先週日曜日まで開催されたバロワーズ・ベルギーツアー(UCI2.HC)で、イェンス・クークレール(ベルギー、ロット・スーダル)が2年連続の総合優勝に輝いた。



第1ステージ 開幕集団スプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)第1ステージ 開幕集団スプリントを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) (c)CorVos
5月23日から27日の日程で開催されたバロワーズ・ベルギーツアーは、HCクラスにカテゴライズされるステージレース。初回開催は1908年と非常に歴史深く、近年の歴代優勝者リストにはグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)やステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)といった名前が並ぶ。

ジロ・デ・イタリアやハンマーシリーズと会期を重ねたためUCIワールドチームの出場数は3(ロット・スーダル、カチューシャ・アルペシン、アスタナ)に留まったが、春のクラシックシーズンにでおなじみの地元プロコンチネンタルチームが多数参加。昨年総合優勝したイェンス・クークレール(ベルギー、ロット・スーダル)をはじめ、クラシックハンター達が多く顔を揃え、ラルス・ヴァンデルハール(オランダ、テレネット・フィデア)などシクロクロス選手たちも集結した。

第2ステージ 登りスプリントでアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が2日連続勝利第2ステージ 登りスプリントでアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が2日連続勝利 (c)CorVos
第4ステージ クリストフ・ラポルテ(フランス、 コフィディス・ソルシオンクレディ)がトップタイムをマークして総合首位に第4ステージ クリストフ・ラポルテ(フランス、 コフィディス・ソルシオンクレディ)がトップタイムをマークして総合首位に (c)CorVos
開幕2日間はいずれも集団スプリントに持ち込まれ、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が、初日はリカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)を、2日目の登りゴールではワウテル・ウィッパート(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)を抑えて2連勝を達成する。

フラットな10.6kmコースを駆け巡る第3ステージの個人TTでは、4月に開催された未舗装路レース「トロブロ・レオン」を制すなど好調のクリストフ・ラポルテ(フランス、 コフィディス・ソルシオンクレディ)が最速タイムをマーク。平均スピード50.343km/hで駆け抜けて総合首位に立った。

しかし、6つの登坂が含まれた75kmコースを2周回する第4ステージで総合順位が大きく動く。フィニッシュまで100km以上を残して総合メンバーによるアタック合戦が始まり、フレーシュ・ワロンヌでお馴染みの「ユイの壁」をきっかけにイエール・ヴァネンデル(ベルギー、ロット・スーダル)とクークレールら5名が抜け出しに成功した。

第4ステージ イエール・ヴァネンデル(ベルギー、ロット・スーダル)が独走勝利第4ステージ イエール・ヴァネンデル(ベルギー、ロット・スーダル)が独走勝利 (c)CorVos
するとフィニッシュまで10km地点の登りでヴァネンデルがアタックし、協調体制を組めない追走を置き去りにして独走勝利。他選手のマークに徹していたクークレールが2位に入りロット・スーダルはワンツー勝利。総合首位ラポルテが21分以上遅れたためリーダージャージはクークレールの手に移った。

迎えた最終日は雨中の登りスプリントに持ち込まれ、開幕2日間は5位に沈んでいたブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)が勝利。クークレールは危なげなく同タイムの集団内でフィニッシュし、2年連続の総合優勝を達成した。

第5ステージ 雨中の登りスプリントでブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)が先着第5ステージ 雨中の登りスプリントでブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)が先着 (c)CorVos
バロワーズ・ベルギーツアー総合表彰台バロワーズ・ベルギーツアー総合表彰台 (c)CorVos
息子と共に総合優勝の表彰を受けたクークレールは、石畳系クラシックを得意とし、主にワンデーレースを中心に成績を残している29才。長年在籍したオリカ(現ミッチェルトン・スコット)から今年自国チームに移籍した中での勝利だった。

「昨年はナショナルチームとしての参加だったので総合優勝はサプライズだったけれど、今年は狙っていた。TTを上手くこなして、アルデンヌクラシックのような第4ステージでもチームメイトと共に主導権を握ることができたんだ。とてもスムーズに事が運んだ1週間だった。今年のクラシックシーズンは病気で戦線を離れていたけれど、その悔しさを晴らすことができて嬉しい」とクークレールは語っている。ロット・スーダルにとってはステージ3勝、そして総合優勝と圧倒的なチーム力を見せ付けた5日間となった。
第1ステージ(ブヘンハウト〜ブヘンハウト:178.8km)結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) 3h54'29"
2位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)
3位 ティム・メルリエ(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)
4位 ティモシー・デュポン(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)
5位 ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)
第2ステージ(ロヒリスティ〜クノック=ヘイスト:162.1km)結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) 3h15'21"
2位 ワウテル・ウィッパート(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)
3位 ティム・メルリエ(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)
4位 ティモシー・デュポン(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)
5位 ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)
第3ステージ(ボルネム〜ボルネム:10.6km)結果
1位 クリストフ・ラポルテ(フランス、 コフィディス・ソルシオンクレディ) 12'38"
2位 アンドレイ・グリブコ(ウクライナ、アスタナ) +05"
3位 ブライアン・ヴァンフーテム(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) +07"
4位 イェンス・クークレール(ベルギー、ロット・スーダル) +10"
5位 マーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)
第4ステージ(ワンズ〜ワンズ:151.4km)結果
1位 イエール・ヴァネンデル(ベルギー、ロット・スーダル) 3h33'24"
2位 イェンス・クークレール(ベルギー、ロット・スーダル) +16"
3位 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール)
4位 アントニー・トゥルギス(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)
5位 エドワード・ダンバー(アイルランド、アクアブルースポート) +20"
第5ステージ(ランデン〜トンヘレン:157.7km)結果
1位 ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト) 3h47'26"
2位 クリストフ・ラポルテ(フランス、 コフィディス・ソルシオンクレディ)
3位 ヤン・ロイ(ベルギー、シーベル・セボン)
4位 ブラム・ウェルテン(オランダ、フォルトゥネオ・サムシック)
5位 ケニー・デハース(ベルギー、WBアクアプロテクト・ヴェランクラシック)
個人総合成績
1位 イェンス・クークレール(ベルギー、ロット・スーダル) 14h44'37"
2位 イエール・ヴァネンデル(ベルギー、ロット・スーダル) +15"
3位 ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) +39"
4位 エドワード・ダンバー(アイルランド、アクアブルースポート) +45"
5位 アンドレイ・グリブコ(ウクライナ、アスタナ) +55"
text:So.Isobe
photo:CorVos