第2ステージに続くサガンとコルブレッリのスプリント争い。「コルブレッリに頼むから後ろから追いついて驚かせないでくれと釘を刺していたのに」と冗談をこぼすサガンやステージ2位のコルブレッリ、強力なアタックを仕掛けたジルベールら、ツール・ド・フランス第5ステージを走った選手たちのコメントを紹介します。


ステージ1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨヴェールを着るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がステージ2勝目マイヨヴェールを着るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がステージ2勝目 photo:Luca Bettini
今日もソニー・コルブレッリに迫られたけど先頭を守りきることができて良かった。今日のレース中に彼と話していた時、頼むから後ろから追いついて驚かせないでくれと釘を刺していたのに。逆に彼は頼むからステージ優勝させてくれと言ってきたけどきっぱりと断った。このままの状態を保つことができれば彼がステージ優勝する日は近いかもしれない。

チームスカイがペースを上げている時もボーラ・ハンスグローエのチームメイトのおかげで集団前方をキープ。誰かが動くだろうと思っていたらフィリップ・ジルベールがアタックした。彼に追いついたところで今度はグレッグ・ヴァンアーヴェルマートがアタック。結果的にグレッグの動きが自分のスプリントへの良いリードアウトになった。だからグレッグにありがとうと言いたい。テクニカルで、アップダウンの連続で、右に左にとコーナーが連続する難しいステージをとても楽しんだよ。

ステージ2位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)

GVAに続きラスト700mの坂を駆け上がるソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)GVAに続きラスト700mの坂を駆け上がるソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:Makoto.AYANO
サガンの番手につけている状態から先手を打ってスプリントを開始。横並びでのスプリントになって、数秒間は自分が前を走っていたと思う。でも残り100mあたりで脚が言うことを聞かなくなり、世界チャンピオンに先行を許してしまった。

今大会2回目のステージ2位。今年はステージ優勝争いに絡めている。一度もまともなスプリントができなかった昨年とは大違いだ。もちろん勝つことができれば良かったけど、まだこれでツールが終わったわけじゃない。

ステージ3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)

ラストの登りでアタックを仕掛けたフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)ラストの登りでアタックを仕掛けたフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) photo:Makoto.AYANO
縮小版アルデンヌクラシックのようなステージだったので、ステージ優勝と総合順位アップを目指してチームとして攻撃を仕掛けた。残り1kmからの登りが始まった時点で良いポジションにつけていたのでライバルたちを驚かせるためにアタック。でも向かい風のおかげで独走に持ち込めず、自分よりも強い2人の選手に負けてしまった。

ステージ4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

集団後方に沈んでいたので、先頭争いに加わるために時間をかけて追い上げる必要があった。でも予想よりもパワーのある選手が揃っていたのでステージ優勝には届かず。ステージ4位という結果は調子の良さの証拠であり、明日のミュール・ド・ブルターニュに向けてしっかりとリカバリーしたい。明日のフィニッシュが自分向きなのかどうかまだ計りかねているけど、チームとして結果を狙いたい。

ステージ6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)

序盤からずっと脚がよく回っていたので今日はチャンスがあると思っていた。でも山岳ステージに向けたトレーニングを積んできた影響で、最後のスプリントではパワーが出なかった。チームのおかげで無駄な力を使わずに駒を進めていたし、このフレッシュな状態は3週目に活きてくる。今日の結果には概ね満足しており、明日はまた自分向きのステージだ。

マイヨジョーヌ&ステージ7位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)

マイヨジョーヌを守ったグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)マイヨジョーヌを守ったグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji
ステージ優勝を狙っていたものの、ミスでチャンスを失った。総合上位のフィル(ジルベール)がアタックしたので反応して追走。追いついたところで彼は踏むのを止めてしまった。自分が全開でもがける限界は距離にして250mほど。最終コーナーが残り250m地点だと思っていたのでスプリントを開始したけど、実際は360mもあった。そういうミスは時々起こる。それに、仮に状況がバッチリでも今のペテル・サガンを止めることはできなかったと思う。

