ロットNLユンボをサポートするイタリアのバイクブランド「ビアンキ」が2019年モデルを発表した。注目はプロ選手がメインで使用するOltreシリーズのミドルグレード「XR3」のディスクブレーキモデル。フェラーリコラボモデルの新色なども登場しており、2019年版のラインアップは更に充実する。



ビアンキ Oltre XR3 Disc
ビアンキ Oltre XR3 Discビアンキ Oltre XR3 Disc (c)ビアンキ ※画像はグローバルモデルにつき、スペックは異なる場合があります
年々ディスクブレーキを搭載したロードが増えている近年。ビアンキも2017年に発表したミドルグレードのエアロロード「ARIA」でロードバイクに初搭載させていたものの、ラインアップの根幹である「Oltre」シリーズにまで波及させるには至っていなかった。しかし、2019年モデルでついにOltreのミドルグレード「XR3」にディスクブレーキを搭載することとなった。

Oltreとはビアンキの主力ロードバイクであり、そのハイエンドである「XR4」はUCIワールドチームのロットNLユンボに所属するほぼ全員が使用するモデル。その優れた性能は、スプリンターのディラン・フルーネウェーヘンやオールラウンダーのプリモシュ・ログリッチェ、どちらの選手の勝利にも貢献していることで証明されているはずだ。

シートステーはエンド幅に合わせて広げられているが、基本シェイプはキャリパーモデルと同様シートステーはエンド幅に合わせて広げられているが、基本シェイプはキャリパーモデルと同様 ヘッドチューブのシェイプもキャリパーモデルと似ているヘッドチューブのシェイプもキャリパーモデルと似ている

アクスルの受けはリプレイサブル仕様だアクスルの受けはリプレイサブル仕様だ 手前の赤いフォークは、キャリパーモデルにアッセンブルされているもの手前の赤いフォークは、キャリパーモデルにアッセンブルされているもの


そのXR4をベースに開発されたミドルグレードがXR3であり、エアロを考慮したオールラウンドバイクというコンセプトはそのままに、使用素材と剛性を最適化させたモデルだ。とはいえ、カーボン素材のグレードを落としただけのバイクではなく、求められる性能を最大限実現するためにXR3オリジナルの形状が与えられていることが特徴である。

そして、そのXR3にディスクブレーキが与えられたモデルが、2019年シーズンの新型「XR3 Disc」だ。もちろんこれまでのOltreシリーズのコンセプトは踏襲しているが、XR3がXR4の単なる廉価版ではなく走行性能が考えられて開発されたのと同様、キャリパー式からディスクブレーキ式への変化も全く同じフレームというわけではなく、細部まで作り込まれている。

タイヤのクリアランスは28Cまでに拡大しているタイヤのクリアランスは28Cまでに拡大している シートステーにはキャリパーモデル以上に補強が行われているシートステーにはキャリパーモデル以上に補強が行われている

ヴォリューミーなBB周りの造形ヴォリューミーなBB周りの造形 キャリパーモデルよりも薄いチェーンステーキャリパーモデルよりも薄いチェーンステー


ディスクブレーキ化を行う際にフレームに起きる変化としてわかりやすい点は、強大なストッピングパワーに負けないように行われるエンド部分の剛性強化だろう。過剛性にならないようにXR3 Discでは、チェーンステーがキャリパーモデルと比較し、非常に薄い形状とされた。もちろん142mm幅のエンドに適合させるために、屈曲したデザインにも変更されている。

一方で、シートステー部分のブレーキ台座は不必要となったものの、ブリッジが残されたどころか補強用のステーで強化されていることにも注目だ。ビアンキの本国マーケティング担当者によると全て「ディスクブレーキ採用してもキャリパーモデルと同じ乗り味になるように調整が行われている」という説明だ。この補強の意図が、シートステーにブレーキがアッセンブルされていたときと同じような味付けになるように行われていることがわかるはずだ。


コンポーネントはシマノ105で統一されているコンポーネントはシマノ105で統一されている シマノWH-RS170とヴィットリア Zaffiro Proが採用されているシマノWH-RS170とヴィットリア Zaffiro Proが採用されている


フロントフォークも大きく変化しているポイントだ。キャリパーブレーキモデルのエンド部分は絞り込みが施されていたが、ディスクブレーキモデルではXR4のようにエンドまでエアロ形状が採用されている。加えて、キャリパー用の台座が必要なくなったため、肩部分が高くなりタイヤクリアランスが拡大、前後共に28Cまで対応可能に。エンド部分はリプレイサブル仕様。

