった。ただ、ペースが速くて向かい風が吹いていたので自分の展開に持ち込めなかった。

ステージ6位 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

ゴール後にリッチー・ポート(オーストラリア・BMCレーシング)と会話を交わすアアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)ゴール後にリッチー・ポート(オーストラリア・BMCレーシング)と会話を交わすアアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:Makoto.AYANO
短い登りの一発勝負。リッチー(ポート)とG(トーマス)の番手につけていたけど、ダニエル・マーティンの加速には付いていけなかった。向かい風が吹く中を独走で逃げ切った彼を祝福したい。運悪く遅れた選手を除いて、今日は大きな脱落者が生まれなかった。今大会最初の山岳ステージを終えた今、3〜4日後のアルプス山岳に注目したい。

ステージ8位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

チームが素晴らしい働きをして、他の誰かが勝ち、全員が幸せになる。今日は落車することなく全力を出し切った。1回目の登坂は問題なかったものの、2回目は(バイクと身体を合わせて)90kgの塊を頂上まで持ち上げることで精一杯だった。ラファル(マイカ)がしっかりと集団内でフィニッシュして、自分はポイント賞のポイントをしっかり獲得。ディスアドバンテージよりもアドバンテージがあるほうがいいに決まっている。ルーベステージまでの2日間もプレッシャーを感じながらの勝負になる。

ステージ9位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

脚の状態はとても良い。昨日はとてもハードなステージで、今日も気温が高くてハードだった。ボーナスポイントで抜け出して2度目のボーナスタイム獲得。これからはマークされることになると思うからきっと3度目はない。

ダン(マーティン)のアタックは強烈で、勝利に値する動きだった。残り200mでバルベルデがスプリントを開始した時、彼には勝てないと判断して、1%でも力を温存するために集団内に残ることにした。

ステージ11位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)

マーティンを追いかけるリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)らマーティンを追いかけるリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)ら photo:Kei Tsuji
今日はアタックに打ってつけのステージ。昨日も今日もとてもストレスフルなステージだったけど、タイムを失わずに済んだし、グレッグ(ヴァンアーヴェルマート)がマイヨジョーヌを守ったので結果的には良かったと思う。チームスカイのエースはゲラント・トーマスなのかフルーミーなのか、これからのステージでの展開が楽しみだ。

ステージ12位&マイヨジョーヌ グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)

マイヨジョーヌが似合うグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)マイヨジョーヌが似合うグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Makoto.AYANO
チームの素晴らしいパフォーマンスに満足している。一定ペースを刻んで登ることしかできなかった自分に代わって今日はリッチー・ポートが攻撃を仕掛け、自分はその精鋭集団に食らいついた。そしてあわよくばスプリントを狙いたいと思っていたけど、クライマーたちの登坂ペースに長時間耐え続けた身体に力は残っていなかった。ダニエル・マーティンの動きは、予想通りの、正しいタイミングでの強烈なアタックだった。

マイヨジョーヌを着てルーベのステージを走ることができれば良いけど、まだ2ステージが間に残っているし、毎日何かが起こっているのでどうなるかわからない。もちろんマイヨジョーヌを着てベルギー国境近くのルーベでステージ優勝できれば最高だ。

ステージ18位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

ライバルたちから遅れを被ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ライバルたちから遅れを被ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
2週目から3週目にかけて調子がピークを迎えるように調整している。今日は集団が絞られると予想していたし、ダン・マーティンやジュリアン・アラフィリップ、ピエール・ラトゥールのようなパンチャー系の選手が動いてくるだろうと思っていた。

ステージ33位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)

終盤のメカトラでタイムをロスしてしまったロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)終盤のメカトラでタイムをロスしてしまったロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Makoto.AYANO
後輪が壊れてしまったので、残り3km地点でトニー(ガロパン)のバイクを受け取って再スタートした。最後の登りは全開走行だったよ。タイムを失いたくて失う選手はいない。今日はそのメカトラを除いてその他のレース運びは完璧だった。ツール・ド・フランスは浮き沈みの連続。今日は運が味方してくれなかった。

ステージ46位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)

スポーク折れとチームカーへのスリップストリームのペナルティでタイムを失ったトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)スポーク折れとチームカーへのスリップストリームのペナルティでタイムを失ったトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:Makoto.AYANO
運が悪かった。パンクが起きてからすぐにサイモン(ゲシュケ)からホイールを受け取って再スタート。できるだけ早くフィニッシュに辿りつこうと全開で走った。集団に復帰するのは無理だとわかっていたから、どれだけタイムを失わずに済むかという話だった。

開幕から5日間は運を味方につけていたので、いつか悪運の日がやってくると思っていた。運の悪さを嘆いても状況は変わらない。もちろん失望したし、もっと総合上位につけていたかったけど、その状況を嘆いても状況は変わらない。

text:Kei Tsuji in Mûr de Bretagne Guerlédan, France