今日はずっと道が細くてとてもハードなステージだったけど、大きな落車は少なかった。選手全員がフレッシュな状態で終盤の勝負が始まる平坦ステージよりも、徐々に疲労が蓄積して選手が絞られていく今日のようなステージの方が安全なんだ。日曜日のルーベのステージを含め、今週はクラシックライダー向きのステージが揃っている。

明日もクイックステップフロアーズは攻撃を仕掛けてくるはず。明日の優勝候補はジュリアン・アラフィリップ。ステージ優勝を飾ったマイヨジョーヌを奪うとすれば彼だ。

ステージ8位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)

マイヨブランを着る23歳、ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)マイヨブランを着る23歳、ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) photo:Makoto.AYANO
マイヨブランを守るために、爆発力のいる登りフィニッシュで生き残ったことに満足している。残り1kmからの登りが始まった時点で集団の後ろに下がってしまっていたことが今日の最大のミス。脚の感触は良いので、明日のステージでも良い走りができればと思う。

今日と明日のステージで優勝を狙うはずだったマイケル・マシューズが体調不良でリタイアしたことはとても残念。でもリタイアせざるを得ないほどの体調の悪さだったので仕方がない。

逃げに乗ったリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)

リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)ら7人の逃げリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)ら7人の逃げ photo:Makoto.AYANO
シルヴァン・シャヴァネルのおかげで逃げグループの中で楽に走ることができた。追走グループの中から飛び出したトレックの名前の知らない選手(トムス・スクインシュ)に反応したけど、山岳賞狙いの彼とは協調体制を築けず。彼はまるでステージ優勝を諦めているようだった。逃げ切りのチャンスがあるなら最後まで踏むべきだ。逃げ切れていたかどうかは分からないけど、少なくとももっと良い走りはできていたと思う。

協調しなかったトレックの選手がマイヨアポワを獲得して、ステージ敢闘賞まで手にした。敢闘賞の定義を知りたい。何も得るものがない1日だった。

マイヨアポワ&ステージ敢闘賞 トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)

山岳ポイントを集めるトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)山岳ポイントを集めるトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) photo:Makoto.AYANO
ラトビア人として初めてツールの特別賞ジャージに袖を通したことを誇りに思う。でも遅かれ早かれその時が来ると思っていた。バウケ・モレマの総合成績とジョン・デゲンコルプのスプリントがチームの目標なので、最初からこのマイヨアポワを狙っていたわけじゃない。今日はステージ優勝を目指して逃げた結果、山岳賞の栄誉が手元にやってきたんだ。

シルヴァン・シャヴァネルがアタックして独走に持ち込んだことで逃げグループの協調体制が崩壊したので、逃げ切りの可能性は限りなく低くなってしまった。だからその時点で目標を山岳賞にスイッチ。カルメジャーヌが30kmにわたって追走グループにタダ乗りしている状態だったので、彼を引き離そうとアタックしたら付いてきた。その後もカルメジャーヌは協調しようとしなかった。自分がとてもフレッシュで強く思えたのかもしれないけど、彼の姿勢が適切だとは思えなかった。

発熱を伴う体調不良によりリタイアしたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)

リタイアという結果に終わって失望している。今朝起きた時点から体調が優れず、なんとかスタートラインにつこうと手を尽くしたものの、こんな状態では走ることさえできなかった。これから自宅に戻って、テレビの前でチームメイトたちを応援するよ。

前日の落車の影響でリタイアしたティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)

ハンドルバーを安全に持つことさえできず、レースを続行するのは無責任だと判断した。Tシャツを着ることさえままならない自分が、世界最高峰のツールで200kmオーバーのステージを走ることはできない。

昨日は自分の前を走るナイロ・キンタナが突然減速したところに突っ込んでしまった。おそらく最初に落車したのは自分だと思う。今日と明日は個人的に狙っていたステージ。春のクラシック以降、このツールのことだけを考えて練習を積んできたので、こうして途中リタイアに終わるのは心苦しい。まずはベルギーに帰国して精密検査を受けて(肩の脱臼以外に)骨折がないかを調べる。トレーニングを再開できるのは身体が完璧にリカバリーしてからだ。

text:Kei Tsuji in Quimper, France