超級山岳ウチカ峠が2回登場したツアー・オブ・クロアチアのクイーンステージで、序盤の逃げから独走に持ち込んだマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)が勝利。総合首位カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ)は攻撃を凌ぎきり総合優勝に王手を掛けた。



チーム紹介を受けるNIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニチーム紹介を受けるNIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ (c)www.tourofcroatia.comリーダージャージのカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)がインタビューに応えるリーダージャージのカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)がインタビューに応える (c)www.tourofcroatia.com

イストラ半島の南東岸にあるラバツの街を出発するイストラ半島の南東岸にあるラバツの街を出発する (c)www.tourofcroatia.com
超級山岳ウチカ峠を2度登るツアー・オブ・クロアチア2018第5ステージ超級山岳ウチカ峠を2度登るツアー・オブ・クロアチア2018第5ステージ (c)www.tourofcroatia.com6日間にわたって開催されているツアー・オブ・クロアチア(UCI2.HC)は、大会2度目の山岳ステージ最高難易度を誇る第5ステージを迎えた。

イストラ半島の南東岸にある美しいビーチリゾートの街ラバツを出発し、内陸部からディナル・アルプス山脈の中心に聳える超級山岳ウチカ峠へ。西側からの登坂(登坂距離13.2km/平均勾配6.5%)をこなしてから反対に降り、40kmほどのアップダウンを挟んで2度目のウチカ峠を東側から登ってフィニッシュする。今大会最大の獲得標高3310mというクイーンステージを舞台に、4時間強の登坂勝負が繰り広げられた。

スタート後10km地点の中間スプリントではポイント賞首位のエドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)が先着。その後、前日に逃げ切ったアレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF)やマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)らを含む、17名の逃げグループが生まれる。

逃げグループ内で展開するマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)逃げグループ内で展開するマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ) (c)www.tourofcroatia.com
1度目のウチカ峠で逃げグループは人数を減らし、同時にメイン集団もコロンビアのコンチネンタルチームが組織的なペースアップを行ったことで崩壊。しかしゴールまで80kmを残していたためダウンヒルを経て小集団が連結し、それまで集団をコントロールしていた新城幸也(バーレーン・メリダ)や別府史之(トレック・セガフレード)、吉田隼人と西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)も復帰。人数を戻した集団の先頭を別府が牽き続ける様子が長時間映し出された。

海抜0mから登る2度目のウチカ峠に入ると、逃げグループ内では2名を揃えたバルディアーニCSFのミルコ・マエストリ(イタリア)が独走を開始。チームメイトで前日勝者のトネッリが追走グループを抑えたものの、残り9km地点で合流。昨年までUAEに所属していたフェデリコ・ズルロ(イタリア)やヨナタン・カナベラル(コロンビア、ビチクレッタ・ストロングマンコロンビア・コルデポルテス)がアタックを繰り返した。

2度目のウチカ峠を目指して集団を牽引する別府史之(トレック・セガフレード)2度目のウチカ峠を目指して集団を牽引する別府史之(トレック・セガフレード) (c)CorVos
集団内で走る吉田隼人(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)集団内で走る吉田隼人(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) (c)CorVosカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)をチェックするピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)をチェックするピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) (c)CorVos


21歳のコロンビアンクライマーは暫く独走したが、残り4kmを切ってトネッリとボアーロ、そしてルーカサス・オウシャン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)に追いつかれる。4名となった先頭集団は動きの無いままラスト1kmのアーチをくぐった。

すると残り500mでボアーロがアタック。一気にリードを広げると、持ち前のスピードで緩斜面を駆け上げり独走でフィニッシュ。普段スプリントトレインの重要な牽引役として働く名アシストが、自身3年ぶりの勝利をクロアチアのクイーンステージで獲得した。

クイーンステージを制したマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)クイーンステージを制したマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ) (c)CorVos
カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)を引き放せなかったピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)を引き放せなかったピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) (c)CorVosマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)とカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)とカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ) (c)CorVos

総合優勝に王手を掛けたカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)総合優勝に王手を掛けたカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ) (c)www.tourofcroatia.com
一方メイン集団でも激しい総合争いが展開され、総合2位ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)の加速をきっかけにアタックの乱れ打ち状態に。逆転を狙うウェーニングは攻撃を続けたがシウトソウを切り離すことができず、二人はタイム差無しでフィニッシュ。攻撃を防ぎきったシウトソウが総合優勝に王手を掛ける結果となった。

最後の山岳をマイペースでこなして新城は、チームの今大会3勝目、そして総合優勝一歩手前という結果を次のように振り返っている。「またまたまた勝った!(笑)今度は逃げ切りで、これまでアシストとして働いてきた彼(ボアロ)が久しぶりに勝って、嬉しかった。残り3kmぐらいでニッポのチームカーから逃げていたチームメイトのボアロが勝ったと、情報もらった。それまで無線があまり騒がしく無かったので、知らなかった。今回も、これまでもアシストとして走ってきた彼が久しぶりに勝って、嬉しかった。ここまで、チームは5ステージ中、3勝!さて、明日は僕の番かな!?(笑)先ずは総合リーダーを守ることが優先。最後の周回が危ないらしいので、気を付けてしっかり守ってきたいと思います」。
ステージ結果
1位 マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ) 4h15’54”
2位 ルーカサス・オウシャン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) +07”
3位 アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF) +10”
4位 ヨナタン・カナベラル(コロンビア、ビチクレッタ・ストロングマンコロンビア・コルデポルテス) +12”
5位 タデイ・ポドカル(スロベニア、リュブリャナ・グスト) +24”
6位 ニクラス・イーグ(デンマーク、トレック・セガフレード)
7位 ダニエル・ピアソン(イギリス、アクアブルースポート) +47”
8位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) +48”
9位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)
10位 ニック・ヴァンデルライク(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) +52”
43位 新城幸也(バーレーン・メリダ) +8’59”
56位 吉田隼人(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) +14’25”
72位 別府史之(トレック・セガフレード) +21’58”
76位 西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
109位 内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) +29’15”
個人総合成績
1位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ) 23h29’01”
2位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) +08”
3位 エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) +53”
4位 ラドスラフ・ロジーナ(クロアチア、アドリアモービル) +1’15”
5位 二クラス・イーグ(デンマーク、トレック・セガフレード) +1’24”
6位 ダニエル・ピアソン(イギリス、アクアブルースポート) +2’10”
7位 ダリオ・アコスタ(コロンビア、ビチクレッタ・ストロングマンコロンビア・コルデポルテス) +3’01”
8位 アルテム・ニッチ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) +3’08”
9位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) +3’37”
10位 ドメン・ノヴァク(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) +4’15”
ポイント賞
1位 アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF) 47pts
2位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) 46pts
3位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ) 37pts
山岳賞
1位 ピーター・コーニング(オランダ、アクアブルースポート) 35pts
2位 ルーカサス・オウシャン(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) 26pts
3位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ) 20pts
ヤングライダー賞
1位 エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) 19h13’06”
2位 ダリオ・アコスタ(コロンビア、ビチクレッタ・ストロングマンコロンビア・コルデポルテス) +2’05”
3位 タデイ・ポガカル(スロベニア、リュブリャナ・グスト) +5’23”
チーム総合成績
1位 バーレーン・メリダ 70h45’30”
2位 ビチクレッタ・ストロングマンコロンビア・コルデポルテス +1’40”
3位 アスタナ +6’20”
text:So.Isobe

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