3つの山岳を越えるアップダウンコースで行なわれたツアー・オブ・オマーン第3ステージ。総合リーダーのエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)がゴールスプリント勝負を制し、今シーズン初勝利を飾った。

逃げを試みたベン・キング(トレック・リブストロングU23)ら4名逃げを試みたベン・キング(トレック・リブストロングU23)ら4名 photo:A.S.O.第3ステージには今大会初めて山岳が登場(山岳ポイントや山岳賞は設定されていない)。コースはオマーン湾に面したサイファアッシュシェイクをスタートし、内陸部の3つの山岳を越えてクライヤトを目指す124km。ゴール15km手前のクライヤト・ヒルは登坂距離1.9km・平均勾配6.5%だ。

レースはオーストラリアの若手21歳ベン・キング(トレック・リブストロングU23)のアタックでスタート。単独で2分50秒のリードを得たキングには、遅れて3名が合流した。

メイン集団はリーダージャージ擁するチームスカイがコントロールメイン集団はリーダージャージ擁するチームスカイがコントロール photo:A.S.O.遅れてキングに合流したのはガティス・スムクリス(ラトビア、アージェードゥーゼル)、リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ)、ローラン・マンジェル(フランス、ソール・ソジャサン)。この4名の逃げグループは54km地点で最大3分25秒のリード。

メイン集団をコントロールしたのは、総合リーダーのボアッソン擁するチームスカイ。レース後半に入ると他のスプリンターチームの集団牽引に加わり、先頭4名のリードは縮小の一途をたどった。

岩肌に覆われた山岳を進む岩肌に覆われた山岳を進む photo:A.S.O.先頭4名はラスト20km地点で1分35秒のリード。しかし最後の山岳クライヤト・ヒルで逃げは全て吸収。最後はこの山岳を集団内で乗り切ったスプリンターたちによるゴールスプリント勝負が繰り広げられた。

チームスカイに対抗したのは、トム・ボーネン(ベルギー)擁するクイックステップ。しかし主導権争いは、マシュー・ヘイマン(オーストラリア)、フアンアントニオ・フレチャ(スペイン)、クリストファー・サットン(オーストラリア)らがトレインを組んだチームスカイに軍配。スカイトレインに発射されたボアッソンが先頭でゴールを駆け抜けた。

スプリント勝利を飾ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)スプリント勝利を飾ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:A.S.O.「この勝利はチームワークの賜物だ。チームメイトたちは毎日素晴らしいリードアウトトレインを作ってくれる。今日はミス無く全てが完璧に進んだ。チームワークが実を結んだんだ」と、ボアッソンは喜びに満ちたコメントを残す。

ボアッソンは今シーズン初勝利(カタール初日のチームTTを含めると2勝目)。同時にボーナスタイムを加算したボアッソンは総合リードを広げることに成功。ポイント賞、新人賞でもトップを独走中だ。

総合リードを広げたエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)総合リードを広げたエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:A.S.O.ボアッソンは昨年ヘント〜ウェベルヘムで優勝を飾り、エネコ・ツアー総合優勝、ジロ・デ・イタリアステージ優勝ツアー・オブ・ブリテン総合優勝と、一気にブレイクした22歳。

スプリント力に注目が集まりがちなボアッソンだが、実はノルウェーのTTチャンピオンに3回輝いたTTスペシャリストでもある。このまま総合首位の座を守り続けることが出来れば、最終日の個人タイムトライアルでもそのリードを守り、初代オマーンチャンピオンに輝く可能性は高い。最終個人TTでの活躍が期待されるファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)は、現在トップから20秒遅れの総合54位だ。

レース展開はレース公式サイト、選手コメントはチームスカイ公式サイトより。


ツアー・オブ・オマーン2010第3ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)         3h05'49"
2位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
4位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
5位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)
6位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
7位 ぺーター・ヴロリヒ(オーストリア、チームミルラム)
8位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ)
9位 クラース・ロデウィック(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
10位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームHTC・コロンビア)

個人総合成績
1位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)         8h00'54"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)         +10"     
3位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
4位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)             +14"
5位 ガティス・スムクリス(ラトビア、アージェードゥーゼル)          +15"
6位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ)            +16"
7位 クリストフ・ファンデワール(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
8位 ベン・ガスタウアー(ルクセンブルク、アージェードゥーゼル)        +17"
9位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームHTC・コロンビア)       +20"
10位 ミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)

ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)

新人賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)

チーム総合成績
ガーミン・トランジションズ

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.