5月4日にイスラエルのエルサレムで開幕する第101回ジロ・デ・イタリア。イスラエルで3日間、シチリア島で3日間をこなし、エトナ火山やモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノ、グランサッソなどの山頂フィニッシュに挑む前半戦のステージを紹介します。



5月4日(金)第1ステージ → コースマップ
エルサレム〜エルサレム 9.7km(個人TT)☆☆☆


5月4日(金)第1ステージ エルサレム〜エルサレム 9.7km(個人TT)☆☆☆5月4日(金)第1ステージ エルサレム〜エルサレム 9.7km(個人TT)☆☆☆ photo:RCS Sport第101回ジロの開幕地はヨーロッパ以外の国で初めてとなるイスラエル(イタリア国外スタートは13回目)。初日はエルサレム西部の街中を走る9.7kmの個人タイムトライアル。ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地で、嘆きの壁、聖墳墓教会、岩のドームなどがある旧市街にほど近いイツハクカリフ通りから、主に幹線道路で構成された曲がりくねったコースを走って最大勾配9%のシュロモハメレク通りにフィニッシュする。

高低差50mほどのアップダウンが組み込まれたコースで予想される優勝タイムは13分前後。平均スピード45km/h前後の高速レースが展開される。第1走のスタート時間は13時50分(日本時間19時50分/イタリア時間12時50分)で、最終走者のフィニッシュ時間は17時(日本時間23時/イタリア時間16時)の予定。ここで最速タイムを叩き出した選手には、今大会最初のマリアローザ着用の栄誉が与えられる。



5月5日(土)第2ステージ → コースマップ
ハイファ〜テルアビブ 167km ☆


5月5日(土)第2ステージ ハイファ〜テルアビブ 167km ☆5月5日(土)第2ステージ ハイファ〜テルアビブ 167km ☆ photo:RCS Sport地中海に面したイスラエル第3の都市ハイファから、同国第2の都市で事実上の首都であるテルアビブ(都市圏の人口は第1位)まで、ほぼ真っ平らな167kmを南下する。中盤に登場する4級山岳ジフロン・ヤアコヴは今大会最初のカテゴリー山岳であり、ここを先頭通過してマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を獲得するために序盤からアタックが繰り返されるだろう。

コースの大部分は幅の広い高速道路で、ジロにありがちなフィニッシュ手前の登りも無し。残り10kmを切ってテルアビブ市内に入ると街中のコーナーが連続する。ラウンドアバウトや中央分離帯、減速用バンプなど市街地らしい障害物を抜け、残り600mで最終コーナーを曲がってスプリントへ。道幅8mの海岸通りで今大会最初の大集団スプリントが繰り広げられる。



5月6日(日)第3ステージ → コースマップ
ベエルシェバ〜エイラート 229km ☆


5月6日(日)第3ステージ ベエルシェバ〜エイラート	229km ☆5月6日(日)第3ステージ ベエルシェバ〜エイラート 229km ☆ photo:RCS Sportイスラエル3日目の第3ステージは同国南部のベエルシェバをスタート。聖書にも登場する街を発ち、そこからネゲヴ砂漠を貫く一本道をひたすら南下する。登場するカテゴリー山岳は4級山岳だけ。乾いた大地を駆け抜けた選手たちがたどり着くのは、エジプトとヨルダンの国境に近いアカバ湾(紅海)に面したエイラート。

ひたすら幹線道路を走ってきた選手たちは、残り6kmから合計9つのラウンドアバウトを抜け、残り1.6km地点で180度ターンをこなし、残り350mで直角右コーナーを抜けてフィニッシュ。前日よりは起伏があるものの、2日連続でスプリンターのためのステージが用意された。なお、選手やスタッフ、大会関係者たちは翌日のチャーター機でエイラート近郊のオブダ空港(フィニッシュ近くのエイラート空港ではない)からシチリア島のカターニア空港に飛ぶ。



5月7日(月)休息日



5月8日(火)第4ステージ → コースマップ
カターニア〜カルタジローネ 198km ☆☆☆


5月8日(火)第4ステージ カターニア〜カルタジローネ 198km ☆☆☆5月8日(火)第4ステージ カターニア〜カルタジローネ 198km ☆☆☆ photo:RCS Sportイスラエルでの3日間を終えたジロは、休息日という名の移動日を経てシチリア島で再始動する。同島第2の都市カターニアをスタートする第4ステージは198kmの中級山岳ステージ。設定されたカテゴリー山岳は2つの4級山岳だけだが、カテゴリーのついていない標高600〜800mの峠がいくつも組み込まれている。シチリア島特有の荒れた路面にも気をつけなければならない。

残り16kmを切ってから標高572mの丘の上の街カルタジローネに向かって徐々に標高を上げるプロトン。特に残り5km地点のトンネルを抜けてからは旧市街を抜ける不規則なアップダウンと幅の狭いコーナーが続き、残り900mから平均8.5%の登りを駆け上がる。最大勾配13%の登りスプリントはスプリンターではなくパンチャー向きであり、主催者は難易度3つ星の評価を与えている。



5月9日(水)第5ステージ → コースマップ
アグリジェント〜サンタニンファ 153km ☆☆☆


5月9日(水)第5ステージ アグリジェント〜サンタニンファ 153km ☆☆☆5月9日(水)第5ステージ アグリジェント〜サンタニンファ 153km ☆☆☆ photo:RCS Sportユネスコ世界遺産に登録されたアグリジェントの「神殿の谷」をニュートラル走行で通過後、第5ステージはシチリア南部の海岸線を西に向かう。内陸部を走るステージ後半は3つの4級山岳を含むアップダウンの連続。この日もピュアスプリンターには苦しいレイアウトで、パンチャーにスポットライトが当てられる。