基本となるセミエアロ形状のフレームは維持されており、振動除去素材カウンターヴェイルも採用されている。カウンターヴェイルとは、ビアンキとマテリアル・サイエンス社が共同開発を行ったカーボン素材の一種。路面からの微振動を最大80%除去する働きをしてくれるため、長距離走行した時の体への負担が軽減されるという。また、ゴムやエラストマーと異なり、カーボン素材であるため、フレームの剛性や強度をより高いレベルで確保でき、走行性能を犠牲とすることがないこともポイントだ。

2019年モデルでの販売は、シマノR7000系105の油圧ディスクブレーキシステムで組み上げられた完成車のみ。カラーパターンは通常のチェレステメインからブラックがメインカラーに変更されており、精悍な印象を与える1台に仕上がっている。価格は358,000円(税抜)。

本国のマーケティングマネージャー クラウディオ氏がバイク説明を行ってくれた本国のマーケティングマネージャー クラウディオ氏がバイク説明を行ってくれた


Oltre XR3の発表と同時に様々なモデルもお披露目となった。昨年より開始されたイタリアのスーパーカーブランド「フェラーリ」とのコラボプロジェクトから、SF01のホワイトカラーがリリースされることに。これまでは跳ね馬の赤色をベースとしていたものだけだったが、爽やかな白色でペイントされた完成車がラインアップに追加されることで、選択肢が増えた形に。

Oltre XR4とSpecialissimaが中心となるラインアップOltre XR4とSpecialissimaが中心となるラインアップ
Oltre XR4にはブラック/ホワイトのツートンカラーが用意されるOltre XR4にはブラック/ホワイトのツートンカラーが用意される Oltre XR4には44サイズという小さいフレームも登場するOltre XR4には44サイズという小さいフレームも登場する


この新色バイクに関しては、カラーリングだけではなく、カンパニョーロが発表したばかりの12足ロードコンポーネント「Super Record」がアセンブルされていることもニュースだ。これまで電動コンポーネント搭載の完成車しかなく、200万円オーバーという設定だったが、今回の新車は170万円と少しプライスダウン。

ビアンキとフェラーリのコラボレーションモデルに関しては、トライアスロンバイクの開発が進行しているという。マーケティング担当者のクラウディオ氏は「ビアンキというエンジニアリングカンパニーとフェラーリが共同で開発を行っていることで、トライアスロンバイクは歴史を作る1台となる」と語る。まだ詳細は明らかになっていないが、クラウディオ氏はバイクのデビューは「Soon(すぐに)」と言う。このプロジェクトに関しては続報を待ちたい。

フェラーリとのコラボモデルSF01には白の新色が追加されたフェラーリとのコラボモデルSF01には白の新色が追加された
12速化を果たしたカンパニョーロ Super Recordをメインコンポーネントとする12速化を果たしたカンパニョーロ Super Recordをメインコンポーネントとする タイヤはピレリのP-Zero、ホイールはフルクラム Racing Zero NiteタイヤはピレリのP-Zero、ホイールはフルクラム Racing Zero Nite


フラッグシップモデルの1つであるOltre XR4についてもアップデートがある。2019年モデルでは、黒ベースに白のアクセントカラーが配された既存の路線とは異なる新色がラインアップに追加されている。また、44という小さいフレームサイズの展開も始まり、小柄な女性などでも選べるようになった。そして、XR3がディスク化を果たし、UCIルールで全面解禁となったこともあり、XR4のディスク化にも期待したい。こちらの動向も見逃せない。

また、ビアンキ2019年モデルでは数多くのオフロードバイクがデビューとなる。まずはフルカーボンMTB「Nitron 9.3」を紹介しよう。Nitron 9.3はクロスカントリーレースで復権した29er仕様のハードテールバイクだ。エンド規格は前110mm、後148mmというブースト仕様で、アッセンブルされるコンポーネントはスラム NX Eagle(1×12速)。価格は未定だ。

MTBエントリーモデルはKUMAからMagmaにスイッチ。29erが基本的なモデルだが、アジアでは27.5インチモデルも展開されるため、幅広い人に受け入れられるラインアップとなっている。基本的なスペックは、フレーム素材がアルミ、フロントサスが100mmトラベルという入門用XCだ。

ビアンキ Nitron 9.3ビアンキ Nitron 9.3
ビアンキ Magmaビアンキ Magma


ビアンキ Oltre XR3 Disc
フレーム:Carbon w/Countervail Disc BB PressFit 86
フォーク:Carbon w/Countervail 1.1/8-1.5"
ホイール:シマノ WH-RS170
コンポーネント:シマノ105
カラー:Matt Black/CK16
サイズ:47、50、53、55、57
価 格:358,000円(税抜)

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