パリ〜ニース第4ステージは3級山岳が5つ登場するアップダウンコースで行なわれ、序盤の逃げグループから飛び出したクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)がゴールまで独走した。シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)はライバルたちのアタックに出遅れるも、総合首位の座を守っている。

丘陵地帯を進むメイン集団、コントロールするのはクイックステップ丘陵地帯を進むメイン集団、コントロールするのはクイックステップ photo:Cor Vosパリ〜ニースはレース4日目から山岳地帯に突入。ヴィシーからサンテティエンヌまでの173.5kmの間には、実に5つの3級山岳が設定されている。最後の3級山岳ロッシュタイエ峠はゴール7km手前だ。

暖かな太陽に包まれたこの日、スタート直後から山岳ポイントを狙う選手を中心としたアタックが繰り返され、レースはハイスピードな展開を見せる。アタックの応酬の末に、70km地点で7名の逃げが決まった。

スプリンターチームではなくリーダーチームとして集団をコントロールするクイックステップスプリンターチームではなくリーダーチームとして集団をコントロールするクイックステップ photo:Cor Vos逃げたのはトニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)やサミュエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)、ヴァンデヴェルデら豪華な7名。総合トップはアレクサンドル・コロブネフ(ロシア、サクソバンク)で総合76位・3分42秒遅れ。

メイン集団ではリーダージャージ擁するクイックステップが常に目を光らせ、タイム差は2分以上に広がらない。逃げグループでは身長159cmのドゥムランが山岳ポイントを連取して、チームメイト(オジェ)の山岳賞ジャージキープに寄与した。

ゴールまでひたすら独走するクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)ゴールまでひたすら独走するクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン) photo:Cor Vos前日のラボバンクに倣って、この日はBboxブイグテレコムが横風区間でペースアップ。打撃的な集団分裂には至らなかったが、タイム差は1分にまで縮まり、この勢いに乗じてピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム)ら3名が飛び出した。

最後の勝負どころ3級山岳ロッシュタイエ峠の上りが始まると、先頭からはヴァンデヴェルデがアタック。ヴァンデヴェルデが独走を開始するその後方では、ロランら3名が追走グループに合流し、クイックステップがコントロールするメイン集団が追い上げる展開に。

3級山岳ロッシュタイエ峠で攻撃に出たユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、サイレンス・ロット)やアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)3級山岳ロッシュタイエ峠で攻撃に出たユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、サイレンス・ロット)やアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vosそしてロッシュタイエ峠の上りで大本命が動いた。前日にリーダージャージを明け渡したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が単独でアタックを成功させ、異次元のスピードで緩斜面を猛進。リーダージャージのシャヴァネルは、チームメイトに守られて上りを進むが、コンタドールとのタイム差は広がるばかり。カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)は早々に遅れた。

コンタドールの20秒前方で峠をクリアしたヴァンデヴェルデは、独走のまま下りを突き進み、後続を振り切ってサンテティエンヌのゴール地点にやってきた。最後は揺りかごを抱くポーズを見せながらゴール。ヴァンデヴェルデが逃げ切りを完遂した。

独走のままゴールに飛び込むクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)独走のままゴールに飛び込むクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン) photo:Cor Vosプロローグで落車し、すでに総合では遅れているヴァンデヴェルデは「今日は最初からこんなこと(逃げ切り)を狙っていたわけじゃない。プロローグで落車して擦過傷を負ったから、もうクラッシュはゴメンだと思った。今日はいい逃げに乗ることが出来たよ。徐々に自分の調子の良さを感じ始めて、ラスト20kmで他のメンバーが離れたからそのままペースを上げたんだ」と語る。

揺りかごポーズは「2ヶ月前に生まれて、まだ4日間しか顔を見ていない」という娘に向けてのジェスチャー。今後の戦力については「自分の調子には少し驚いている。この調子がどれだけ続くか分からないけど、今日はとにかく嬉しい。これからはミラーをアシストしていくよ」とコメントしている。

イエロージャージを守ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)イエロージャージを守ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) photo:Cor Vos上りで飛び出していたコンタドールには、下りでルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)やサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)を含む20名が合流。この追走グループはジョナタン・イヴェール(フランス、スキル・シマノ)を先頭に、ヴァンデヴェルデから14秒遅れでゴールした。ラスト1kmでパンクに見舞われたLLサンチェスは、救済措置により集団と同タイムに。

結局シャヴァネルは、フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)やハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)とともに41秒遅れでゴール。シャヴァネルはコンタドールやフアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)に27秒の先行を許してしまったが、なんとかイエロージャージを死守している。

「コンタドールは今日パリ〜ニース総合優勝への執着心を見せつけた。昨日の疲れが残っていたから、コンタドールの動きには反応できなかったんだ。イエロージャージを守ったことには満足しているよ。とにかく今は金曜日の重要ステージに向けてカラダを休めないと。たとえイエロージャージを失っていたとしても、ステージ優勝を狙っていく」と、疲れ顔のシャヴァネルは語っている。

攻撃を仕掛けたコンタドールは「最後の上りでのアタックは予定していなかったんだ。ライバルたちがどう動くか見たかったし、チャンスがあると思ったから飛び出した。結局大きなリードは奪えなかったけど、シャヴァネルが苦しんでいたことは確認できた。総合のタイムロスを挽回したし、パリ〜ニースはこれからの山岳ステージで決まる」と語る。翌日からの山岳ステージで再び攻撃に出るだろう。

レース公式サイト、ならびにフランス・レキップ紙より。

パリ〜ニース2009第4ステージ結果
1位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)4h01'31"
2位 ジョナタン・イヴェール(フランス、スキル・シマノ)+14"
3位 ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)
4位 クリストフ・モロー(フランス、アグリチュベル)
5位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)
6位 アマエル・モワナール(フランス、コフィディス)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)
8位 マキシム・モンフォール(ベルギー、チームコロンビア)
9位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)
10位 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)

個人総合成績
1位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)13h31'36"
2位 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)+06"
3位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)+36"
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
5位 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)+37"
6位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)+45"
7位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)+50"
8位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)+55"
9位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)+57"
10位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)+1'03"

ポイント賞
ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)

山岳賞
ステファヌ・オジェ(フランス、コフィディス)

新人賞
ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)

チーム総合成績
ラボバンク