フィニッシュ地点は人口5,000人の丘の街サンタニンファ。残り2kmで幹線道路を離れて脇道に逸れると平均勾配8%(最大勾配12%)が登りが現れる。登坂距離は1kmほどだが、位置取りが悪ければマリアローザ狙いの選手たちがタイムを失ってしまう可能性も。残り1kmを切ってから、短い下り区間を含む連続コーナーを抜けてサンタニンファの目抜き通りでフィニッシュを迎える。



5月10日(木)第6ステージ → コースマップ
カルタニセッタ〜エトナ 164km ☆☆☆☆


5月10日(木)第6ステージ カルタニセッタ〜エトナ 164km ☆☆☆☆5月10日(木)第6ステージ カルタニセッタ〜エトナ 164km ☆☆☆☆ photo:RCS Sport大会最初の山頂フィニッシュが第6ステージに登場する。シチリア島中部のカルタニセッタから山岳地帯を東に向かい、164kmコースの先に待つのはヨーロッパ最大の活火山である標高3,350mのエトナ火山だ。

エトナで山頂フィニッシュを迎えるのは2年連続。しかしこれまで3回フィニッシュを迎えている定番のリフージオ・サピエンツァへの登坂ルートではなく、ジロ初登場となる標高1,736mの1級山岳オゼルヴァトリオ・アストロフィジコ(全長15km/高低差978m/平均6.5%/最大15%)への登坂となる。登り前半は道幅があるが、残り5.5kmを切ると道幅はぐっと狭まり、12%前後の勾配を刻む区間も登場する。フィニッシュに向けて勾配が若干緩むため、勝負をかけたい選手は早めに仕掛けてくるだろう。



5月11日(金)第7ステージ → コースマップ
ピッツォ〜プライア・ア・マーレ 159km ☆


5月11日(金)第7ステージ ピッツォ〜プライア・ア・マーレ 159km ☆5月11日(金)第7ステージ ピッツォ〜プライア・ア・マーレ 159km ☆ photo:RCS Sportイスラエルで3日間、シチリア島で3日間を過ごしたジロは、第7ステージでようやくイタリア半島の土を踏む。長靴に形容されるイタリア半島の「つま先」部分、カラブリア州のピッツォからプライア・ア・マーレまで、ティレニア海に沿ってひたすら北上する。ここまで変化に乏しいコースは珍しいと言えるほど、1日中ずっと選手たちの左手には海が広がる。

159kmコースの約97%を占める海沿いの国道18号線はほぼ真っ平ら。残り20kmを切ってから高低差140mほどの登り(勾配3〜4%)が登場するものの、集団が割れるような難易度ではない。シチリア島で我慢の3日間を過ごしたスピード自慢たちがプライア・ア・マーレの海岸通りでスプリントを繰り広げる。翌日から再び2連続山頂フィニッシュが登場するため、スプリンターたちは全長1,900m/道幅7.5mの最終ストレートに100%の力で挑むだろう。



5月12日(土)第8ステージ → コースマップ
プライア・ア・マーレ〜モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノ 209km ☆☆☆


5月12日(土)第8ステージ プライア・ア・マーレ〜モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノ 209km ☆☆☆5月12日(土)第8ステージ プライア・ア・マーレ〜モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノ 209km ☆☆☆ photo:RCS Sportティレニア海に沿って北上するレイアウトは前日と同じ。しかしこの日は前半からアップダウンが組み込まれ、コース全長も209kmと長い。そして締めくくりは2級山岳モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノ(全長17.1km/標高差856m/平均5%/最大10%)の山頂フィニッシュだ。

標高1,260mの聖地に向かう登りがジロに登場するのは6回目。過去にディルーカやクネゴ、デクレルクが制しているモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノの特徴は、緩い一定の勾配と合計18ヶ所のスイッチバックにある。トップ選手たちは麓から頂上まで一貫して勾配5%を刻む登りを25km/h弱のスピードで淡々と突き進むだろう。勾配の緩さからアタックは決まりにくいが、連続スイッチバックで集団内のポジションを落とした選手はタイムを失うことになるかもしれない。



5月13日(日)第9ステージ → コースマップ
ペスコ・サンニータ〜グランサッソ・ディタリア 225km ☆☆☆


5月13日(日)第9ステージ ペスコ・サンニータ〜グランサッソ・ディタリア 225km ☆☆☆5月13日(日)第9ステージ ペスコ・サンニータ〜グランサッソ・ディタリア 225km ☆☆☆ photo:RCS Sportイタリア半島の背骨を形成するアペニン山脈でジロは前半戦のクライマックスを迎える。全長225kmという長い山岳ステージに設定されたカテゴリー山岳は3つ。2級山岳ロッカラーゾと2級山岳カラーシオ(高低図の1級表示は間違い)を越え、そこから標高2,135mの1級山岳グランサッソ・ディタリア(全長26.5km/標高差1,029m/平均3.9%/最大13%)を駆け上がる。

「大きな石」を意味する標高2,914mのグランサッソ山の中腹に位置し、1999年にマルコ・パンターニがライバルたちを圧倒したカンポ・インペラトーレへの登りがジロに登場するのは4回目。平均勾配3.9%という数字だけを見ると侮ってしまいそうだが、直前の2級山岳カラーシオとセットで考えると登坂距離は50kmに迫る。しかも残り4km地点から先は平均勾配が9%を超え、最大勾配は13%。休息日を前に、まだ雪の残る山でマリアローザ候補たちが火花を散らすはずだ。

間違いなく前半戦最大の山場。しかし主催者による難易度は甚だ疑問の残る3つ星だ。



5月14日(月)休息日



後半はこちら


text:Kei Tsuji

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